5歳になったら読みたい絵本

書店に足を運ぶと、たくさんの絵本があります。それぞれ趣向を凝らしていますが、「数あるなかから5歳児にぴったりの絵本を選ぶのは難しい」と感じる人もいるかもしれません。
たくさんの種類から選ぶには、子どもの理解力や語学力がどの程度成長しているか、よく見極めることが大切です。子どもが夢中になるような絵本を見つけましょう。
想像力を伸ばせる貴重な時期
5歳児にもなると、読解力や想像力が向上して物語のあらすじを理解する力も備わってきます。主人公の性格や登場人物との関係や心の動きもわかるようになり、今までよりも深く物語を楽しめるようになるでしょう。
この時期におすすめしたいのは「教訓や深い思慮が盛り込まれた昔話」です。毎日多くの絵本が出版され消えていく世界で、何年もの間語り継がれる昔話には受け継がれた思いが込められています。
5歳を迎えたら、以前は理解できなかったような深い世界観が感じられるものを選び、想像力を伸ばしてあげましょう。
自分で読む子も増えてくる
5歳は、小学校就学前にあたります。自分で文字が読める子も少なくありません。今までは読んでもらうことばかり求めていた子どもも、周りの友だちが1人で絵本を読んでいるのをみると「自分で読んでみたい!」という思いをもつようになるでしょう。
今までママやパパに読んでもらっていた絵本を自分で読めるようになった喜びを知ると、自己肯定感が増します。
絵本を用意する際は、何冊か用意して子どもに選ばせることが大切です。1人で読んでいるときは、自分の世界に入っているため邪魔しないように心がけましょう。
子どもによっては、ママやパパに読んであげようとするかもしれません。そんなときは聞き役にまわり、上手に読めたらほめてあげると自信につながります。
思いやりが学べる絵本もおすすめ
友だちとの交流も増えてきます。関係が深まるにつれて、上手く気持ちを伝えられなくてイライラしたり、反対に友だちの気持ちがわからなくて言葉で傷つけてしまったりすることもあるでしょう。
そんな子どもには「他者への思いやりを学べるような絵本」がおすすめです。自分の感情を持て余している子どもには、言葉で説明するよりも物語として読んだ方がすんなり理解できることもあります。
自分の希望と他者の思いが必ずしも一致しない場合でも、バランスを取りながら上手く付き合っていく大切さを学べるでしょう。
1度は読んでもらいたい日本のロングセラー絵本

5歳児におすすめの絵本の選び方を解説したところで、具体的に絵本を紹介していきます。まずは、日本で読み継がれてきたロングセラーの絵本からです。
方言でリズムよくおもしろい『じごくのそうべえ』
見物人の前で綱渡りを披露していた軽業師(かるわざし)のそうべえは、足を踏み外して綱から落ちてしまいます。気づくとそこは、地獄へ続く道の途中でした。
そうべえは、えんま大王に「ハラハラする綱渡りで見る人の寿命を縮めたから」という理由で地獄行きを命じられます。
同じく地獄へ落とされることになった山伏・ふっかい、歯抜き師・しかい、医者・ちくあんとともに脱出をしようと奮闘するお話です。
それぞれが持っている技を生かしながら大立ち回りを繰り広げる様は痛快で、何度読んでも笑いが止まらないでしょう。なおこの物語は、上方落語「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」をモチーフにしています。
愛と勇気が感じられる『モチモチの木』
主人公の豆太は、ちょっと臆病な男の子で真夜中に1人でトイレに行けません。しかしある日、一緒に暮らしているじさまが腹痛を起こして苦しむ様子を見て、真夜中にもかかわらず家を飛び出していきます。
じさまのやさしさに甘えるように暮らし、自分を変えようとも思っていなかった豆太にとって青天の霹靂(せいてんのへきれき)ともいえるできごとでした。じさまの危機をきっかけに臆病な豆太が変わっていく様子は、子どもに勇気を与えるでしょう。
タイトル名にもなっている「モチモチの木」は、山の神様のお祭りの日に灯がともる不思議な木です。モチモチの木の幻想的な風景が絵本に情緒を与えています。
