実業団チームによる国内最高峰の団体戦「第40回テニス日本リーグ」の決勝トーナメントが、横浜国際プール(横浜市)で2月13日から15日にかけて開催。最終日には男女決勝および3位決定戦が行なわれ、男子決勝はイカイが橋本総業ホールディングスに2-1で競り勝ち、3年ぶり5度目の優勝を飾った。
苦しい戦いだった。最初に入ったイカイのシングルス2、徳田廉大は2日前の準々決勝で右太ももを肉離れし、テーピングを巻いてコートに立っていた。それでもランキングで勝る徳田は橋本総業HDの福田創楽を相手に、一歩も引かない戦いを演じる。
最大の武器である高速バックハンドをクロスへ、ダウンザラインへと自在に打ち込み、第1セットをタイブレークの末に先取。福田も負けじと強力なサービスからの3球目攻撃など早い展開で押し、第2セットのタイブレークを物にする。
勝負のかかったファイナルセットのマッチタイブレーク、全力で飛ばしてきた福田は右足にケイレンを起こして動きが鈍るが、それ以上にダメージを負っていたのは徳田の方だった。「最後、右足がどうしても踏み込めなくなった。棒立ちで打たざるを得ず、ミスが出た」
生命線であるバックハンドが3本、4本とネットにかかる。共にぎりぎりの状態で戦った2人だが、最後は徳田のフォアがネットして軍配は福田に上がった。ただ、この徳田の奮闘が、最終的にはチームの勝利の鍵となる。
続くシングルス1は助っ人外国人同士の対戦となり、ビッグサービスで押したイカイのズカエフ(カザフスタン)が橋本総業HDのサムレジ(タイ)をマッチタイブレークの末に破って1-1に追いつく。
こうなるとイカイにはデビスカップ日本代表の柚木武と、安定感の高い松田康希のペアがいる。橋本総業HDのビツウンテアン零朗/三井駿介もキレのあるショットで食い下がったが、力の差は詰め切れなかった。
柚木がビッグサービスを随所で決め、ネットで壁のように立ちはだかる。松田はソツのないプレーで相手を崩し、要所では狙いすましたストレートリターンでエースを奪う。2人の持ち味がよく噛み合い、6-2、7-6(1)で勝利。イカイが逆転優勝を決めた。
「デ杯も日本リーグも団体戦、与えられた役目をやるのは同じ」と高い集中力を見せた柚木。「僕のリターンが試合の中でキーになると理解していた」と、勝負どころを読んで叩きにいった松田。2人が勝利の立役者であることは間違いないし、松田はMVPも受賞したが、イカイの土橋謙一監督は敗れた徳田を“陰の殊勲者”に挙げる。
右足を痛めた徳田は決勝に出場できるかぎりぎりまでわからない状態だった。「徳田が出ていなければ(松田がS2に回るため)、柚木/松田のペアは出せなかった。このペアが日本リーグで最強、1-1で回せば勝ちだと思っていた」と土橋監督。
徳田がケガを押して出場し、負けても気迫のプレーでつなげたことが、イカイに勝利を呼び込んだ。「僕がMVPですね」――徳田の冗談にチームメイトたちの笑顔が弾けた。
◆男子決勝結果
○イカイ[2-1]橋本総業ホールディングス●
S1 ○ベイビット・ズカエフ 7-6(2) 4-6 10-8 カスジット・サムレジ●
S2 ●徳田廉大 7-6(3) 6-7(6) 7-10 福田創楽○
D ○柚木武/松田康希 6-2 7-6(1) ビツウンテアン零朗/三井駿介●
◆男子3位決定戦結果
○エキスパートパワーシズオカ[2-1]ノアインドアステージ●
S1 ○熊坂拓哉 7-6(5) 7-5 松田龍樹●
S2 ●高橋勇人 3-6 3-6 小見山僚○
D ○南知惺/菊池玄吾 2-6 6-4 10-4 坂井勇仁/畠山尚●
◆男子最終順位
優勝 イカイ
準優勝 橋本総業ホールディングス
3位 エキスパートパワーシズオカ
4位 ノアインドアステージ
5位 三菱電機
5位 レック興発
7位 山喜
7位 伊予銀行
◆最高殊勲選手:松田康希(イカイ)
◆最優秀新人選手:三井駿介(橋本総業ホールディングス)
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
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