
「もがきながら、悩みながらやっている」首位撃破に貢献!英2部“日本人対決”に勝利した24歳アタッカーが打ち明けた自身の“現在地” 昨年の日本代表初招集は「刺激になった」【現地発】
1月11日のFAカップのウェストハム戦で右脚の肉離れを負い、以降戦列を離れていたQPRの斉藤光毅が、31日にホームで行われたャンピオンシップ(イングランド2部)コベントリー戦で復帰した。
ピッチに送り込まれたのは同点に追いついた直後の71分。リーグ首位を走る難敵を相手に押せ押せムードとなる中、勝ち越し点が欲しい場面でジュリアン・ステファン監督が期待を寄せたのが日本代表ウインガーだった。そして、その指揮官の願いに応えるがごとく、その2分後、ゴールに絡むプレーを見せる。
敵陣左サイドの高い位置でコベントリーの右MF坂元達裕が不用意にボールをロスト。拾った斉藤はすかさずドリブルで前進し、間髪入れずにスルーパスを送る。走りこんだハービー・ヴェイルが鋭い折り返しを中央へ入れると、GKカール・ラッシュワースは弾くのが精いっぱい。こぼれ球を、中盤に飛び込んだニコラス・マドセンが豪快にゴールに蹴りこんだ。
試合後の斉藤はほかの控え選手ともにウォームダウンを行なったのち、取材に応じた。怪我から戻って最初の試合。出場時間が短かったこともあり、自身のコンディションについては「今日だけでは分からないですね」と苦笑いを浮かべ、「(怪我は)肉離れで、そんなに重くはなかったです。2、3週(で復帰可能)と言われてたので、ちょうど予定通り戻ってこれて、これからもっとコンディション上げていきたいなと思ってます」と続けた。
西ロンドンで迎えた2年目のシーズン。2024年夏、レンタル移籍でチャンピオンシップ(2部リーグ)のQPRへ加入した斉藤は、昨季終了後に一度はレンタル元のベルギーのロンメルへ復帰。しかし8月25日に完全移籍で再びQPRの一員となり、同30日のリーグ戦では途中出場から今季初ゴールをマークした。
その後は左ウイングを主戦場に、ここまで公式戦23試合に出場(うち先発16試合)。2得点2アシストを記録しているものの、本人は現状にまるで満足していない。
「まだ自分の力を発揮しきれてない部分は結構ある感じ。色々もがきながら、悩みながらやってるつもりなんですけど。もうちょっと自分の立場を作って、本当に自分が満足できるようなプレーをしたいなと思ってるんですけど...。自他ともに、満足できるようなプレーをしたいなと思ってて、そのためにはもっと(実力を)示す必要があるし、結果も残さなきゃいけないと思うので、本当頑張んなきゃなと思います」
斉藤自身が厳しい自己評価を下す一方で、昨夏からチームの指揮を執るジュリアン・ステファン監督の信頼は厚い。昨年10月、地元メディアのインタビューで同監督は、次のように評価している。
「コウキはクリエイティブでとても良い選手だ。ドリブルからラストパスを出して、好機をつくり出してくれる。ボックス内での動きやフィニッシュワークはまだ改善できるはずだ」
フランスの名門レンヌとストラスブールを率いた実績を持つフランス人監督について、斉藤は「自分にとってやりやすい監督」と語る。レンヌとストラスブール時代はよりポゼッション志向が強かったが、QPRではパスサッカーをベースにしながらも、チームの実力に合わせてより縦への展開を速めている印象だ。このスタイルが斉藤の特長を引き出している。
「攻撃的なチームという感じです。自分を使ってくれているので、もっと自分を示して勝利に貢献したい。より活躍すれば監督からも信頼を得られると思うし、彼の率いるQPRというチームの価値も上がるので、しっかりやっていきたいです」
「去年はすごく繋ごうとしていたけど、今の監督とはちょっと違いました。去年と今年では全然違うチームになっていると思います。チャンピオンシップで全部繋ごうとするのは、やっぱりすごく難しい。その中でも、うまさがあるチームは本当にすごいですし、自分たちもそういうことやりたい」
昨年10月に初めてフル代表を経験したことについては、「色々な刺激になった」と振り返る。今夏のワールドカップの日本代表メンバー入りについても「常にそこは目指していかなきゃ行けない」と、強い意欲を示した。
「常にそう思い続けてきましたし、これからもそう思い続けるはず。ここで活躍するのが一番大事だと思う。考えすぎるときもあるんですけど、考えすぎた結果、いつも同じ答えにたどり着くので、今を頑張って、成長し続けてもがき続けたいです」
逆転勝利でコベントリーを下したQPRは、勝点を43に伸ばして現在11位。5位のミルウォールとは7差、6位レクスハムとはわずか4差と、プレーオフ出場権も射程圏内に入ってきた。
それでも向上心の塊とも言える24歳は、チーム、そして自身に目を向ける。
「きょうは1位のチームに勝ちましたけど、ベースをもっと上げていかないとダメだと思うし、どんなチームでも、めちゃくちゃ良くても現状に満足してたら優勝はできないと思うんで。自分ももっと活躍して、活躍した先でもそういう気持ちを忘れないようにしたい」
「本当に、自分をもう完璧に出せるようになりたいですね。そうしたらやっぱり上のステージが見えてくると思うし、自然とチームの助けにもなると思うので、そこは」
「どんな場所とかどんな状況でも、その悩みっていうのはつきまとうと思うので、そこでいろんな引き出しを持てるように、もがき続ければ自分の経験値にもなると思う。そこはやり続けたい」
前を見て、上を目指し続ける斉藤光毅の今後のさらなる活躍に期待がかかる。
取材・文●松澤浩三
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