
J3勢相手に苦戦。「この現状? 言うことはないですね」ジュビロ川島永嗣の偽らざる本音「厳しさが育まれるグループにしたい」
2020年代突入後、J1とJ2を行き来している名門ジュビロ磐田。25年もJ1昇格プレーオフまで辿り着きながら、準決勝で徳島ヴォルティスに敗退した。今回のJ2・J3百年構想リーグから志垣良監督体制へ移行し、夏開幕の26-27シーズンでのJ1再昇格に向かっているところだ。
しかし、2月7日の開幕・AC長野パルセイロ戦でいきなり苦戦。スコアレスで90分を終え、何とかPK戦で勝ち切ったものの、J3クラブを相手に攻撃の形を見出せず、やや不安な幕開けとなったのだ。
そこから1週間、修正を図り、迎えた15日のFC岐阜戦。彼らもJ3だが、ご存じの通り、開幕戦では、槙野智章新監督の初陣となった藤枝MYFCを2-0で撃破し、勢いに乗っている。磐田にとっては難敵以外の何者でもなかった。
志垣監督は前回からスタメンを4枚替え。レノファ山口FCを率いていた時の秘蔵っ子である相田勇樹をスタメンに抜擢するなど、攻撃陣の活性化を図ろうとしたが、前半はなかなかうまくいかない。
「ミドルスペースまでは侵入できたが、そこから先をどう崩すかが課題」と指揮官は話したが、前線の圧力を示せないまま、前半の45分が終わった。
そこで後半からはグスタボ・シルバや渡邉りょうら持ち駒を次々と投入。攻撃のギアを上げようと試みたが、逆に岐阜に2点を食らってしまう。
61分の1失点目は井上潮音、67分の2失点目は川﨑一輝が、それぞれ相手にボールを奪われたのが発端となった。球際や強度を重視する志垣監督にしてみれば、納得できないシーンだったのではないか。
その後、途中出場の佐藤凌我が1点を返したものの、終わってみれば1-2の敗戦。J3勢との開幕2試合で勝点2という状況は、J1を目ざすクラブとしては厳しいと言わざるを得ないだろう。
「この現状? 言うことはないですね。自分たちが新しいシーズンに向けて、何かを見せられてるわけでもないですし。今日は守備のところで、球際で負けることが多かったし、相手に簡単に崩されるシーンも多かった。ベースの部分が足りていないのかなと思います」
試合後、苦言を呈したのは、キャプテンの川島永嗣である。
2024年の磐田加入後、彼は常に高い基準を追い求めてきたが、チーム全体が成長できているという実感を掴み切れていない。それが偽らざる本音だという。
「2年前のJ1開幕戦で神戸と戦った時、インテンシティが足りないというのは、みんなが感じたはず。そこからJ2に落ちて、昨年も上がれなかったわけですけど、そこに立ち返った時、自分たちが成長できているのかと言われたら、そうとも言い切れない。
周りも成長していますし、もう一度、自分たちを見つめ直さないといけない。僕は改めてそう感じました」と、世界を知る大ベテランは厳しい表情をのぞかせたのだ。
川島が指摘した通り、この日の磐田は球際で負けたり、ボールを奪われるシーンが目についた。丁寧にビルドアップしながら攻めようという意識が高い分、相手のプレスに引っかかりがちなのも確かだが、局面のバトルで負けてしまったら、勝利の確率は自ずと低下してしまう。
「志垣さんも、今日のミーティングで『球際や寄せが一番大事だ』という話をしていましたけど、それがピッチ上で出せていない。一生懸命やっていない選手はいないと思いますけど、まだまだ足りないことを自分たちが一番理解しなきゃいけない。
そこが変わらないと何も変わらない。メンバーも昨年とあまり変わっていないわけですし、しっかり向き合っていくしかないと思います」と、42歳の守護神は今一度、チーム全体を引き締める覚悟だ。
たとえば川島がイメージするのは、13日のV・ファーレン長崎戦でスタートから凄まじいハイプレスを見せた神戸のような戦いぶりだ。
神戸は6日の開幕・京都サンガF.C.戦からACLEを含めて連戦の真っただ中にいるが、それでも強度や球際へのこだわりは保っている。かつて川島が日本代表で共闘した酒井高徳や武藤嘉紀らのパフォーマンスが光っていることも大きいが、高い意識が窺えるのは事実だ。
「神戸はこの1週間でACLE含めて2試合を戦っているのに、長崎相手に85分くらいまで、あれだけのハイプレッシャーの中でやっていた。そういう現状を踏まえて、僕らはどこにフォーカスすべきか、何が足りないのかをしっかり考える必要があると思います。もっと厳しさが育まれるようなグループにしていきたい。それが自分の役割でもありますから」
川島は語気を強めたが、それも磐田を強い集団にしたいからこそ。神戸の基準に達するにはまだ時間がかかるかもしれないが、まずは基本的なところから修正を図り、コンビネーションやコミュニケーションを高めていくことが、前進への近道だろう。
2月21日の相手も、J3勢の松本山雅FCだ。ここでも躓くようだと、本当に暗雲立ち込める状況にならないとも限らない。それだけは絶対に回避しなければいけない。次こそは手応えのあるゲームを見せてほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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