互いに相手側の非を主張...角田裕毅とストロールのインシデントに各国メディアの見解は様々!「自身の責任ではない接触で…」「ドアを閉めてレースを台無しに」

 F1第17戦アゼルバイジャン・グランプリの決勝で、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、オープニングラップでランス・ストロール(アストンマーティン)と接触して車に大きなダメージを負い、リタイアを余儀なくされている。

 11番グリッドからスタートした角田に対し、ターン4で背後からストロールがインに突っ込んだが、日本人ドライバーは自身のラインを守ったことで接触。角田のマシン「VCARB01」は右サイドポッドに大きな穴が空き、その後も順位を落としながら走行を続けたものの、15周でガレージに戻ってレースを終えた。

 イタリアGPからの連続リタイアとなった角田は、「ストロールの動きは全く必要のないものだったと思います。あのようなリスクを考えないアプローチをしてまで、彼が何を得ようとしたのか分かりませんが、こちらも簡単にそれを許すつもりはありませんでした」と非難のコメントを発している。
  しかし、ストロールはこのインシデントが自身の過失によるものだったと認めることはなく、「僕は内側に飛び込んだ。角田が僕の存在に気付いていたかどうかは分からないが、ドアを閉めてきたので、僕は(接触による)パンクでピットインしなければならなかった」と、こちらもライバルの非を主張した。

 レーススチュワードはこの件を審議の対象とはしなかったが、各国専門メディアの報道を見ると、英国の『F1 OVERSTEER』は「アストンマーティンのドライバーは、ターン4の内側から無理に突っ込んできた」「角田が自身の責任ではない接触でリタイアを余儀なくされたのは、モンツァでニコ・ヒュルケンベルク(ハース)に衝突されて以来2度目となる」と綴り、角田にとっての「もらい事故」だったという見解を示している。 また『PLANETF1.COM』も、「角田は序盤にストロールからダイブボムを受け、彼のレースは大きく妨げられることとなった」と同様の見方。対して『CRASH』は「ストロールが角田に対して遅めの突っ込みを試み、ここで軽い接触が発生した」と問題の場面を振り返るに止め、あとは互いの言い分を紹介した。

『RACE FANS』は「2戦連続で角田のグランプリは、無謀なオーバーテイクを試みたライバルとの接触のダメージにより終了した。彼が悔しがったのも理解できる」と災難続きのRBドライバーに同情したが、『TOTAL MOTORSPORT』は「ストロールに対して無理にドアを閉めたことでリタイアを引き起こした。悔しいことに、彼はポイントを獲得できたはずだ」と指摘している。

『THE RACE』は角田、ストロールともに強引だったと見ているようで、前者について「ポイントを獲得するチャンスがあったかもしれないが、オープニングラップでストロールに対してターンインし、これによってサイドポッドに大きな穴が開いてしまった」とレポートした。オランダの『RN365』も「角田はストロールに対してドアを閉めたことで自らのレースを台無しにしてしまった」とネガティブに伝え、「アストンマーティン側ではこれを『因果応報』と見なすかもしれない」とも記している。
  最後にスペインの『F1i.com』は、“犯人捜し”よりも、「今季、RBにとっては全体的に上手くいかない状況が続いているが、その最大の被害者は角田だ。彼にとってはブレイクアウトシーズンになるはずで、レッドブルのトップシートを狙えるシーズンになる予定だったが、その希望はほぼ消えてしまった。彼は不運続きで、後半戦はポイントを獲得できていない。最新のアップグレードはモンツァでの接触の前にも結果を出せず、バクーでも同様の運命を辿った」と、角田の今季の不運に同情することを選んだ。

 ちなみに、これら各メディアはそれぞれアゼルバイジャンGPでの各ドライバーを評価しており、角田に対しては及第点以上(ストロールよりも上)を与えているところが多く、セッションごとに改善していった予選までのパフォーマンスに「安定していた」「RBの中でより速いドライバーだった」「力強かった」などの賛辞を贈っている。

構成●THE DIGEST編集部

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