
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ!「イメージなかった」「めっちゃキレイ」「幻想的」 コチラが冬の熊本の名所に「雪が降ってる」光景です
トキも体調崩すかも?
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
本作は第20週から「熊本編」に入りました。96話では「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、職場の第五高等中学校(現:熊本大学)で手を揉みながら、同僚の英語教師「作山(演:橋本淳)」にストーブをつけてほしいと頼む場面が話題になっています。
ヘブンが熊本に移住することを決めたのは、松江で「洋妾(ラシャメン)」と差別されるようになった妻「松野トキ(演:高石あかり)」を守るためというほかに、松江の冬が寒すぎて耐えられないという理由もありました。しかし、引っ越した熊本も結局寒く、ヘブンは「オモッテタノ、チガウ…」と愚痴をこぼしています。
96話終了後の『あさイチ』では、MCの博多華丸さんが「意外と寒いとか……いやいや寒いのよ。ちゃんと」「何か勘違いされている。九州と沖縄が一緒になっているみたいな」と、九州の冬はイメージよりも寒いことを語っていました。
視聴者からも、「熊本も冬は寒いんじゃないか?昔は今より暖かかったんか?と思ってたら、やっぱり寒かったんだね」「九州とは縁もゆかりもない私でも、ヘブン先生が移住決意した辺りの回から『冬の熊本って言うほど暖かいか…?』って薄々思ってたし」「熊本生まれの宮崎育ち、島根にも2年仕事で滞在した私から言うと、熊本は島根より若干暖かいけど冬の熊本は思いの外寒いです」「熊本県民としてなんかモヤモヤした笑 冬は寒くて、夏は超暑いよ」といった反応が相次いでいます。
ヘブンのモデル、ラフカディオ・ハーンさんは、日本に来る前にアメリカ南部のニューオーリンズや、西インド諸島の仏領マルティニーク島で暮らしており、身体が温かい気候に慣れて寒さへの耐性が低かったそうです。彼が来日1年目で過ごした1890年の松江の冬は、猛吹雪が続き雪が1.5m近く積もる厳冬となり、ハーンさんは肺を病んで寝込む羽目になりました。
その後1891年11月から住んだ熊本は、松江ほどではないもののハーンさんにとって十分寒かったようで、親友の西田千太郎さん(「錦織友一」のモデル)宛の手紙で
「わたしは、こちらで二十二日、二十三日、二十四日、二十五日と風邪を引きましたが、松江ではこれほど風邪を引いたことはありませんでした(中略)熊本は、本当に冬が暖かいところか疑い始めています」(1891年11月30日付)
と語っています。
また、1892年4月12日付の手紙では、ハーンさんは熊本で熱病が流行っていることや、妻・セツさんがインフルエンザで3週間にわたって寝込み、自分も4日ほど熱が出たことを書いていました。なれない土地への移住は、セツさんにとっても負担になったのかもしれません。今後、トキが病気になる展開もありえそうです。
ちなみに、ハーンさんは寒さ以外にも西洋化が進んだ熊本に関して、西田さんへの手紙で「わたしがこれまで日本で住んでいた一番興味のない都市であることに変わりありません」「日本で最も醜く、不快な都市です」と、たびたび強烈な批判を書いています。神社仏閣、武家屋敷などハーンさんの求める日本らしい風景が少ないことが、大きな不満になってしまったようです。
『ばけばけ』ではヘブンがいきなり「熊本ディス」をしていたことが話題になっていましたが、史実よりはかなりマイルドに描かれていると言えるでしょう。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(八雲会)、『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)
