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課題だらけのスイングを修正→4度のMVP「大谷翔平の成功が大きな関心を呼んだ」科学的トレーニング施設ドライブライン、打撃部門が評価されたのは「オオタニのおかげ」

課題だらけのスイングを修正→4度のMVP「大谷翔平の成功が大きな関心を呼んだ」科学的トレーニング施設ドライブライン、打撃部門が評価されたのは「オオタニのおかげ」

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が、科学的トレーニング施設「ドライブライン」の打撃プログラムを成功に導いたようだ。現地1月30日、米放送局『ESPN』のアルデン・ゴンザレス記者がドライブライン社を特集した記事を公開。そこで「ドライブラインの打撃プログラムは大谷のおかげで成功した」と記した。

 ラプソード、トラックマン、ホークアイ、モーションキャプチャなどの機器を用い、科学的分析で投球や打撃のパフォーマンスを向上させる民間施設には、オフになるとメジャーの選手たちが足を運んで最先端のトレーニングを行なっている。

「テクノロジーの恩恵が投手のパフォーマンス向上に大きく貢献した。投球回転数や球質を劇的に改善したり、あるいはまったく新しい球種を生み出せる状況が、投手に大きなメリットをもたらしている。ホークアイのデータに裏付けられた詳細なスカウティングレポートが、相手打者を攻略するための明確なビジョンになっている」

 ゴンザレス記者によると、ドライブライン社は投手優位の現代野球において、打者が打撃面で成功するには極限の環境でのトレーニングが不可欠と考えているという。

 「引退したメジャーリーガーの打者、そして幅広いファン層のなかには、ドライブライン社が打者に必要と考える“バットスピードの速さ”と“打球角度”への執着を、激しく批判する者も少なくない。批判する者たちは、そうした長打率の追及こそ野球というスポーツを均質化し、低打率、高三振率の原因だと主張する。しかし、投手レベルが向上していくなか、成功する打者の特徴も、ますます明確なってきている」

 ドライブライン打撃部門責任者のタナー・ストーキー部長は、「ボールを強く打つことが、打撃の成功に直接関係しているのは明白だ。強く打てば打つほど、内野を抜ける可能性、長打やホームランになる可能性が高くなる。打ち出し角度、アタックアングル、バットの軌道と、多くの要素が打撃にとくに重要になる」と語った。

 ストーキー部長に話を聞いたゴンザレス記者は、「バットスピードと打ちだし角度は、正確な文脈の中で示され、精密なバイオメカニズムのデータで裏付けられ、戦略的に導入されなければいけない」と強調。「これらを正しく適用するには、どのようにすれば最大化できるのか理解する必要がある。そこに真の改善が起きている。このような発展はドライブラインのような施設の内部だけでなく、高度な分析がアマチュアレベルまで浸透し、データ主導型企業の出身者が球団の現場に入り込むなかで、その変化は広がっている」と続けた。

 ストーキー部長によると、現在ではドライブラインの元社員約100人が、メジャーの各球団に在籍。そのうち4分の1は打撃部門出身者のようだ。ドライブライン社を2008年に設立した創設者カイル・ボディをフロントのアドバイザーに招いたボストン・レッドソックスには、元社員が12人在籍しているという。

  元々は投手の投球改善をメイン業務にしていたドライブラインだが、近年は打撃パフォーマンスの向上にも力を入れている。スキーキー部長がリゾナ・クリスチャン大学で務めていた打撃コーチの職を離れ、ドライブラインに加わったのは18年5月。打撃部門が立ち上がってまだ1年半ほどしか経っていないタイミングだった。

「元々、ドライブラインは投手向けのラボとしてしか知られていなかった。そのイメージが変わり始めたのは、2020年の秋。大谷翔平が自身のキャリアで最も重要なオフシーズンを迎えた時だった」

 こう話を続けたゴンザレス記者は、大谷とドライブラインの邂逅にスポットを当てた。

「新型コロナウイルスの影響で短縮された2020年シーズン、二刀流スターを目指していた大谷は散々な結果に終わった。ロサンゼルス・エンジェルスでの3年目、大谷は1度目の肘の手術から完全に回復していたものの、ハイパフォーマンスを発揮できる状態からほど遠かった。マウンドではストライクがほとんど入らず、打席では迷いが見える場面が多かった。そんな大谷が10月最初の1週間、ワシントン州シアトル郊外ケントにあるドライブラインを訪問。投球調整を目的としていたが、打撃プログラムも試してみることにした」

 ここで大谷はストーキー部長とスイングの調整に取り組んだ。「大谷には新たな土台が必要だった。当時のスイングは、体を過度にひねり込み、股関節の回転は遅れ、前足は接地時に滑り、インパクト時のバットは立ちすぎていた。そのため、スイングの勢いで体が流れ、しばしば球に回転をかけ損ねてしまい、引っ張ってフライを打ち上げることが極めて難しくなっていた」と、課題だらけだったという。

 「しかし、バットスピードは超一流で、パワーは桁外れだった。それだけで結果が出てしまうことも少なくなかった」という状態だった。「わずか1か月で、大谷はドライブラインの複合素材製スピードトレーニング用バットを3本も折った。ストーキーは大谷が芯を外して逆方向へ切れるような打球を放つのを見て何度も首をかしげたが、打球データを確認すると、時速100マイル(約161キロ)以上で飛んでいたことが分かった」と、規格外のパワーが顕著だった。

 こうした大谷のスイングは、ストーキー部長にとって想定外だったという。「“正直言って、打撃コーチとしての自分の見方を変える出来事だった”とストーキーは振り返った」。ドライブラインでのトレーニングによって、持ち前のパワーと、最先端技術によるスイング調整の結果、大谷の打力が飛躍的に向上した。

「トレーニングの終盤、ストーキーは大谷のスタッフに対して、30本塁打を打てるほど打席数を積み重ねてほしいと説明した。そして大谷は翌21年、オールスター前に33本塁打を放ち、結果的に46本塁打。21年からの5シーズンで4度の満票MVPという快進撃が始まった」

 ゴンザレス記者によると、20年オフの大谷のドライブラインでのトレーニングが、球界で大きな話題になったという。「大谷の成功は、大きな関心を呼んだ。ストーキーが“この世界では、噂が広がるのが本当に早い”と語ったように、その後、ドライブラインには投手に加えて打撃力向上を求めるメジャーリーグの打者が集まった」。大谷の成功が、ドライブラインの価値をさらに高めたということだ。

「ストーキーはこうも語った。“大谷について、こちらから話すことは許されていなかった。私たちは何も公表しなかった。でも、業界のなかで大谷がドライブラインに来ていたのは知られていた。それがドライブライン打撃部門の追い風のひとつになったんだ”」

 20年オフにドライブラインでトレーニングを重ねた大谷は、21年に46本、22年に34本のアーチを放ち、23年(44本)と24年(54本)には本塁打王。25年はキャリア最多の55発を記録した。さらに長打率とOPSはエンジェルス時代を含め、3年連続でリーグトップに輝いている。

構成●THE DIGEST編集部

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配信元: THE DIGEST

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