ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのアルペンスキー女子大回転で、イタリアのフェデリカ・ブリニョネがスーパー大回転に続いて今大会自身2つ目の金メダル獲得という偉業を成し遂げた際、2位となったライバルのサラ・ヘクトルとテアルイセ・シェールネスンが、「女王」の前にひざまずいて敬意を表した場面は、世界的に大きな話題となった。
これについては、各国メディアもポジティブに報じたが、そんな中でイタリアの日刊紙『Avvenire』は2月17日の記事で、「純粋なスポーツの美しさと謙虚さが凝縮されている。勝者を称える行為そのものが、競技の価値を高めている」との賛辞を贈ると同時に、先週末にサッカー界で見られた対照的なある行為に言及し、現代スポーツが抱える深刻な問題についても論じている。
問題の場面が見られたのは、現地2月14日のセリエA第25節インテル対ユベントス戦。冬季五輪の開会式が行なわれたサン・シーロでの一戦で、42分にインテルのアレッサンドロ・バストーニをピエール・カルルが倒したとして2枚目の警告を受けてユベントスのDFが退場となったが、これがバストーニのシミュレーションではないかとの批判が噴出。カルルが退場を命じられた際にバストーニが喜びを爆発させた点も物議を醸した。
試合は数的優位を得たインテルが後に劇的な形で勝利(3-2。後半アディショナルタイムに決勝点)を飾ったこともあり、ユベントスやそのファンは怒りが収まらず、SNSやメディアでは連日、賛否が飛び交っている。同メディアは、こうした状況について「もはやひとつの判定を超え、サッカー界全体のあり方が問われている」と指摘する。
記事ではこの対照的な2つの場面の画像が掲載され、「問題の本質は個別の判定ではなく、これらの写真が映し出す『感情と価値観の落差』にある。スキー競技が示したのは、勝敗を超えた敬意と節度だった。一方、サッカーがさらけ出したのは、過剰な対立と疑念、そして議論の低俗化だ」と綴っている。
同紙は、サッカーだけが特別に「腐敗している」と単純化する考え方は退けながらも、「近年、多くの競技が教育的価値や倫理観を高めてきているのに対し、サッカーは進歩どころか『後退』しているように映る」と警鐘を鳴らす。その結果、「競技環境そのものを敬遠する声も生まれており、スポーツが人を育てる場であるという前提が揺らいでいる」と現状の危うさを紹介した。
さらに、VARをはじめとするテクノロジーの導入が、逆に不信感を増幅させている点にも言及。「準備不足や不明確な運用が、審判の判断を理解不能なものにし、ファンの怒りを煽っている」とも分析し、「社会全体に広がる極端な分断意識や『敵味方』の構図が、サッカーの世界で最も露骨に表出している」とも指摘する。
そして、「バストーニの行為そのものよりも、それに激しく反応する我々自身の姿こそが問題だ。我々はピッチ上の選手ではなく、自身の姿を鏡で見ているのかもしれない」として、誹謗中傷や脅迫が飛び交う状況に対し、「それはもはやスポーツではなく、教育以前の社会の姿だ」と強い警告を発して記事を締め括っている。
そのバストーニ本人は、17日に行なわれたCLボデ/グリムト戦の前日会見に出席。伊紙『Gazzetta dello Sport』によると、「接触を感じた時、有利になるために大げさに転んでしまった。率直に申し訳なく思っている。とくにその後のガッツポーズは。とても醜い、プレー中のハイテンションの産物だった。ああいう反応をしてしまったことをお詫びしたい」と謝罪のコメントを残した。
構成●THE DIGEST編集部
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