
「むかわ竜」が生きた恐竜世界のCG ⓒNHK
50年で格段に進歩した恐竜学、その歩みを一挙にチェック!
「そもそも恐竜って何?」と思うママはまず、展示ゾーン1「恐竜ルネッサンス」で恐竜研究が発展したこの50年を振り返ってみましょう。恐竜研究の新時代は1969年、以前アメリカで発見された新種の肉食恐竜が、「恐ろしいツメ」を意味する学名・デイノニクスと命名されたことから始まりました。
古生物学者ジョン・オストロム博士のデイノニクス研究は、それまで愚鈍な生物と考えられていた恐竜のイメージを変えました。デイノニクスは「恐ろしいツメ」が意味するとおり、活発に動き、鳥や哺乳類のような温血(恒温)動物と考えられるようになったのです。本展では、門外不出とされるデイノニクスのホロタイプ標本が日本初公開されます。

「恐ろしいツメ」を意味するデイノニクス 足の第2趾(ホロタイプ標本)
展示ゾーン1は年代を追って「子育て恐竜」マイアサウラ(1979年発表)やディノサウロイド(恐竜人間)の仮説(1982年発表)、世界で初めて全身の色が推定されたアンキオルニス(2010年発表)など、恐竜研究50年のトピックスが重要標本で一望できる構成です。中でも「謎の恐竜」デイノケイルスは本展の目玉。続く展示ゾーン2でその全貌が明らかになります。
半世紀近く「謎の恐竜」だったデイノケイルス、全貌を世界初公開!
デイノケイルスは1965年、モンゴルのゴビ砂漠で前あしの化石が発見されました。長さはなんと2.4メートル、カギヅメ状の指先がなんとも不気味です。その形状から、1970年には「恐ろしい手」を意味するデイノケイルスと命名されますが、以後は半世紀近く他部分の化石が発見されず「謎の恐竜」となりました。こちらは複製品が展示されます。

「恐ろしい手」を意味するデイノケイルスの前あし。本展では複製品が登場
「謎」が動いたのは、頭骨などを含む2体が発見された2006年から2009年。2014年発表の論文で明らかになった全貌は、幅広なクチバシや帆のような構造の背中など“想定外の恐竜”でした。その姿を目の当たりにできる全身復元骨格と、頭部と右足の実物化石の三つは本展で世界初公開となります。

デイノケイルス全身復元骨格 (C)Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences
この他にも、化石発掘のメッカ・モンゴルから届いた最新研究結果を展示。3体のオヴィラプトル類が折り重なるような「きょうだい化石」なども世界初公開です。まだまだ数多い恐竜の「謎」、そこに迫る研究の最前線を垣間見ることができるでしょう。

3体のオヴィラプトル類が折り重なるような「きょうだい化石」は世界初公開
