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自身プロ初のPK戦で1本も止められず。鹿島守護神は「せっかくの機会」でさらなる向上を期す「『自分の方が操っている』くらいの感覚になれれば、勝手に止められる」

自身プロ初のPK戦で1本も止められず。鹿島守護神は「せっかくの機会」でさらなる向上を期す「『自分の方が操っている』くらいの感覚になれれば、勝手に止められる」


 2025年J1に続き、26年J1百年構想リーグでも頂点を狙っている王者・鹿島アントラーズ。2月7日の開幕・FC東京戦から良い入りを見せたかった。スタメンも昨季終盤とほぼ一緒で、安定感ある戦いが期待された。

「今季は自分たちがよりゲームを支配して、ボールを持ちながら、いかにして相手を揺さぶりながら嫌がることをやっていくか。それをテーマに宮崎キャンプから取り組んできました」と、昨季のJ1でMVPに輝いた守護神・早川友基は静かに言う。

 確かに、鬼木達監督2年目の今季は“指揮官の色”が鮮明に出ており、最終ラインからパスをつなぎ、丁寧にビルドアップする場面が昨季よりもかなり増えた。

 ただ、逆にそれを敵に狙われるリスクも上がる。象徴的だったのが、41分の三竿健斗の退場シーン。早川からパスを受けた三竿が組み立てをスタートさせようとした瞬間、マルセロ・ヒアンにボールを奪われ、それを取り返そうとしてDOGSOの判定により、レッドカードを提示された。

 ここから鹿島は10人での戦いを強いられた。直後に遠藤渓太に直接FK弾を決められ、ビハインドを背負ったが、前半終了間際に“伝家の宝刀”のセットプレーでキム・テヒョンが同点弾をゲット。1-1で後半に突入する。その後も耐え忍ぶ展開を強いられ、スコアが動くことなく90分が終了。PK戦を迎えた。
 
 名手の早川を擁する鹿島が優位かと思われたが、FC東京は5人全員が成功。逆に鹿島は4番手の小池龍太のPKがキム・スンギュに防がれ、4-5で敗れた。

「PK戦はプロに入ってから公式戦では初めて。良い緊張感のなか、すごく場を楽しめました。1本でも止められれば良かったですけど、相手もかなり自分を見て蹴ってきたんで、そういうところは回数を重ねて、間合いやメンタリティで上回って、自分のペースに引き込むことが必要。せっかくの機会なんで、そういうことができるようになるといいですね」と、早川は悔しい敗戦でも特別ルールをポジティブに捉えていた。

 重圧のかかる状況下でのPK戦というのは、トップ選手でも経験するチャンスが少ない。日本代表ではワールドカップかアジアカップくらいで、クラブレベルでは天皇杯やルヴァンカップなどのカップ戦に限られる。

 W杯では2010年の南アフリカ大会、22年のカタール大会で、日本はラウンド16でPK戦負けを喫した。キッカーの冷静さや落ち着きが足りなかったか。ゴールマウスを守っていた川島永嗣、権田修一も、相手との駆け引きで上回れたとは言い切れなかった。

 今後、より高いステージに勝ち上がろうと思うなら、チームとしての対策はもちろんのこと、選手個々の経験値を引き上げていくことが肝要。そこは森保一監督も感じている点に違いない。
 
「ワールドカップは、オープンプレーのクオリティを上げることが絶対的に大切。ただ、PK戦で勝負が決まることを重要なポイントとして考えないといけないのも事実。次のワールドカップは前回よりも出場国が増えて1試合、多くなりますし、疲労度も高くなる。そういった時、最後の決定打が出ずにPK戦にもつれ込むというのは大いに考えられる。我々はワールドカップ優勝を目標にしているなかで、2つ3つPKで勝っていくくらいの準備をしていかないといけないと思います」

 この日、味の素スタジアムに視察に訪れた森保監督はそう強調したが、Jリーグ組の早川や大迫敬介(広島)は、この4か月間で積極的なトライができる環境を得たということになる。その追い風を活かして、W杯に向かっていく必要があるのだ。

「相手が止まってから蹴るとか、助走をあまりつけずに早く蹴るとか、蹴り方を急に変えるとか、PKではいろんな特徴が出てくると思います。それを自分のデータ集積につなげていきたい。蹴る方が絶対に緊張しているので、そこで『自分の方が操っている』というくらいの感覚になれれば、勝手に止められるようになる。そういうところをもっともっと引き上げていきたいと思います」と早川も意気込む。
 
 2026年北中米W杯参戦が有力視される彼が、この百年構想リーグを通して“PKストップのスペシャリスト”になってくれれば、いざという時に日本を救える人材と位置づけられ、重用されるかもしれない。

 今回のFC東京戦では結果が出なかったが、残り17試合を有効活用し、鹿島により多くの勝点をもたらせるように務めていくべきだ。ここから早川がどう変貌していくのか。それを興味深く見守っていきたいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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