里帰り出産している人の割合は?

世界の出産状況に目を向けてみると、里帰り出産というスタイルの選択は主流ではありません。日本においては当たり前のように耳にしますが、現在はどのくらいの人が行っているのでしょうか?
約半数のママが経験
海外では男性も育児休暇を取りやすく、産前産後は自宅で、夫婦二人三脚で育児をスタートさせている家庭がほとんどです。サポートが必要な場合は、専門のベビーシッターを頼んだり、助産師が自宅を訪問してくれたりします。
しかし、日本においては、まだ「子育てはママがするもの」という意識が強く、男性の育児休暇取得が難しいといわざるを得ません。
自宅近くで出産をすると、スタート時からワンオペになる可能性が高くなります。加えて上の子どもがいたりすると、「ママの入院中はどうするのか」という問題も発生するかもしれません。
実家から実母にサポートにきてもらうスタイルもありますが、やはり母子ともにお世話してもらうとなると、親も住み慣れた実家の方が動きやすいでしょう。そういった事情から、約半数の女性は里帰りをしての出産を希望するようです。
コロナによる影響はある?
2020年は新型コロナウィルスの感染拡大によって、分娩時の環境が一変しました。産院によっては夫や両親による立ち会いはおろか出産後の触れ合いも叶わず、ママ1人でお産をこなさなければならないようです。
里帰りを希望する場合、自宅近くで健診を受けていた施設とはまた別の施設に転院することになります。感染予防として、「実家に到着してから最低2週間の自宅待機」を経てから初診が可能という対策を取っている病院が多めです。
自宅待機期間を設ける場合、通常よりも半月ほど早く里帰りしなければならないことになります。また、病院によっては、分娩予約の段階で他県からの患者の受け入れを断るケースも珍しくありません。
赤ちゃんの命と母体のことを考えて、なるべくしっかり情報収集をしてから決断しましょう。
里帰り出産のメリットとデメリット

自宅出産にも里帰り出産にも、それぞれよい面もあればマイナスな点もあります。里帰りという選択肢には、どのような結果が得られやすいのでしょうか。
メリット
実家は自分が生まれ育ち慣れ親しんだ環境のため、リラックスして過ごせます。自宅だと身重の状態でも家事をしなければいけませんが、そのプレッシャーからも解放され、ゆったりとしたマタニティライフが送れるでしょう。
何度経験しても、ホルモンバランスの関係も伴って、妊娠中はなにかと不安を感じやすいものです。そんなとき、ママとしての大先輩が近くで見守ってくれていることは心強くもあります。身体的にも精神的にも、安心しやすい環境です。
また、生まれてからしばらくは、ママは赤ちゃんにかかりきりです。自分で支度する食事は手を抜きがちですが、実家であれば料理を作ってもらえます。産後はママの体力も落ちているため、栄養のあるものを食べることで回復を早められるのもメリットです。
デメリット
里帰りのマイナス面としては、夫としばらく離れてしまうことです。夫婦関係に不安を感じたり、夫の父親としての自覚が芽生えにくく、育児に対する温度差が生じてしまったりする可能性があります。
里帰りをしたいと思っても、実家の近くに出産ができる施設がなく、あっても受け入れてもらえないこともあるでしょう。
里帰り出産は一般的に「分娩予約」を済ませ、受け入れ先を確保したうえで行くものです。受け入れ病院があるかどうか不安な人は、早めに電話などで問い合わせましょう。自宅から実家に距離があると交通費もかかり、産気づいたときに夫が間に合わない可能性も考えられます。
また、産後は初めての育児に戸惑うことが多く、育児の先輩でもある実母は頼もしい存在ですが、赤ちゃんのお世話にあれこれ口や手を出されると、精神的に追い詰められることもあるかもしれません。
期間はいつからいつまで?

お腹に赤ちゃんがいる状態では、身動きひとつ取るのも慎重に行いたいところです。妊娠の週数によっては、長時間の移動はできなくなってしまうこともあります。
いつ帰るべきか、また生まれたての子どもを抱えながら自宅に戻るのはいつごろがよいか確認しましょう。
実家に行くタイミング
帰る場合は、早めに移動するぶんには問題ありません。仕事をしている場合は、どの期間まで続けるか余裕をもって考えます。実家の家族と夫ともスケジュールの打ち合わせをして、里帰りの計画を立てましょう。
出産時は実家に帰ることを健診時に担当医師に伝えておきます。状況に応じて、医師から帰るタイミングを指示されることもあるでしょう。切迫早産になってしまい寝たきりになってしまうと、結果的に里帰りができないこともあります。
実家が遠方で飛行機を使用する場合は、搭乗できる週数を担当医師に確認しておきましょう。また、日系航空会社では、出産予定日の1カ月前程度から、搭乗時の「診断書の提出」が必要です。
自分の好きなタイミングで帰りたいところですが、赤ちゃんの成長具合と母体の健康状態を一番に考えて行動しましょう。
自宅に帰るタイミング
赤ちゃんは体力や免疫力がほとんどないため、移動することは負担になります。また出産は、「交通事故に遭ったのと同じくらい母体にダメージを与える」ともいわれている大仕事です。
産後は身体機能が通常時と比べて落ちているため、しばらくはゆっくり横になる必要があります。目安としては、「赤ちゃんが生まれて1カ月を過ぎたころ」に自宅へ戻る人が多いようです。
まだまだ未熟な存在ではありますが、新生児期から乳児を終え、幼児となることで赤ちゃんもママもひとつの区切りがつきます。家庭の状況や赤ちゃんの成長度合いをすり合わせて、ベストなタイミングで自宅に戻れるように計画しましょう。