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「他でプレーは想像できない」松永拓朗が語る“東芝愛”とV3への覚悟、その先にあるW杯出場への想い【ラグビーリーグワン】

「他でプレーは想像できない」松永拓朗が語る“東芝愛”とV3への覚悟、その先にあるW杯出場への想い【ラグビーリーグワン】

東芝ブレイブルーパス東京が、好きだ。

 喧嘩さながらの実戦練習と緻密な戦術ミーティング、やや年季の入ったクラブハウスでの交歓や何かにつけて「パーティー」を開く傾向…。

 
 加入5季目の松永拓朗は、人と人とが繋がる自軍の文化を愛している。

 大阪府出身。奈良の天理大で1年時から司令塔だった。4年目の2020年度には、同部史上初の大学日本一に輝いた。

 卒業後の進路を考えたのは、その約1年前だ。折しも、東芝本体の経営危機が報じられていた。それでも複数のクラブのトレーニングに体験参加すれば、ブレイブルーパスはどこよりもロッカー室の雰囲気がよかったようだ。この場所でなら、自身も「このチームのために」と意気に感じるだろうと確信した。

 母校と空気が似ていたからだ。伸びやかかつかん高い調子で述べる。

 「他の大学の先輩に『ほんまに天理大は仲がいいな』と言われるくらい。やっぱり、(社会に出る時も)自然とそういうチームを好んでいたというか、求めていました」

 予感は的中し、いまに至る。

 2シーズン目から、おもに最後尾のフルバックでレギュラー格となった。周りと連係を取りながら、持ち前の鋭い走りを連発。有事には元職場のスタンドオフを担い、万能性もアピールした。

 昨季まで国内リーグワンで2連覇を達成。V3を目指すのに先立ち、社員選手から専業のプロに転じた。己の市場価値を外部に問うことは、決してしないつもりだ。

「何て言ったらいいか、わからないですけど、思いは、強いです。他の場所でプレーすることは全く想像できないです。東芝愛、根付いています」

 副将として臨む注目のシーズンは、昨年12月にスタートさせた。初戦黒星も徐々に復調し、今年1月24日の東京・秩父宮ラグビー場で目下ベストゲームと言える80分を作った。

 前年度のファイナルと同カードとなった第6節で、対するクボタスピアーズ船橋・東京ベイの全勝を止めた。

 ラストワンプレーでエースのリッチー・モウンガが逆転トライを決め、24―20とした。松永はその間、長身選手との空中戦で「絶対、(球を)捕ってやろう」と競り勝ったり、きれと技巧で味方を前進させたり。

 一時的にリードを許しながらも劇的な勝利を挙げるまでのゲームの終盤を、簡潔に振り返った。

「自分のなかで、強い東芝というか、去年、一昨年みたいに勝ち続け、優勝する雰囲気を感じた瞬間がありました」

 好事魔多し。翌々週には栃木の敵地で、前年度11位の三重ホンダヒートに38-44で敗れた。スピアーズ戦と同じく「勝つビジョンしか見えていない。負けようと思ってやってない」と最後の最後に追撃を披露したが、それまでにリードを与えすぎていた。

 貴重な白星を掴んだ次の節で、タフなチャレンジャーの後塵を拝した。

 追われる者の立場を再認識する。

「(置かれた条件の)難しさを理解したうえで挑んだのですが、こういう結果に…。チャレンジングでした。(パスが読まれるなど)相手が凄く準備したのだろうなと思ったシーンもいっぱいありました。僕たちはボールを動かすラグビーがしたいですが、ホンダさんはそうさせへんように前に出てきて、プレッシャーを与えてきた」 もっともここまでの戦いで、貴重な経験を得た。

 怪我を治していた37歳のリーチ マイケル主将がヒート戦で戻ってくるまで、27歳の松永がゲーム主将を務めてきた。重責を担って得た感覚を、この先は一選手として活かす。
 「それまでであれば自分だけにフォーカスして試合をしていたところ、チーム全体を見ないといけませんでした。(ブレイブルーパスの)うまくいっていること、いっていないことを理解していないといけないし、レフリーとのコミュニケーションも必要。持つべき視野が広がった感じです。マイケルさんが主将をするのは、チームに軸ができることに繋がります。ただ、僕たちにはわからない重圧を感じているはず。それを少しでもほぐれるよう、サポートしたいです」

 日本代表でも期待される。

 2024年秋のニュージーランド代表戦でデビューを飾り、25年のウェールズ代表戦で先発して先制トライも決めた。そのウェールズ代表で膝を痛めて長期離脱を余儀なくされ、復帰戦と定めた同10月のオーストラリア代表戦にも出られなかった。

 悔やまれる足跡を残しながら、2月2日に発表された今年の日本代表候補55名には名を連ねた。視野に入るのは、27年のワールドカップオーストラリア大会だろう。

 渦中、当の本人は…。

「まだワイドスコッド。ここから(リーグワンで)パフォーマンスを上げて(6月の活動組に)残っていかなきゃいけない」

 世界で暴れるためにも、愛する集団におけるよきプレーメーカーでありたい。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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配信元: THE DIGEST

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