ミラノ・コルティナ五輪、スケルトンのウクライナ代表ウラジスラフ・ヘラスケビッチに下されたのは、競技直前での失格という非情な裁定だった。4年に一度の大舞台を目前に控えたタイミングでの決定は、選手本人のみならず世界中の関係者に大きな衝撃を与えた。
問題視されたのは着用を予定していた特別なヘルメットだ。そこには、ロシアによる侵攻開始以降に命を落としたウクライナのアスリートや子どもたちの写真があしらわれていた。国際オリンピック委員会(IOC)は「競技中の政治的表現を禁じる規定」に抵触すると判断し、着用を認めなかった。IOC側は黒い腕章の着用など代替案を提示したが、議論は平行線をたどった。
ヘラスケビッチは「これは政治的主張ではなく追悼だ。規則違反ではない」と強く反論。出場禁止の決定後には、自身のSNSで「これは私たちの尊厳の代償だ」と、やり場のない憤りを綴った。
そして今、舞台はスポーツ仲裁裁判所(CAS)へと移った。審理を前に、ヘラスケビッチは自身のXで、決意に満ちた言葉を投稿した。
「まもなく、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での審理が始まる。私はIOCのいかなる規則にも違反していないと確信しており、今回の失格はまったく正当なものではないと考えている。皆さんからの支援はすべて届いており、それが私に大きな力を与えてくれている」
「平和の祭典」において自国の悲劇を悼む行為が「政治的」として排除されるべきなのか。CASはどのような結論を示すのか。
構成●THE DIGEST編集部
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