ウクライナのスケルトン選手、ウラディスラフ・ヘラスケビッチは、ミラノ・コルティナ五輪への出場を禁止された件について「これは私たちの尊厳の代償だ」と語った。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシアによるウクライナ侵攻で命を落とした選手たちの写真をあしらったヘルメットを着用し続けたとして、ヘラスケビッチを出場禁止とした。IOCは、これが規則違反にあたるとしている。
ヘラスケビッチは競技が始まる現地12日までのすべての公式練習でそのヘルメットを着用していたが、10日にIOCから「オリンピック憲章に適合しない」と通告され、競技での着用は認められなかった。
IOCのキルスティ・コベントリー会長は、最初のスケルトン予選が始まる木曜朝7時30分(現地時間)に最終的な説得を試みるためコルティナのコースを訪れ、ヘラスケビッチと面会した。
しかしIOCによると、ヘラスケビッチは「いかなる妥協案も受け入れなかった」という。同選手は次のように説明している。
「IOCはヘラスケビッチ氏の出場を強く望んでいた。そのため、ロシアのウクライナ侵攻によって命を落とした仲間のアスリートを追悼したいという彼の思いに対し、最も敬意を払った形で対応する方法を探るため、直接話し合いの場を設けた」
出場禁止の決定後、ヘラスケビッチはSNSで「これは私たちの尊厳の代償だ」と投稿。メダルの可能性もあると評価されていた26歳は、英放送局『BBC Sports』に対し、出場できないことに「虚しさ」を感じていると次のように語った。
「この種目でメダル争いに加われたかもしれない。しかし、私が同意できない規則の解釈によって、突然出場できなくなった。同じような状況でも出場を認められ、処分も受けていない選手たちもいる」
「『表現のガイドライン』というのは、とても大きな概念だ。何を“表現”と見なすのか。ここにはさまざまな色で塗られたヘルメットを使っている選手がいるが、それも一種の表現だろう。国のシンボルを入れている選手もいる。それも表現だ。でも、なぜか彼らのヘルメットはチェックされず、出場も認められている」
ヘラスケビッチは事前に本番での着用を予告し、ヘルメットは追悼の意を込めたもので規則に違反しないと主張していた。IOCが着用をやめるよう繰り返し説得した末に、競技直前に失格となる五輪史上でも類をみない異例の展開となった。
構成●THE DIGEST編集部
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