先日行なわれたシーズン最初のテニス四大大会「全豪オープン」は、男女ともに熱戦が相次ぎ、とりわけ大会終盤の盛り上がりが際立った。
中でも現地1月30日の男子準決勝は今大会を象徴する1日となった。昼の第1試合では後に史上最年少での“生涯グランドスラム”(全四大大会制覇)を達成するカルロス・アルカラス(スペイン/大会時世界ランキング1位)が、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同3位)に5時間27分の死闘の末に勝利。
そして夜の第2試合では全豪最多10度の優勝を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア/同4位)が、大会2連覇中だったヤニック・シナー(イタリア/同2位)を4時間9分の激戦で破り、会場を埋め尽くした観客と世界中の視聴者を大いに沸かせた。またエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/同5位)がアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/同1位)に勝利した翌31日夜の女子決勝もフルセットの熱戦となり、今大会を語る上で欠かせない一戦となった。
こうした興行的成功を受け、全豪トーナメントディレクターのクレイグ・タイリー氏は2月1日、豪通信社『AAP』のインタビューで女子シングルスの試合形式を見直す可能性に言及している。
まず同氏は男子準決勝について「二度と再現できないほどの内容で本当に素晴らしかった。今でも思い出すと鳥肌が立つ」と高評。女子決勝についても「信じられない試合だった」とし、「今年はおそらく史上最高の大会だった」と太鼓判を押した。
その上でさらなる大会の成功に向け、タイリー氏は準々決勝から決勝までの上位ラウンドを対象に、女子でも男子と同じ5セットマッチを導入する案を提示した。「今大会は女子の終盤ラウンドにも、仮に5セット制だったらさらに魅力的になっていたであろう試合が幾つもあった」と前置きし、こう続けた。
「選手たちがそれを望むかはわからないが、5セット制の導入は女子の方でも議論されるべきテーマだ。もしそれを実行するなら、そしてそれが正しいことであるなら、早速2027年大会から導入するだろう。規定上、それを妨げるものは何もない」
一方で「それには選手たちとの非常に深い協議が必要だ」とタイリー氏は慎重な姿勢も示す。過去に全豪女子での5セットマッチ導入を巡り、選手側の強い反発を受けて計画が撤回された経緯があるためだ。
1994年には同大会主催側が翌95年大会の女子決勝を5セット制にすると発表したが、当時の女王シュテフィ・グラフ(ドイツ)を中心とした選手側の反対により、この構想は実現に至らなかった。また84年から98年にかけては、女子シーズン最終戦「WTAファイナルズ」でも決勝が5セット制で実施されていたものの、99年から廃止されている。
周知の通り07年からは全ての四大大会において男女で賞金総額が同額となったが、その点を踏まえれば、性別を問わない5セットマッチの導入は突飛な話ではない。ただタイリー氏の言葉通り、慎重な議論を経た上で判断されるべきだろう。
文●中村光佑
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