東京ディズニーシー「ファンタジースプリングス」を一足先にレポート アナ雪、ピーターパン、ラプンツェルを“体感”せよ!

 2024年6月6日に東京ディズニーシーに新たなテーマポート「ファンタジースプリングス」がとうとうグランドオープンを迎えます。それに先立ち、プレスプレビューが開催されました。

 映画「アナと雪の女王」「ピーター・パン」そして「塔の上のラプンツェル」をテーマとしたアトラクションやレストラン、それに豪華なホテルが用意された、魔法の泉の様子を早速ご紹介しましょう。

精霊が住む魔法の泉「ファンタジースプリングス」へ!

 新テーマポートは、「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」をテーマに、3つのディズニー映画をテーマにしたエリアが広がります。東京ディズニーシー完全オリジナルの4つのアトラクション、これもオリジナルの4つのレストラン、ホテルの中にあるショップ、そして東京ディズニーリゾートで初めて“ラグジュアリータイプ”の客室を擁する新たなホテルで構成されています。

 どのアトラクションも映画の世界に入り込み、自分自身のストーリーを感じられるもので、最新の技術を使った演出に驚くしかありませんでした。まずは写真多めでレポートしましょう。

映画のあとの物語を――「フローズンキングダム」であなたもアナとエルサになる

 映画「アナと雪の女王」の世界、真実の愛の魔法を知りハッピーエンディングを迎えたアレンデール王国を舞台とした「フローズンキングダム」を見てみましょう。個人的には最もお勧めのアトラクションがあります。

 アレンデール王国はまさに映画で見たそのものが、目の前に広がっています。アレンデール城に続く橋、その向こうにあるエルサの氷のキャッスル、そして祝祭に沸く街並み。私たちが想像する“アナ雪”の世界を、本当に作り出してしまいました。

 そしてここには、アトラクション「アナとエルサのフローズンジャーニー」がオープンします。ボートに乗って「アナと雪の女王」の物語を体験し、真実の愛がおりなす、姉妹の物語を楽しめるボートライドです。

 アトラクション内は今回撮影禁止ですので、ネタばれにならぬよう配慮したいと思いますが、既にフロリダ、香港と世界のディズニーパークに存在する“アナ雪”アトラクションとはまったく異なる、東京ディズニーシーだけの冒険が楽しめるものとなっていました。これは本当に素晴らしい体験です。映画のストーリーを丹念に追体験できるように作られ、アナやエルサの心情をリンクするかのように、ボートはあちらこちらを巡ります。これこそ“リアルな体験”を追い求めたディズニーテーマパークのアトラクションの本質そのもので、ストーリーを文字通り体感できるようになっていました。良い意味で裏切られた、想像を超える体験ができました!

 もちろん、「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」「とびら開けて」、そしてお待ちかねの「レット・イット・ゴー」も聞くこと、歌うことができます。もはや国民曲となったレリゴーがパークにやってきたのは本当にうれしいことですね。

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|フローズンキングダム

 レストランも忘れてはいけません。このエリアには新たなレストラン「アレンデール・ロイヤルバンケット」があります。私たちゲストがアレンデール城に招かれる形でダイニングエリアに入ると、店内にも映画で見たシーンそのものがモチーフになっており、食べている場合ではないくらいの興奮を感じることができました。たくさんの隠れミッキーもキャストに教えてもらえたので、探してみてはいかがでしょうか。

 このレストランでは、祝宴(バンケット)のお食事として用意されたメニュー「アレンデールロイヤルセット」を提供します。前菜からデザートまで、バンケットホールで執り行われる祝宴の料理をバスケットに盛り込んだセットを、映画の世界が感じられる空間で食べられます。オラフまんもおいしい!

 そして、映画に登場するサウナ付きの山小屋の主人、オーケンが経営する「オーケンのオーケンフード」もオープン。北欧名物の“カルダモンロール”をアレンジした、「オーケンのフッフーブレッド」を提供します。リンゴンベリーのジャムがアクセント。小腹にしっかり効く甘じょっぱさで、食べ歩きにも良いですね。

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|メニュー

冒険心を試せ! 「ピーターパンのネバーランド」でロストキッズになろう

 次に訪れたのは、映画「ピーター・パン」の世界です。ここでは冒険と海賊、妖精たちが主人公。このエリアにある2つのアトラクションを体験してきました。

 まずは「フェアリー・ティンカーベルのビジーバギー」。ネバーランドの妖精の谷「ピクシー・ホロウ」を舞台としたライドアトラクションです。入口をくぐると、私たちはティンカーベルと同じ妖精のサイズに小さくなって、ピクシー・ホロウの四季を巡る旅に出かけることができます。四季折々のティンクの仕事をお手伝いし、荷物を配送していくというものです。

 アトラクションは小さな子どもでも楽しめるタイプのファミリーライド。ビジーバギーはくるくるとまわりながら、季節を移動します。家族にピッタリのアトラクションでした。

 そしてファンタジースプリングスの目玉アトラクションともいえる「ピーターパンのネバーランドアドベンチャー」。私たちゲストはロストキッズの一員として、ピーターパンやティンカーベルとともに、フック船長と海賊たちからジョンを救出する冒険に出かけます。

 こちらもアトラクション乗車中の撮影は禁止でしたので、ネタばれのないよう慎重にレビューをします。3Dメガネを用いたダークライドで、ピーターパンとティンカーベルといえば“空を飛ぶ”という体験が含まれなければなりません。アトラクションであれば「ミッキーのフィルハーマジック」や「ソアリン:ファンタスティック・フライト」を、映画であれば「ベイマックス」や「アラジン」を見ても分かるかもしれませんが、ディズニーが最も注意を払う“空を飛ぶ”という表現が、ここまでていねいに作られているとは! と本当に驚きました。

 東京ディズニーランドに開園時から存在するアトラクション「ピーターパン空の旅」を極限までに進化させた、ディズニー最新のアトラクションがここに誕生しました。個人的な評価ですが、世界最高レベルのディズニーアトラクションだと思います。素晴らしい!

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|ピーターパンのネバーランド

 このエリアには、ピーター・パンの世界観のなかで食事を楽しめるレストラン「ルックアウト・クックアウト」も用意されています。ロストキッズによって作られた隠れ家で、難破してネバーランドに漂着した船の残骸や漂流物で作られています。「ピクシーダストソーダ」がおいしかった!

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|メニュー

ともに輝く未来へ――「ラプンツェルの森」でランタンフェスティバルを体験

 最後に、映画「塔の上のラプンツェル」をテーマとしたエリアをご紹介します。あのラプンツェルの塔がそびえ立っており、遠くからでも目立つ場所になっています。

 アトラクション「ラプンツェルのランタンフェスティバル」は、ディズニーとしてはじめてラプンツェルの物語をアトラクション化しました。年に一度のランタンフェスティバルへと向かう、ロマンティックなボートライドです。

 ボートに乗ると、フリン・ライダーと目が合うだけでなく、塔の上にはラプンツェルの姿も。そしてこの2人の物語を追体験するようにボートは進み、私たちが映画で見たあのランタンのシーンを、自分たちも体験できるという大変素晴らしいアトラクションです。ボートの真正面にあの最初のランタンを見つけたときには興奮しました。まさに“今までで最高の日”が体験できるのではないかと思います。

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|ラプンツェルの森

 そしてここには、映画にも登場したあのレストラン「スナグリーダックリング」があります。ラプンツェルが描いた絵や、荒くれ者たちの残したしるしがたくさんあり、これだけでもハッピーな場所であることが分かります。

 このレストランでは、「ダックリングドリームチーズバーガー」や、「スウィーツエバーアフター」といった、名前だけでもストーリーを感じられるメニューがたくさん用意されています。また、ベジタリアンにおすすめの「プラントベースバーガー」も提供されています。

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|メニュー

グランドオープンは2024年6月6日

 そのほか、このエリアではたくさんのグッズが登場予定です。東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルに作られたショップ「ファンタジースプリングス・ギフト」内の写真を撮ってきましたので、気になるものがあればぜひチェックを。

 東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」のグランドオープンは2024年6月6日。あとほんの少しでその扉が開きます。当初は入場のためにパークチケット以外にも、スタンバイパス(無料)やディズニー・プレミアアクセス(有料)が必要です。ほんの少し予習する必要があるのは残念ですが、誰よりも早く体験したいという方は、公式サイトおよび動画をチェックし、その日に備えてみてください。新エリアは今後数十年、東京ディズニーリゾートの“顔”になりえる場所です。ゆっくり、計画を立ててみてくださいね。

【公式】 東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス|ファンタジースプリングスに入場するには
関連記事:ディズニーシー新エリア「ファンタジースプリングス」の入場には何が必要? 公式が体験方法を案内

関連記事:アナ雪、ラプンツェル、ピーターパンの世界へ! 東京ディズニーシー新エリア「ファンタジースプリングス」セレモニーを開催:100日後にオープンする新エリア

余談:ここまでの道のりを振り返る

 あとほんの少しでオープンを迎えるこの「ファンタジースプリングス」ですが、ここまでの道のりは非常に長かったことをご存じでしょうか。実は最初の報道があったのはいまから約10年前、2014年10月のことでした。ただし、このころは“新テーマポート”という立て付け、場所はロストリバーデルタの南側とだけ発表され、テーマも決まっていない状況でした。

関連記事:東京ディズニーランド・シーの開発構想発表 ファンタジーランド再開発に新しいテーマポート – ねとらぼ

【公式】【広報リリース】東京ディズニーランド、東京ディズニーシー 今後の開発構想について|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート

 動きがあったのは2015年4月。その新テーマポートのテーマが「北欧」であることが発表され、その中には映画「アナと雪の女王」の世界を体験できるエリアを含む、としていました。この段階でも場所はロストリバーデルタの南側で、2017年以降にオープンするとしています。この当時のアートを見ると、今のファンタジースプリングスの規模とは異なり、コンパクトなことが分かります。

【公式】東京ディズニーランド、東京ディズニーシー今後の開発構想大規模開発エリアのテーマ方針を一部決定|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート

 実は、このアートが後に注目を集めることとなります。2023年11月に香港ディズニーランドにオープンした「ワールド・オブ・フローズン」を見ると、このアートで見られる構成要素がほとんどそろっていることが分かるのです。

 さらに話題となったのは、2023年12月に米ディズニーが公開した、難病に苦しむ子どもたちの夢をかなえるMake-A-Wishとの協業をアピールする動画。ディズニーのイマジニアになりたい子どもの夢をかなえるため、アトラクションをデザインし形にするウォルト・ディズニー・イマジニアリングに招待したという動画の中に、なんと上記東京ディズニーシーの幻の“北欧エリア”らしきモデルが映り込んでいたのです。計画はかなり進んでいたことが分かる情報でした。

 しかし、その後計画はさらに動きます。発表からわずか8カ月、2025年12月に“北欧エリア”の構想について、検討期間を延長すると発表します。直接的な理由には触れていませんが、「長期持続的なテーマパーク価値の創出に向けては、2015年中としていた本構想の検討期間の延長が必要と判断いたしました」と発表されています。

「ファンタジースプリングス」プロジェクトのスタート

 再び時が動き出したのは2018年6月でした。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが、ウォルト・ディズニー・カンパニーとの東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト基本計画に合意し、ライセンス契約も最大2076年まで延長されることが発表されました。この時に、現在のファンタジースプリングスの基本的な要素がすべて含まれた、東京ディズニーリゾート史上最大の拡張計画が動くことになります。

関連記事:東京ディズニーシーが拡張へ 「アナ雪」「ラプンツェル」「ピーター・パン」の世界を再現した3つのエリア

 その後の話は、本記事の冒頭でレポートしたとおりです。最初の(スクラップされた)プロジェクト発表からは10年がたちました。オリエンタルランド代表取締役 取締役会議長の加賀見俊夫氏による著書「海を越える想像力」でも触れられていますが、当初米ディズニー側から、映画スタジオをテーマとしたパークを提案されていたものを断り、ここにしかないパークを作ると決断したのはオリエンタルランドでした。海をテーマとすることが決まったあとでも、エントランスに置かれるモチーフとして提案された灯台を、日本人の心情には合わないと変えさせたエピソードもありました(その結果“アクアスフィア”となったことは印象的ですね)。

 先に触れたように、世界のパークを見ると「アナと雪の女王」のアトラクションは既にフロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、そして香港ディズニーランドに「フローズン・エバー・アフター」があります。おそらく当初のアートを見るに、日本でも海外パークに存在したアトラクションが作られる可能性があったことは想像に難くありません。それを、東京ディズニーシーだけにしかない、完全オリジナルなものに仕上げたのは、ほかでもないオリエンタルランドの力ではないかと思います。

 筆者はしばしば海外のディズニーパークに行きますが、現地のマニアにまず聞かれるのは「東京ディズニーシーって素晴らしいんでしょう?」というひと言。海をテーマとし、“ダッフィー”たちを生み出し、唯一無二のショーが存在するパークです。ハードウェアは同じでも、ストーリーやキャラクターというソフトウェアを変えたことで印象が大きく変わった「タワー・オブ・テラー」や「ソアリン:ファンタスティック・フライト」など、ファンの心をつかむ要素がたくさんある場所になりました。そこに新たに、これまた東京ディズニーシーでしか体験ができない新エリア、新アトラクション、新レストラン、そして東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルが登場したのです。

関連記事:東京ディズニーシー新エリアの「ファンタジースプリングスホテル」、一足先にチェックしてきた:ファンタジーな泉のほとりに超高級ホテル登場

 おそらくグランドオープン当初は、そのエリアに足を踏み入れることも難しいかもしれません。しかしこのエリアは、今後数十年は変わらぬ魅力を放つのではないかと思います。プロジェクトスタートから10年越しに現れた、世界に誇れる新エリアは逃げることはありませんので、ゆっくり計画を立ててみてはいかがでしょうか。

(C)Disney