イチロー (C)週刊実話Web

プロ野球シーズンが終盤に差し掛かった9月18日、NPB(日本野球機構)と選手会の事務折衝が行われ、シーズン5試合増の148試合制がNPB側から提案された。

チケットやグッズ・放映権料などの収入増を目論んでいるNPB側は、かねてから試合数の増加を選手会側に要望していた。

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こうした理由について、選手関係委員会委員長の広島東洋カープ・鈴木清明球団本部長は、無観客や入場制限、酒類販売を控えるなどしていたコロナ禍で球団経営が悪化したことを挙げている。 

一方、18日の事務折衝後、選手会の森忠仁事務局長は「ファンが単純に同じもので喜ぶのか」などとして、シーズン試合数の単純増には反対の意向を示している。 

もし実現すれば、1956年の154試合、1963~4年の150試合に次ぐ試合数に。

この提案に、野球ファンは《身体を休める期間がほとんどないのは可哀想》《要はもっと金儲けがしたいですってことだよね? 選手の疲労とかは知りません、と》《いつ休むんだ状態だしそりゃ選手は反対するよ》といった声を上げている。 

だが、影響を受けそうなのは現役選手だけではない。過去に偉大な記録を残したOBも、試合増によって評価が激変しそうなのだ。 

特に影響を受けそうなのが、日米通算4367安打、メジャー通算ゴロアウト数3629と、ともに歴代1位の記録を持つイチロー氏だ。 

イチローの評価が“ただの一流バッター”に? 

「イチローは1994年、当時NPB史上初のシーズン200安打を達成し、最終的に210まで記録を伸ばしました。その後、200安打は10年以上も現れない大記録でしたが、2005年に青木宣親が達成。その後もラミレス、西岡剛らが200安打を放ち、2010年には阪神のマートンが214安打でイチローの日本記録を更新。15年には秋山翔吾が216安打でさらに更新し、現在、イチローは歴代3位です」(スポーツ紙記者) 

こうして簡単に記録が更新されてしまったのは、試合数の増加が一因であるとする説が有力だ。 

「今ではイチローも“数ある200安打達成者の1人”でしかありませんが、イチローが210安打を放ったシーズンは130試合。他の200安打達成者は140試合以上であり、10試合以上も差があります。言うまでもなく、数字を単純に積み増す記録は試合数が多いほど有利。全試合スタメンで4打席ほど立てば、40~50打席以上チャンスがあるわけです」(同) 

近年のプロ野球は打低の傾向にあるが、もし試合数が増えれば、イチロー氏のシーズン記録は埋没していく。

そうなれば、日米通算記録を持つレジェンドも、後世では「大したことなかった」と軽んじて語られるおそれがあるだろう。 

「もし148試合制になれば、シーズン安打数の記録は更新されていくでしょう。前人未到だったイチローの記録も、歴代トップ10のひとつとなってしまうかもしれません。しかし先ほども言ったように、イチローは試合数が少ないハンデがありながらの記録ですから、他の達成者とはワケが違う」(同) 

シーズン記録では並のバッターになってしまいそうなイチロー。通算記録では他を圧倒しているが、その偉業が後世まで語り継がれてほしい。