
敵地で千葉に2発快勝。浦和の時計が未来に向け、また動き出したことを感じさせる26年初陣。渡邊凌磨は言う「ちゃんと結果で恩返ししたい」
浦和レッズはJ1百年構想リーグの開幕節で、17年ぶりのJ1昇格となるジェフユナイテッド千葉と敵地で対戦し、2-0の勝利を飾った。
2020年シーズン以来となる開幕戦の勝利であり、昨季は勝率の悪かったアウェーで幸先良く勝てたことも、前向きに捉えられる。マチェイ・スコルジャ監督は珍しく記者会見でも饒舌だった。
司会進行の「それでは試合の振り返りをお願いします」という前振りから、冒頭だけで日本語の通訳を含めて5分間にわたって語り続けた。概要としては、選手それぞれが高いレベルでプレーしてくれたこと、メンタル面でも立ち上がりからアグレッシブに、強度の高いプレーを見せて2得点に繋げられたこと、そこからカウンターのチャンスも作れたが、もう少し連係やゴール前の冷静さがあれば3点目を奪えたこと、後半も昨季のアウェーに比べると相手陣内でプレーできるシーンが多かったこと、などだ。
そのなかでも大卒ルーキーの肥田野蓮治と松尾佑介の2トップは、沖縄キャンプからスコルジャ監督が温めてきたプランで、特に千葉のようにコンパクトな4-4-2を敷く守備に対しては、常に裏抜けを狙う彼らの動きは有効だった。
GK西川周作のロングボールと肥田野の競り合いを起点に、千葉の連係ミスから松尾がPKを獲得した1点目、左サイドの攻撃から松尾がサイドを破り、角度のないシュートのこぼれ球に肥田野が反応した2点目ともに、その狙いが表われたのは確かな手応えだろう。
ハイプレスとミドルブロックを使い分けながら、最後は中締めを徹底する浦和に対して、千葉もアウトサイドから背後を狙う攻撃で13本のCKを取るなど、見どころがなかったわけはない。
それでも浦和は守備強度が落ちかけたところで、スコルジャ監督は交代カードをうまく使って試合をクローズした。肥田野の早い時間での交代に関しては、試合前から筋肉の問題があり、メディカルスタッフの指示で60分前後に決めていたという。
また“キャンプ得点王”だったFW照内利和が終盤に投入されると、関根貴大のクロスにイサーク・キーセ・テリンが合わせたボールを押し込むも、オフサイドに嫌われるシーンがあった。
惜しくも開幕ゴールとはならなかったが、トップ昇格の1年目だった昨年からは見違えるように堂々としたプレーを見せた。最後は20歳の早川隼平が、石原広教とともに試合を閉める役割をこなすなど、浦和の時計が未来に向けて、また動き出したことを感じさせる試合となった。
このゲームを前に、アウェー側のサポーターから「赤き血のイレブン」が鳴り響き、キックオフ後も松尾がPKを獲得するまで続いた。これは通常、ACLやクラブワールカップの試合で歌われるチャントであり、この百年構想リーグでアジアの切符を掴み取り、再び世界を目ざしていこうという明確なメッセージが込められていたと受け取れる。
浦和のチームキャプテンに就任して、初めての公式戦となった渡邊凌磨は「もちろん選手も、それしか狙ってない。毎年、毎年、そう言っていて、なかなか結果を残せないからダメでしょって言われるかもしれないけど、僕らはそこに本気で取り組んでいる。それをああいう形で、サポーターが後押ししてくれるというのは、ものすごい力を借りれているので。ちゃんと結果で恩返ししたい」と語る。
アカデミーからの生え抜きである早川も「もちろん伝わっていますし、選手たちもそれは感じながらプレーができていると思います。自分が高校2年生の時にJリーグで川崎とやって、その後にACLファイナルだった。その川崎戦からACLに行く時の赤き血のイレブン、みんなの声援はずっと鳥肌の感覚が残っていますし、もう1回みんなとあのような景色を見に行けるように頑張りたい」と意気込んだ。
昨季3位の京都サンガF.C.から復帰し、開幕戦から最終ラインを統率した宮本優太も「みんな昨年のリーグ戦でも悔しい思いをして、クラブワールドカップで悔しい思いをして、そういう気持ちはファン・サポーターからも感じますし、僕らとしても感じる部分あったので、その一歩に繋がる試合ができたのかなと思います」と語る。タイトルを獲得するために、浦和に帰ってきたという宮本だが、その先には当然アジア、世界の舞台がある。
2026-27シーズンを前にした、百年構想リーグの位置付けに関してはクラブによって考え方が違うし、ある種の準備期間として割り切るクラブもあるかもしれない。しかし、浦和はここで何が何でもタイトルを獲得し、次のACLEへの最後の切符を勝ち取るという「浦和ファミリー」の思いが伝わってくる開幕戦だった。
取材・文●河治良幸
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