
【展望|J1百年構想リーグWEST】継続路線のチームが有利。京都は新戦力がどんなスパイスを加えるか。広島は新監督でも優勝争いに絡む可能性が高い
シーズン移行の前に行なわれる特別大会の「百年構想リーグ」。本稿ではJ1の「WEST」を展望する。
――◆――◆――
昨シーズンのJ1で4位の広島、5位の神戸、9位のG大阪が新監督を迎え、選手起用や戦術面にも少なからず変化がありそうだ。もちろんポジティブな変化や成長を期待した監督交代であるはずだが、昨年の柏のように新監督を招聘したチームが序盤戦から噛み合うのはレアケース。半年間しかない大会であることを考えても、継続路線のチームが有利と見るべきだろう。
その筆頭が、昨季3位の京都だ。最終的には優勝した鹿島から勝点8、2位の柏とは同7の差が付いたが、最後の最後に同点ゴールを許した35節・鹿島戦が、シーズンの分水嶺だったのは確かだろう。曺貴裁監督や選手が昨シーズンに体感した、小さなようで大きな差を埋めて、タイトルとACLエリートの出場権を勝ち取りに行く大会になる。
昨夏のE-1選手権で日本代表に選ばれたFW原大智が、開幕直前にドイツ1部のザンクトパウリに移籍したことは痛手だが、サイドアタッカーの新井晴樹や中盤のポリバレントである平岡大陽など、新たな決め手になりうるタレントを加えている。
沖縄キャンプのトレーニングマッチを見ても、曺監督が構築してきた戦術のベースに大きな変化はないなかで、新戦力がどういったスパイスを加えていくか。宮本優太が浦和にレンタルバックした最終ラインはエンリケ・トレヴィザンの加入が心強い。
昨季のルヴァン王者である広島は、新監督でも優勝争いに絡んでくる可能性は高いと見る。田中聡がドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフに移籍したが、WESTの中では主力の入れ替わりが少ない。
そこに浦和から松本泰志が復帰、湘南のエースだった鈴木章斗の加入など、戦力的な上積みがあるのは見逃せないメリットだ。38歳のバルトシュ・ガウル監督に白羽の矢が立った理由は、強化部の綿密なスカウティングをもとに、これまでミヒャエル・スキッベ前監督が構築してきた高強度のサッカーを壊すことなく、方法論にプラスアルファが加えられる手腕が期待されたからだ。
守備戦術やポゼッションに前任者との違いはあるようだが、混乱なく開幕に入っていけるはず。ただ、戦術的な構築と積極的な選手起用を同時にやっていくのは簡単ではないし、ACLエリートも並行して戦う必要がある。そうした事情も考えて、現時点では「対抗」としておきたい。
その広島からスキッベ監督が就任した神戸は、新体制と言っても、指揮官がJリーグをよく知っていることはプラスであることは間違いなく、新指揮官も神戸の大枠を掴んだうえで、チームに入ってきたと見られる。
ただ、宮代大聖がスペイン2部のラス・パルマスに移籍し、エリキが町田に復帰するなど、昨シーズンの上位勢では最もメンバーの入れ替わりが激しい。清水から加入の乾貴士、大型ルーキーの相澤デイビッドなど、これまで神戸になかったものを加えてくれそうなタレントはいるが、ACLエリートを戦いながら百年構想リーグでもタイトルを狙っていくには、やや心もとなさもあるか。
C大阪はアーサー・パパス監督の継続路線で、ターゲットマンの櫻川ソロモン、水戸のJ2優勝を支えた鷹啄トラビスなどを迎え入れ、面白い陣容になった。いわきで成長した石渡ネルソン、U-23日本代表のスピードスター横山夢樹は若手のブレイク候補だ。
G大阪はドイツ人のイェンス・ウィッシング監督の思考が、ダニエル・ポヤトス前監督と大きく異なり、大転換と言っても過言ではない。非常に強度の高いハイプレスと縦に攻め切る新スタイルが、百年構想リーグからどこまで発揮されるか楽しみだが、しばらく産みの苦しみとなるリスクもある。
キャンプからフィットしている感のあった、新戦力の植中朝日が怪我で離脱するのは大きなマイナス要素だ。昨年の関東大学リーグMPVである池谷銀姿郎など、伸びしろのありそうなタレントもいるが、躍進か低迷か、WESTで最も上下の振れ幅が大きいチームかもしれない。
吉田孝行監督が就任した清水は、神戸を2023年と24年のJ1連覇に導いた指揮官のもと、かなり良いチーム作りができている印象だ。戦略的にハイプレスからのショートカウンターやロングボールを活用して、相手を押し込む高強度のサッカーは神戸のそれと大きく変わらないが、チームタスクを植え付けながら、清水の選手たちの個性をどう発揮させていくか、一人ひとりのリーダーシップをどう植え付けていくかがテーマになってくる。
現時点ではベテランの吉田豊や神戸から獲得した本多勇喜の統率がかなり際立っているが、若い宇野禅斗にキャプテンを任せたように、年齢に関係なく前向きに言い合える環境が、吉田サッカーを引き上げていく源だ。
町田から復帰した韓国代表オ・セフンが前線の基準点になりそうだが、ウイングで覚醒的な躍動を見せるアルフレド・ステファンスや、インサイドハーフから幅広くフィニッシュに関わる北川航也が得点力の鍵を握る。髙橋利樹、千葉寛汰、アフメド・アフメドフなどが、どういう競争を見せていくのか。ハイレベルに得点を競うような状況が生まれれば、清水の上位進出も見えてくる。
昇格組の長崎は高木琢也監督がチャレンジとバランスを探りながら、J1基準のチーム作りを模索している。ただ、チアゴ・サンタナ、進藤亮佑、岩崎悠人といったJ1経験のある選手が加わったことは大きい。昨シーズンの新潟で降格を経験した長谷川元希も個としては十分に通用しており、開幕スタメンに抜擢されてもおかしくない。
上位候補はそのあたりと見ているが、そこに“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督が再建中の名古屋、昨シーズンの経験を糧に、さらなる飛躍を目ざす岡山、塚原真也暫定監督が率いる福岡が、どう食らいついていけるか。
名古屋も大きく変わるが、“ミシャサッカー”に精通する高嶺朋樹の加入はこの上なく大きい。10年ぶりの名古屋帰還となる小屋松知哉、高嶺とともにJ2ベストイレブンに輝いたマルクス・ヴィニシウスも頼もしいが、むしろ現在は実績がなくても、ペトロヴィッチ監督の指導で覚醒する選手が出てきたら、26-27シーズンに向けても明るい材料になりそうだ。
岡山は日本代表の佐藤龍之介がFC東京に戻ったが、個で違いを作り出せる西川潤はもちろん、山口から加入した河野孝汰もブレイクが期待できる。福岡は難しい時期になるが、戦力的なポテンシャルはある。特にU-23日本代表の道脇豊が大きく成長して、大型ストライカーとして飛躍することを期待したい。
文●河治良幸
【画像】J1百年構想リーグに臨む各クラブの“最新序列”を一挙紹介!
記事:【展望|J1百年構想リーグEAST】混戦必至のグループ、本命に推したいのは柏。横浜FMの2年目指揮官はスタートから軌道に乗せられるか
【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介
