25歳で現役を退いたテニスの元世界女王、アシュリー・バーティー(オーストラリア/29歳)が、全豪オープン女子決勝が行なわれた日、メルボルン・パークのコートに姿を見せた。競技者としてではなく、次世代を指導する立場での登場だった。
バーティーは2022年、ロッド・レーバー・アリーナで全豪女子シングルスの頂点に立ち、オーストラリア人女性として44年ぶりに母国大会を制した。自身にとっては、19年の全仏オープン、21年のウインブルドンに続く3度目の四大大会優勝だった。しかし世界1位として絶頂期にあった同年3月、25歳で現役引退を決断し、テニス界に大きな驚きを与えた。
また、そのキャリアはいつも順風満帆だったわけではない。10代で燃え尽き症候群を経験し、一度はラケットを置いている。1年ほどチームスポーツのクリケットを経験したのち、改めてテニスと向き合うようになった。
この日、バーティーが参加したのは、国際テニス殿堂の「Be Legendary」と、オーストラリアテニス協会の育成施策「Super 10s」によるジュニア向けクリニックだった。練習コートには30人の少女たちが集まり、フットワークや身体の使い方といった基本に加え、彼女の代名詞でもあるバックハンドスライスについても指導が行なわれた。
実演では、現役時代のような切れ味はもう出ないと冗談めかしながらも、何本もスライスを打ってみせ、工夫のポイントを丁寧に伝えていった。指導後、バーティーは自身のテニス観について、WTA公式サイトに語っている。
「何本かは感触が良かったので、それはいつだってうれしいものです。私はこの女の子たちとまったく同じなんです。創造的で、好奇心があって、色々なショットを打ってみたくなる。1本打ってみて、『あ、もう一度、もっと良く打てるかな?』って思う。その感覚こそが、私が20年以上にわたってテニスをしてきたなかで、大きな喜びをもたらしてくれたものなんです」
自身も幼少期に多くのクリニックに参加し、ちょうど同じ年頃に、他の選手との差別化を図るためにスライスをどう取り入れるかに強い関心を抱くようになったという。そしてこんな期待も口にした。
「いいスライスがたくさん見られて良かったです。今のツアーでは、あまり多く見られませんからね。数年後、この世代がスライスを少し復活させてくれたらいいな、と思っています」
元世界女王は、頂点に立った経験を含めた自身の競技人生を踏まえ、技術面にとどまらず、テニスと向き合う姿勢についても次世代にメッセージを送った。
構成●スマッシュ編集部
【画像】バーティのジュニアに向けたクリニックの様子!
【連続写真】内側にしぼる動きでパワーアップする、バーティーのバックハンドスライス
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