インバウンド急増での観光業界トレンド変化
それでは、インバウンド観光客の急増によって、どのようなトレンドが産まれているのでしょうか。
訪日外国人の半分以上が中国・韓国・台湾
まず、訪日外国人旅行者のうち65%がお隣の国である中国・韓国・台湾からきています (2018年度実績)。
韓国からの旅行者は一回の旅行期間は短いですが、距離的に気軽に来れる距離ということもあり、何度も日本に来るリピート旅行者が多く、日本のトレンドに敏感で新しいスポットに足を運びます。
一方で、中国の旅行者は家族旅行が多い層です。少し前までは団体旅行のイメージが強かった彼らですが、急速に海外旅行の楽しみ方の幅が広がっており、海外旅行のための許可が降りやすくなったこともあって個人旅行の比率が急速に高まっているのも特徴です。特に沖縄や北海道などのリゾートが人気を博しています。
同時に欧米からの旅行者も増えている
では欧米からの旅行者は増えていないのてしょうか?いやいや、そんなことは全くありません。数こそ中国より少ないですが、欧米人の旅行者数も右肩上がりで上昇しています。
彼らの特徴はなんといっても旅行期間の長さ。2週間3週間という長い期間をかけて旅行をするのが当たり前の人々です。また、その分、一人あたり使うお金も多いのが特徴です。
さらに、アジア系の観光客に比べて、「THE観光地」を訪れるよりもよりディープな場所や、深く文化を理解できる体験を好んでいるようです。
我々日本人よりも、遥か昔から世界を股にかけて旅行をしている彼らですから、非常に旅慣れていて、旅行を観光だけでなく学びの機会として捉えている人が多いと強く感じます。
団体旅行からFIT=個人旅行へシフト
中国人旅行者の説明でも触れましたが、いまは世界的に団体旅行の割合が下がり、個人旅行の割合が上がっています。ちなみに個人旅行のことを、FIT (Foreign Independent Tour = 外国個人旅行) と言います。
このトレンドを産み出している要因として、インターネットで飛行機のチケットやホテルを誰もが簡単に予約できるようになったこと、そして旅行先の情報を簡単に得られるようになったことが非常に大きいと言われています。
またこれにより、以下に説明するような消費行動の変化も生じています。
普通の観光ではなくユニークな体験をしたい
団体でバスに乗せられて決まったルートを巡る団体旅行に比べて、個人旅行では旅行者がどこにでも好きなところに行くことができます。
それに加えて昨今のinstagramやweiboなどのソーシャルネットワーキングサービスの台頭により、海外旅行中の写真を共有することが(特にアジア圏では)一種のステータスとなっていることから、「みんなとは違った変わったこと、instagramに投稿して自慢できる楽しそうなこと」を体験したいというニーズは非常に高まっています。
その結果として、旅行者のニーズや関心は、単に観光地を訪れたり文化遺産を見るのではなく、そこでどのような「体験」をするのか、という点に急速に移ってきていると言えます。
例えば、その危険性から賛否両論はありますが、スーパーマリオの格好をした人が普通の車と並んでカートで路上を走っているのを見たことはあるでしょうか。あのサービスも、「人気キャラクターの恰好をして、日本の有名なゲームと同じような体験をする」というユニークさがヒットの要因となっています。
みんなが行くところではなく隠れた名所へ
上で述べたトレンドとも通じますが、観光客が必ず訪れるような都市や場所ではなく、まだ多くの旅行者が訪れていない地方を訪れる旅行者の数も増加しています。これも、個人旅行が増加したことが密接に関係しています。
例えば福島に「エビスサーキット」という場所があるのですが、ここを目指して日本を訪れる旅行者が一定数存在しています。このサーキットでは、普通の人が運転をして「ドリフト」を楽しむことができるのですが、それが口コミを呼んで外国人旅行客に人気となっているのです。
バスで名所を巡る団体旅行では絶対に訪れることのない場所ですが、個人旅行の増加のトレンドは様々な地方や地域への旅行者の分散を促しているのです。
決して東京大阪京都のような大都市だけがインバウンドの恩恵を受けているのではなく、むしろこれから地方への外国人旅行者の訪問は増えていくというのが業界では一般的な見方のようです。
ホテルが足りない!ホテルの新規開業が激増
実は少し前まで、日本にはホテルが足りないと言われていました。インバウンドは成長が予測されていましたが、大量の外国人旅行客が泊まれる場所が無いのではないか、と言われていたのです。
大都市圏でもホテル数の不足は言われていましたが、特に問題が大きいと思われていたのは地方都市です。実際に、2013年から2017年の5年間で、大都市圏を除いた外国人旅行客の宿泊数は約3倍に増加しています。
それをチャンスと見たホテルチェーンなどは、ここ数年でホテルの新規開業を積極的に進めています。例えば2019年の9月には、アパホテルが横浜に2,300室もの部屋を持つ超巨大ホテルを開業させました。全体で見ても、2018年までの5年間で、日本全国でなんと600件もの新しいホテルが開業していることからも、まさに開業ラッシュと言えることがわかるでしょう。
インバウンドで生まれたビジネスチャンス
これまでインバウンドのトレンドを説明してきましたが、実はインバウンドは新しい仕事や副業のチャンスを生み出しています。インバウンドで稼ぐことができるのは決して企業だけでなく、個人にも恩恵があり、実際にチャンスを活かしてしっかり収入を増やしている個人がいるということなのですが・・・具体的にどのような副業ができるのでしょうか。
英語さえできれば、あなたでもできる副業をご紹介したいと思います。
英語を話せるならスキマ時間で「ガイド」
始めるのにお金が一切かからず、それでいて普通のアルバイトよりも比較的高い給与を得られる副業として「ガイド」があります。
気楽に楽しく稼げるインバウンドガイド

ガイドというと、バスに乗った団体旅行客についていき、旗を持って観光地を案内する・・・というイメージがあるかもしれませんが、実はいまの時代には、もっと手軽に簡単にスキマ時間でできる新しいタイプのガイドが登場しているのです。
新しいガイドの特徴は、
・3-4時間の短時間
・長い距離の移動はない
・5-6名の少人数の旅行者を担当
・プロフェッショナルの堅苦しさは捨て、まるで友人のようにフレンドリーに案内する
といったものです。
従来のガイドのイメージからはかけ離れた、かなりカジュアルな仕事と言えます。
資格は不要。稼ぎながら世界中に友人ができる
では、ガイドになるためにはどのような資格や能力が必要なのでしょうか。
実は、必要な能力は「日常会話がスムーズにできる英語力」だけ。
少し前までは通訳案内士の資格を持った人しか行うことができなかったガイドですが、2018年1月に「通訳案内士法」という法律が改正され、「誰でも」ガイドとして旅行客を案内しても良いことになったのです。
もちろん、ガイドになるための初期投資や費用も必要は有りません。
もしあなたが英語を話せるのであれば、ぜひガイドとして以下のサービスに登録してみることをお勧めします。
MagicalTrip (マジカルトリップ)
2018年に本格開始されたサービスで、地元の人が観光客を案内するツアーを開催しています。海外国内問わず多くのメディア、特に日本てはテレビ番組に取り上げられることが多いので知っている方もいるかもしれません。外国人旅行者からの人気も非常に高く、毎日全国で多数のツアーが開催されています。
下記の応募フォームから応募をし、面接とガイド体験を合格すればガイドになることができます。
東京大阪京都札幌広島奈良など様々な都市でツアーを催行しており、サービス開始以来、口コミで1500人以上の人々がガイドへの応募をしているとか。
ツアーも様々なバリエーションがあり、地元の人気居酒屋の協力を得て観光客を居酒屋に連れていき居酒屋文化を体験させるBar Hopping Touや、地元の見所を説明するWalking Tourが有名とのことです。自分の興味や知識に応じて、自分のやりたいツアーを選ぶことができます。
ガイド報酬はツアーの種類によって変わるようですが、3時間で5000〜7000円程度の報酬が一般的なようです。
ガイドのスタイルは堅苦しさ抜きで、旅行者の友人のようにフランクにフレンドリーに案内をするスタイルなので、人と話すのが苦手でなくホスピタリティがあれば、誰もがガイドになれるとのこと。急成長中のサービスのため、応募してみると良いかもしれません。
空き家があるなら部屋貸し「民泊」を
もしあなたが一軒家に住んでいて空いている部屋があったり、あるいは使っていないマンションの部屋を持っていたりするならば、民泊にチャンスがあります。
誰もが空き部屋を持っているわけではないのでハードルは高いですが、非常に有名な稼ぎ方ですので解説をしたいと思います。
空き家や空き部屋を貸して宿泊料を取る民泊

民泊とは、「ホテルではない普通の家に泊まること」です。普通、お客さんが泊まれる施設というのは、登録されたホテルや旅館だけですよね。
しかし、AirBnBというサービスが登場し、「ホテルではない普通の家や空き部屋にホテル代わりに泊まれる」というコンセプトを打ち出してからというもの、全世界的に民泊ビジネスは急速に広がり、日本でも一般的になりました。
実は今も、日本に来ている外国人旅行者のかなり多くが、ホテルや旅館でなく民泊に泊っていると言われています。
もちろん、自分の部屋を人に貸せば、宿泊料を得ることができます。ガイドと違って、自分が時間を使って働かなくても、空き部屋が勝手にお金を稼いでくれるなんて、素晴らしいですよね。
ちなみにここでいう「貸し出せる部屋」とは、マンションの一室や一軒家はもちろんのこと、自分の住んでいる家の一部屋まで幅広く対象となっています。
例えば一軒家に住んでいて、使っていない部屋が2つあるという場合には、その2部屋を旅行者に貸し出すことが可能です。
最近は法律が厳しく稼ぎにくくなった実態
実はこの民泊ビジネス、2017年までは非常に盛り上がっていました。お金を持っている人では何部屋もマンションを借りて民泊で貸し出しをしている人もいましたし、お金を持っていない人も着実に稼げる副業として民泊に手を出していた人も多数いたのです。
が、増えすぎた民泊によって近隣住民とのトラブルも急増するなど問題が発生し、2017年に民泊を規制する法律が制定されました。
例えば
・都道府県への事前の届け出が必要
・民泊で貸し出せる日数は1年のうち180日までに規制
・騒音を防止するための宿泊者への十分な説明義務
・宿泊者の名簿の作成
等が法律で定められたのです。
この中で最も影響が大きかったのは、「1年で貸し出せる日数は最大で180日まで」という部分。これにより、元々自分の家に空き部屋があったり使っていないマンションの部屋を所有していた人以外、つまり民泊のために新たに部屋を借りていた人達は、民泊での貸し出しをやめてしまいました。
それはそうですよね、1年のうちの半分は人に貸し出せないのですから、その間の家賃は丸々損になってしまうからです。
しかしそれでも、空き部屋を持っている人にとって、非常に手軽に副収入を得られる方法であることは間違いありません。
代表的なサービスとして、AirBnBを紹介します。
AirBnB (エアービーアンドビ―)
AirBnBは、2008年にアメリカで誕生し、今では世界的な企業となっている会社です。
僅か10年で世界的な企業となったことからも判るように、民泊で爆発的な急成長を遂げました。
AirBnBには、一軒家からマンションの一室、はたまたヨーロッパの古いお城(!)まで、様々な物件が貸し出されています。
それらはすべてAirBnBが所有しているものではなく、AirBnBに登録している「ホスト」と言われる人たちが所有しているもので、AirBnBを通じて民泊として旅行者に自分の家や部屋を貸し出しているわけです。
幾らの値段でAirBnB上で貸し出しをするかは、所有者が決めてOK。但しもちろんあまりに高い値段だと誰も予約をしてくれません。幾らくらいが相場なのか?は、AirBnBがアドバイスをしてくれるので、それに従って値付けをすると良いでしょう。
ちなみにAirBnBは約20%の手数料を、宿泊費から徴収します。つまり10,000円の値段で部屋を貸したら、約8,000円程があなたの手元に入ってくるというわけです。
ちなみに、民泊なので部屋の清掃やカギの管理は、所有者自らがやらないといけません。しかしトイレの清掃やシーツの取り換えなど、やるのは面倒ですよね。そういう場合は、民泊向けの清掃代行業者があるので、自分でやりたくない場合にはそういった会社を利用しましょう。
同じように、お客さん(「ゲスト」といいます)との連絡や問い合わせへの対応も、自分でやらなければいけませんが、そういった連絡や予約の管理も含めて代行をしてくれる会社もあります。
AirBnBへのホスト登録は、以下のフォームから行うことが可能です。
今すぐに幾らくらいであなたの部屋を貸し出せるのかをチェックすることもできます。
