現在開催中の男子テニスツアー「Nexoダラス・オープン」(2月9日~15日/アメリカ・ダラス/室内ハードコート/ATP500)で、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現3位)に次ぐ現役選手2人目となるシングルス通算600勝を達成した37歳の名手マリン・チリッチ(クロアチア/現61位)が、ATP(男子プロテニス協会)公式サイトのインタビューでこれまでのキャリアにおける“印象的な勝利”について語っている。
現地2月10日に行なわれた1回戦で20歳の新星ラーナー・ティエン(アメリカ/同23位)に7-5、7-6(4)で勝利し、節目の記録に到達したチリッチ。かつて世界ランキングで3位にまで上り詰めた経験を持つ彼は、2014年全米オープン準決勝のロジャー・フェデラー(スイス/元1位)戦と、18年全豪オープン準々決勝のラファエル・ナダル(スペイン/元1位)戦を“記憶に残る勝利”に挙げる。
「全米準決勝でロジャーと対戦した試合は自分でも信じられないレベルのプレーができた。全豪のラファ戦もそんな感じだったと思う。ああいう試合はキャリアの中で幾つかあったけど、その2試合は自分の中でも本当に最高のパフォーマンスだった」
通算11度の対戦でわずか1度しか勝てなかったフェデラーから6-3、6-4、6-4という衝撃のスコアで挙げた全米での唯一の勝利が、チリッチに自身唯一のグランドスラム・タイトルをもたらした。その勢いのまま臨んだ決勝でも同世代のライバル錦織圭(現36歳/元4位)を6-3、6-3、6-3のストレートで撃破。この錦織戦も忘れられない勝利の一つだとチリッチは言う。
「あの試合では技術とショットの感触、コンディションとの調和が最高の一体感を生み出した。そして本能のまま、自由にプレーして、全てが美しく流れていった。あの試合は、本当に純粋なプレーができた」
2度にわたるヒザの手術を経てようやくつかみ取った600勝。だからこそ、同じく20年以上過酷なツアーで第一線を走り続け、現時点で1168勝というとんでもない数字を積み上げた38歳のジョコビッチには、ただただ敬意しかない。そしてそんなレジェンドの歩みは自分の大きなインスピレーションにもなっていると、37歳は笑顔で語った。
「彼は自分のはるか先を行っている。僕らは互いに何年もツアーで戦ってきたが、それだけでも本当に大きな功績だと思う。長いキャリアの中では、様々なことを経験するものだ。素晴らしいシーズンもあれば、苦しい瞬間もある。そうした道のりを経て培ってきた情熱や向上心、粘り強さというものは残り続ける。それがこの600勝という節目の記録に到達する上で間違いなく助けになった」
黄金期を築いたビッグ4と互角に渡り合い、幾多の苦難を乗り越えて新たな1ページを刻んだ今、クロアチアテニス界の英雄は次なる到達点へと歩みを進めていく。
文●中村光佑
【動画】チリッチが印象的な勝利の一つに挙げた錦織との2014年全米決勝のマッチポイント
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