50代女性の転職が厳しい理由とは?
転職したいと思っても、なかなか次の職が見つからないという人も多い50代の女性。まずは50代女性の転職が厳しい理由について、見ていきましょう。
育児などでブランク期間のある女性が多い

転職を目指す50代女性のうち、一定数いるのが出産や育児などをきっかけに仕事を離れていたブランク期間がある女性。50代という年代は定年も間近。50代の女性の採用にあたっては、多くの企業が即戦力になり得るかを重視します。
ブランク期間が長い女性はそうでない人材に比べて経験も少ないため、転職活動ではどうしても不利な状況に陥りがち。この状況を打開するためには、自身のスキルや経験、長所・短所などを棚卸しするとともに、応募したい企業のニーズをしっかりと分析することが大切です。
そもそも求人数が少ない

そもそもの求人数が少ないというのも、50代女性の転職を厳しくしている理由の一つです。
例として、東京労働局のホームページで公開されている「関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート」を見てみましょう。2024年12月分の年齢別有効求人倍率(求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標)は、34歳以下が1.78倍、35~44歳が1.47倍、45~54歳が1.01倍、55歳以上が0.81倍。
全体の平均が1.28倍なのに対し、45歳以上は平均を下回る数値に。有効求人倍率はあくまでハローワークでの求人数・求職者数をもとに算出してはいるものの、50代以降の転職がかなり厳しいという状況がうかがえます。
>>参考:東京労働局「関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート」
体力や健康状態を懸念されやすい

50代という年齢から、体力や健康状態を懸念されやすいというのも理由の一つです。20代や30代の若い人材に比べると、50代は健康面での不安があったり、体力や記憶力が衰えていたりするのは珍しくない年代。
企業側としては、体力があって健康にも問題がない人材や、新しい仕事を覚えられる記憶力のある人材を採用したいと考えるため、その面で劣る50代はどうしても採用されづらいでしょう。
50代女性で転職に成功している人の5つの特徴
50代女性の転職が厳しい理由についてみてきましたが、中には50代女性でも転職に成功している人はいます。ここからは、どんな50代女性が転職できているのか、その特徴を5つまとめました。
専門的な資格やスキルがある

転職に成功する50代女性の特徴の一つが、専門的な資格やスキルのある女性です。有資格者はもちろん、これまで培ってきた経験やスキルがあれば、即戦力として評価されやすくなり、転職への成功率が高まります。
ただし50代という年代は、ワンランク上のマネジメントスキルなどが求められがちだという点は覚えておきましょう。もし、自身の経験やスキルに不安がある場合は、これまでと同じ職種や業界にこだわりすぎるのではなく、違う職種や業界で、これまで培ってきたスキルを生かすというのもおすすめです。
50代女性の転職であると便利な資格
職種によっては、資格があると採用されやすくなることもあるため、経験やスキルがなくて不安という場合は、転職活動と並行して、目指す職種に役立ちそうな資格を取得するというのもひとつの方法です。転職活動をする50代女性におすすめの資格は以下の通り。
| 資格 | 内容 | 目指せる仕事や転職先 |
| 日商簿記検定2級 | 経理に関する知識を身に付けられる資格。3級もあるものの、即戦力として評価されるのは日商簿記2級以上。ただし、2級は合格率が36.9%(2024年4月~12月)とやや低く、難易度は高め | コンサルタント、会計・経理事務など |
| 介護職員初任者研修 | 介護の基礎を学べる資格で、130時間以上の講座を受けると取得できるため、未経験から介護職を目指したい人におすすめ | 介護業界 |
| 介護事務 | 介護報酬請求業務やケアマネージャーのサポートなどについて学べる資格。未経験者でも取得を目指しやすい資格なのに加え、介護事務の仕事内容はデスクワークが中心で、体力に自信のない人も働きやすい | 介護業界の事務職 |
| 医療事務 | 医療機関での受付や事務作業、レセプト作業などについての知識を有していることを証明する資格。医療機関からの需要が高いほか、雇用形態も多様で女性も働きやすい | 病院、クリニック、歯科医院など |
| 調剤薬局事務 | 薬局での受付や事務作業、レセプト作業などについてのスキルを有していることを証明する資格。薬に限定して学ぶため、医療事務よりも取得しやすい | 薬局、ドラッグストア |
| 登録販売者 | 第2類・第3類医薬品に分類される市販薬を販売するために必要な資格。ドラッグストアなどには欠かせない人材のため、需要が高い | ドラッグストア、市販薬を取り扱うコンビニ、スーパーマーケットなど |
| MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) | 「Word」「Excel」「PowerPoint」などのスキルを証明する資格。初心者向けの「スペシャリスト」とさらに高いレベルの「エキスパート」があり、自学自習でも取得は可能 | 一般事務職 |
ただし、これまでの経験に自信がないからと言って、やみくもに資格を取得しても意味はありません。まずは自分自身がどんな業界に転職したいのか、これまでの経験やスキルを生かせる仕事は何かをしっかりと整理した上で、資格取得が必要かを考えるとよいでしょう。
職種や業種にこだわりすぎない

50代の女性が転職活動をする場合、職種や業種にこだわりすぎないことも大切です。これまでの職種や業務内容に近い仕事に就きたいと思うのは当然ですが、そこにこだわるあまり、視野が狭くなってしまうと、転職活動は難航してしまいます。
また、これまで培ってきたスキルの内容によっては、未経験の業界でも十分生かせるというケースも。職種や業界に対してかたくなになるのではなく、状況によっては未経験の業界に挑戦する心構えも必要です。
正社員以外の雇用形態も視野に入れている

50代女性が転職を考えたとき、特に厳しいのが正社員での採用です。実際、厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、50代の女性の転職入職率は、パートタイム労働者の場合、50〜54歳が12.6%、55〜59歳が10.5%。
これに対し、フルタイムの労働者の場合、50〜54歳が6.2%、55〜59歳が4.9%で、いずれもパートタイム労働者の数値を下回りました。フルタイムの労働者には正社員以外に派遣社員や契約社員も含まれていますが、正社員に限定するとさらに厳しい数値が予想されます。
このため、転職活動の際には正社員にこだわるのでなく、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員など正社員以外での雇用形態も視野に入れるのがおすすめ。特に、専業主婦からの再就職を目指す女性の場合、正社員での採用はかなり難易度が高くなる点を覚えておきましょう。
給与など待遇に固執しすぎない

正社員で働いている50代女性の場合、これまで培ってきた経験やスキルがあっても、転職を機に年収などが下がる可能性は大いにあります。このため、転職時には年収アップや待遇改善などに固執しすぎないようにしてください。
また、中には年収は下がったとしても「ワークライフバランスの整った職場で働く」「長く働き続ける」といった希望を叶えている人も。実際の転職活動では、年収や待遇ばかりにこだわりすぎるのではなく、自身の希望する働き方が叶う職場かどうか、また、自身の経験や能力を生かせる職場かどうか、といった点を考えて転職先を探すのがおすすめです。
謙虚で柔軟な姿勢がある
50代女性が転職する場合、転職先の上司や同僚は年下ばかり、というケースはよくあります。これまでどんなに経験があっても、新しい職場では年下から業務を教わることになることも。
このため、年下に対しても謙虚な姿勢でいられる人材や、前の職場でのやり方にこだわりすぎず、柔軟な姿勢で仕事に取り組める人材の方が、採用の確率は高まります。実際の選考では年下にもなじめる姿勢や、業務に対しての柔軟性をアピールすることが大切です。
