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メジャーを知る2人の援軍と、確たる理由のある隅田の招集。井端監督が持つ深い野球観【侍ジャパン合宿レポート:1日目】

メジャーを知る2人の援軍と、確たる理由のある隅田の招集。井端監督が持つ深い野球観【侍ジャパン合宿レポート:1日目】

2月14日、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)に向けた侍ジャパンの国内合宿がスタートした。松井秀喜、ダルビッシュ有(パドレス)といった強力な援軍を携えて、初日は順調に滑り出したといっていい。

「怪我が続いているので、これを止めないといけないなと思っています。こういうのはプレミアの時もそうでしたけど、続いたりするので。今日はいいスタートが切れて良かったと思います」

 全体練習をひと通り終えると、井端弘和監督はそう振り返った。2023年の前回大会の後で指揮官に就任した井端は、これまでさまざまな国際大会を通じて手腕を鍛え上げてきた。それとともに独自の観察眼で、今回の代表メンバーを選考してきた。

 前回の代表監督とはまるで真逆だ。ロマンを語り、ファンにとって聞こえのいい言葉を並べて人気者になったのが栗山英樹で、井端監督は冒頭の言葉にあるように現実を直視するような指揮官だ。チームの歩みそのものを大切にするタイプといえよう。

 ヤンキースなどで活躍した松井の臨時コーチ就任と、前回大会優勝の陰の立役者ダルビッシュのアドバイザー就任は、いずれも井端監督の根回しによる。松井は「井端監督が就任された時からお話をいただいていた」というし、ダルビッシュは「敬語で話してくるんです。圧がすごかった」とその想いに折れた経緯を語っている。「光栄なことです」と2人は口を揃えた。
 現役時代の井端監督は無口な職人気質の選手だったように見えていたが、実に雄弁で理論家だ。どんな質問にも深い知識で回答し、根性論や精神論に逃げることはない。

 松井と話したのも、アメリカ代表チームのキャプテン、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)をはじめとする現地の野球事情についてだという。

「(松井の存在は)日本とアメリカで実績は出してきたのでプラスにしかならないと思いますけど、話を聞いたのはジャッジのことですね。彼がどのように変化していったかというところですよね。若い頃から今のところまでどう変化していくかというのは選手も聞きたいところですし、自分も興味がありますし、そういうところは聞きました」

 キャンプにはまだ現役のメジャーリーガーはすべて合流していないが、代表メンバー入りした菊池雄星(エンジェルス)の話では、「なるべく早く、宮崎合宿から来てほしい」と声をかけてもらったという。松井氏やダルビッシュらに加えて、菊池らメジャーを知る選手たちの存在がどれだけ大きいのかを理解しているのだろう。根回しはチーム力の醸成を狙ってのものだろう、
  一方、チームづくりにも余念がない。阪神の石井大智が辞退したのに変わり、隅田知一郎選手を招集。その理由を聞かれるとこう答えている。

「隅田は実績がありますし、強化試合の時などでもチェンジアップを封印したりと、彼なりにいろいろ考えてやっていました。投げているボールを見ての判断になりますけど(起用法としては)第2先発とか、(リリーフとして)1イニングをピシャッと抑えてくれればいいのかなと。

 どうしても左の中継ぎが必要になってきているので、3人は投げないといけないというところで彼は間違いなく抑えてくれるというふうな判断をしています。状態を見ながら、それが第2先発なのか、それ以降なのかを判断しようかなと思います」

 故障を受けての付け焼き刃ではなく、井端監督ならではの観察眼がある。今回のチームには隅田をはじめ、種市篤暉(ロッテ)、森下翔太(阪神)など過去に代表歴のない選手を3年間でじっくり育ててきたと実績がある。それだけ井端監督は彼らの成長をじっくり見てきたのだ。
  初日ということで、それほど大きな動きはなかったものの、今後のスケジュールについても、井端監督なりの青写真はしっかりと描かれている印象だった。

 井端監督は合宿のこの先についてこう展望を語った。

「明日はライブBPはやらないです。サインプレーを一気にやって、次のクールは3日間あるので、2回ぐらいライブBPをやりながらと考えています。そこは選手に任してるんですけど、選手が自分なりの調整とプランを立ててるのかなと思います。結構、やるんだなという印象があります。バッターに関しても試合を多くしてもどうなのかというのもあるんですけど。打席数の確保はライブBP等でできるんで、ピッチャーは実戦形式はチームでやってきてここに来ているので、バッターはまだ全員が揃っていないっていう中では多く打席が立てるのかなとは思っています」。

 23年のWBC優勝の後を引き継いだ井端監督。深い野球観からのチームづくりは、3年の歳月を経て一本筋が通ったものになりつつある。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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配信元: THE DIGEST

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