こんなときはどうしたらいいの?再発行で困ったケース
源泉徴収票の再発行の手続きは難しくありませんが、状況によっては疑問やトラブルが出てくることがあります。そのような場合にも、適切なアドバイスや手続きを取れれば、問題は解決できることが大半です。起こりがちなトラブルと、その対処方法を知っておきましょう。
源泉徴収票の再発行を拒否されたら?
源泉徴収票の再発行をしようとしたときに、思わぬトラブルに見舞われることがあります。例えば、再発行を依頼しても会社側に拒否されるといったことなどです。源泉徴収票を従業員に発行するのは、所得税法で決められた雇用主の義務です。ですから、本来なら拒否されることはないのですが、すでに発行しているという理由で断られることもなくはありません。
そのようなときは、税務署に相談しましょう。そして、「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を作成して提出することで、税務署は会社に対して作成するよう税務指導ができるようになります。届出書は、最寄りの税務署でもらうかインターネット上からダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。記載内容は、届け出をする人間と源泉徴収票の発行を拒んでいる会社の名前や住所、勤続期間などです。そして、明細書のコピーを添付し税務署に提出します。手数料は掛かりません。
この方法を取れば、再発行されないということはまずありません。会社が倒産しているなどの理由で再発行してもらえないときでも、届出書を出すことで対応できることがあります。会社の会計記録は、倒産しても保管しなければならないことになっているからです。届出書を出すことで税務署を通して経理事務担当者に働きかけることができるのです。
転職後に前職の源泉徴収票が必要になったら?
転職したときには前職の源泉徴収票が必要になります。なぜいるのかというと、新しい職場でも年末調整をしなければなりませんが、経理事務で計算するためには前職の所得や所得税の納税についての情報がいるからです。ですから、年末だけでなく退職の際にも、勤めていた会社から源泉徴収票が発行されるのです。しかし、新しい会社での年末調整以外の理由で、転職してから元の会社の源泉徴収票を再発行しなければならなくなるときもあります。過去の年度の源泉徴収票について提出を求められることも、確定申告の還付などではあるからです。
しかし、人によっては前の職場に連絡するのは、ばつが悪いと感じることもあるかもしれません。できれば自分で直接依頼するのは避けたいという場合もあります。このようなときは、転職した会社の総務や人事担当者、税理士などに間に入ってもらい、そちらから前職場に再発行を申請するという方法があります。ただし、総務や人事の担当者にとっては本来の業務ではないので、やってもらえるのが当然だと考えてはいけません。本人でなければ受け付けられないと、前の職場から断られることもあるため、できれば自分で申請したほうが無難です。
再発行後にまた源泉徴収票が必要になったら?
会社に再発行してもらったあとに、また源泉徴収票をどこかに提出しなければならないという事態が起こることがあります。確定申告のように、源泉徴収票の原本を添付して書類を提出しなければならないような手続きが複数発生した場合などです。そのようなときは、経理事務担当者に何度も再発行を依頼することになって不安に感じるかもしれませんが、源泉徴収票の発行枚数に制限はありません。依頼すれば、何回でも再発行してもらえるのです。ただ、源泉徴収票は必ず原本を提出しなければならないわけではありません。提出先によっては、コピーでも可のこともあるのです。源泉徴収票を出さなければならないときには、説明をよく読んでコピーで対応できるものは対応しましょう。そうすれば担当者に余計な手間を掛けさせずにすみ、自分の負担も最小限に抑えられます。
再発行時に理由を聞かれたら?
源泉徴収票を再発行する際に、その理由を聞かれることがあります。住宅ローンの申請など、プライベートに関わることで再発行してもらいたいときには、それが重荷になるかもしれません。源泉徴収票の再発行で理由を話したり、申請書に記載したりする必要があるとは、法律では決められてはいません。そうさせるかどうかは、あくまで会社の方針なのです。ですから、デリケートな理由があって答えたくないなら、答える義務は発行を依頼する人間にはないのです。しかし、会社に尋ねられているのにつっぱねるというのは、なかなかできにくいところがあります。会社によっては、そのために再発行を断られる可能性もなくはありません。そのような場合は、くわしく説明しなければならないと思い詰めずに、紛失した、控除のために必要などといった、大まかな理由を話せば良いでしょう。
再発行すれば大丈夫!源泉徴収票がなくても慌てずに

源泉徴収票は、それほどサイズが大きくはない書類です。また、渡されるのが年末のあわただしい時期であることが多いために、ついいろいろな書類にまぎれて紛失してしまうこともあるかもしれません。なくさないことがベストには違いないのですが、うっかりは誰にでもあり得ます。そのようなときに源泉徴収票の再発行方法を知っていると、万一の場合に慌てなくてすみます。源泉徴収票は所得と納税に関する書類なので、思った以上に必要になる場面が多い書類です。再発行はそれほど手間が掛からず、枚数制限もありません。申請でトラブルが起きることもありますが、担当者や税務署などに問い合わせて対処すれば解決できるものがほとんどです。源泉徴収票が必要なときに見当たらなかったとしても焦らずに、再発行などの手続きを落ち着いて取りましょう。
