現地1月28日、バレーボールの欧州クラブ王者を決定する2025-26シーズンCEVチャンピオンズリーグ(CL)の4回戦グループステージ・セカンドレグ第1戦が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属するシル シコマ モニーニ・ペルージャ(大会担当スポンサーをクラブ名に表記)は、スペインリーグのグアグアス ラス・パルマスとホームで対戦。セットカウント3-1(26-24、25-19、21-25、25-20)で勝利を収め、同ラウンド2試合を残してグループ首位を堅守した。
20日前に行なわれたファーストレグでの対戦は、2セットアップからフルセットへ持ち込まれながら勝点2をもぎ取ったペルージャ。その勝利に大きく貢献したOH石川が4試合ぶりに先発メンンバー入りし、対角に元ウクライナ代表・オレフ・プロトニツキ、司令塔のイタリア代表シモーネ・ジャンネッリ、OPの元チュニジア代表ワシム・ベンタラ、MBのアルゼンチン代表アグスティン・ロセルとイタリア代表ロベルト・ルッソ、Lの元イタリア代表マッシモ・コラチで布陣を組み、グループCで後続につける相手との再戦に挑んだ。
〈S:セッター、OH:アウトサイドヒッター、OP:オポジット、MB:ミドルブロッカー、L:リベロ〉
スペインリーグで現在1位のラス・パルマスは、元イタリア代表OHオスマニー・ユアントレーナと元スペイン代表Sミゲル・アンヘル・デ・アモのベテラン勢とファーストレグで最多得点を挙げたOPのフランシスコ・ワリソン・ソウザ(ブラジル)らが主力としてチームをけん引。前回の対戦からOH1枚をニコラス・ブルーノ(アルゼンチン)に代え、リベロを除き30代と40代の経験豊富な顔ぶれでこの一戦に臨んだ。
第1セットをプロトニツキのエースでスタートさせたペルージャだったが、ブレーク2回を許して序盤に僅差のビハインドを負う。石川は中盤の入りに自身の好守をスペースへ落とす一打で得点に変えて同点とすると、ブロックアウトでベンタラのエース2本を含む3連続ブレークに貢献する。ここで逆転に成功したものの、相手サーブがポジション移動中のベンタラに当たりエースとなった後、石川のバックアタックがラインを割って再び劣勢へ転じる。
2点を追う終盤、プッシュをブロックに吸い込ませて1点差へ詰めた石川は直後にサーブを放った後、ポーランド代表カミル・セメニウクと交代。ペルージャは最終局面でベンタラの好守連発を2連続ブレークへ繋げ、2度目のセットポイントをルッソのブロックで制して辛くも試合を先行した。
第2セット開始からコートへ戻った石川はバックアタックとレフトからのストレート弾で序盤にリードを引き寄せる。ペルージャは誤打などで一時中盤に逆転を許したものの、ジャンネッリのブロックに続きベンタラがこの日3本目のエースを決めて再び優位に立ち、石川のブロックアウトでリードを2点へ広げる。細かくブレークを重ねて迎えた終盤、石川はレフトから放った強烈な打球でルッソのダイレクト弾を呼び込み、自らもジャンネッリの好守に応え相手コートにレフト攻撃を沈めて23-19。そのまま逃げ切りセットを連取した。
ところが第3セットが始まって間もなく、ペルージャはベンタラに被ブロックと誤打が出て3連続ブレークを献上。さらにロングラリーを取り損ねた後、プロトニツキのアタックがコートを外れるなどして前半のうちにビハインドが最大7点まで広がる。苦しい展開で突入した後半、プロトニツキのエース1本を含むサーブで反撃を開始。
石川はジャンネッリがワンハンドで上げたトスをクロスへ叩き込んだ強烈な一打にロセルと2枚で跳んだブロックで追い上げに加勢し、レフトからのノールック弾でついに14-15とする。ペルージャベンチはここでまさかの選手交代。巻き返しに尽力した石川をベンチに下げてチェコ共和国代表ドノヴァン・ジャヴォロノクを投入すると、息を吹き返した相手に4度のブレークを奪われてセットを譲り渡すことになった。
第4セット、再び開始からコートに立った石川は、1-1で自陣へフリーボールが返った後のラリー中にやや後方へずれたトスをブロックリバウンドで繋ごうと試みるも不成功に終わる。すると、その直後にジャヴォロノクと交代。以降、ペルージャは石川をベンチに留めたまま、後半にロセルのサーブで相手の連続誤打を引き出して前へ出ると、徐々にリードを広げ勝利を収めた。
全てのセットに先発としてコートインした石川は12得点(アタック11、ブロック1)。チーム最多得点のベンタラと3セット目まで1ポイント差のパフォーマンスを見せていただけに、繰り返された不可解な交代劇に現地の取材陣やサポーターから疑問の声が飛び交った。
取材に応じた石川も、「よく分からなかったですね」と開口一番。そして、こう続けた。
「1セット目、2セット目と(パフォーマンスは)悪くなかったんですけど、そうではないプレーの方が目立ってしまったのだと思うのでそれを改善するしかないです。3セット目の前半は劣勢でしたけど、後半に巻き返したところで交代になってしまって、その辺は(替えられた意図が)よく分からなかったです。4セット目もスタートで替えられてしまって、、、確かにミスがあって自分のプレーが良くなかったところは反省しています。けれど、個人的には納得のいかない交代でした」
ペルージャの2シーズン、いやそれ以前を振り返っても耳にしたことのない語気の強さが心中を表わしていた。
時期尚早に思われた4セット序盤の交代。直前のプレーについてはこのように説明した。
「打てなかったボールをほかの方法で決めにいこうとしたんですけど、それが僕の判断ミスだったのでそこは仕方ないです。自分のプレーを良くするしかないと思います」
チーム戦略やベンチワークについて個の選手に言及することのないアンジェロ・ロレンツェッティ監督の言葉から真意を探ることは難しいが、現地メディアのインタビューで「試合の中で考えを欠くアタックが1本あった」と発言。完璧を求める指揮官ならではのコメントを残している。また、スタッツから交代の狙いを紐解くならサーブのブレーク貢献度が挙げられる。石川は打数8本。ほか全員が二桁(14~21本)を記録しており、石川に最も近い10本のルッソも第4セット中盤にコートを降りている。
とはいえ、試合後に石川を気遣うチームメートやスタッフの様子からも不可思議な交代だったことは読み取れた。
会場を後にする途中で話をしたプロトニツキは、「ユウキの胸の内は僕だけじゃなくチームのみんなが理解してる。彼は選手として、一人の人間としてずば抜けて強い奴。心配はいらないよ」と背中を叩かれた。
石川と親交のあるペルージャ市内在住のご夫婦からは、「試合翌日は穏やかで朗らかないつも通りのユウキだったよ」との知らせ。一晩で消化しきるあたりはさすがの一言だ。
現地25日には高校時代からケアを任せる野口嵩広トレーナー(NIKOUスポーツケアルーム代表)が渡伊。「コンディションだけはしっかり整えて練習をしっかりしたいと思います」と話す石川の大きな助けとなるはずだ。
ペルージャの次戦はイタリアリーグのレギュラーシーズン8節(日本時間2月2日午前1時開始予定)。9位ソネパル・パドヴァとのアウェー戦に挑む。
取材・文●佳子S・バディアーリ
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