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公開 2016年04月20日  

実は大切なんです!子どもが自分で「痛いところ」を伝えられるということ 【きょうの診察室】

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「どこが痛いかな?」と聞いたときに、子どもはなんて答えているでしょうか?


きょうの診察室:「あのね、こことここが痛くて…」

子どもたちは、よほど具合が悪くなければ自分の症状について多かれ少なかれ話すことができます。

自分の痛みや、家族と離れて過ごす園や学校での出来事などについては、当たり前のことですが、ご家族よりも本人のほうが分かっていることは多いです。


わたしは、子どもたちが自分のからだのことについて、自ら感じたり表現したりするお手伝いをすることも、小児科医の大切な役割なのかなと思いながら日々診療をしています。

そのため診察室では、「Aくんが今一番つらいことはなに?」というように、本人からお話を数分聞いてから、「おうちの人にもお話を聞いていい?途中で何か思い出したらいつでも言っていいよ」と伝えるようにしています。


すると、
「あのねこことここがいたくてきゅーってなって○×△…!!」
と、取りとめがつかなくなる子もいますが、自分の身体感覚を表現してくれるのです。

入院している子どもの場合には、このやりとりを毎日繰り返すことで、自分の体調について自分で考えて、教えてくれるようになります。

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ある日の回診。
6歳のMくんにも「どうかな」と聞いてみたときのこと。

Mくんはうーんと考えて、

「よくなってきたけど、まだ少し、よくない」

と、教えてくれました。

実際に診察をして、検査の結果をみても、本当に彼の表現する通りの結果でした。
子どもたちは、自分の体のことを本当によく分かっているのです。


「痛い」のは誰?

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一方、「どこが痛かった?」と聞くと、お母さんの顔を見て、しーんとだまる子どもも結構います。

またご家族が、「あんたは黙って!」と子どもを遮り、ばーっとお話ししてくれることもあります。

きっといろいろ想いの丈があるのだろうな、と思うのですが、実は高学年になるほど、ご家族の顔色を伺ったり、自分の口で伝えることを躊躇したりする子どもが多いと感じています。


自分の痛いところは、お母さんの顔を見ても分かりません。
お父さんの顔を見たからと言って、痛みを全て伝えてくれるわけでもありません。

実はご家族の思っているのとは、別の痛みがあるかもしれませんよね。


以前も一度、「痛い」という感情について記事を書かせていただいたように、痛いのは「子ども自身」なのです。

「痛い」「つらい」を発信するのは、大切なこと

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集団生活をしているうちに、私たちは、周りの人の顔色を伺い、空気を読むことを勉強していきます。

それが役に立つこともあるけれど、本当はちゃんと自分のことを話してもいいとき、話したほうがいいときもあることは、私たち大人もよく知っていること。
「痛い」「つらい」ときの発信は、その中でもわかりやすいもののひとつです。

自分のことは、自分が一番知っている。

うまく伝わらなくてもあなたの言葉がとても大切だから、周囲の顔色をうかがったり、代弁を求めたりしなくても、そのまんまの言葉でまずは表現してもいいのだということを、子どもたちに保障してあげたい。

緊急性がなければ、病院に行く前にちょっと立ち止まってお子さんの話を聞いてみて、「先生に、自分で言ってみようか」と練習してみるのもいいかもしれません。

家庭でもできる、健康教育。
みんなで子どもの背中を優しく押せたら、いいですね。

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