今年のトレード・デッドラインで、最も注目を浴びていたのは間違いなくヤニス・アデトクンボだった。ミルウォーキー・バックス在籍13年目の今季、チームは開幕からなかなか波に乗れず、イースタン・カンファレンス12位の23勝30敗(勝率43.4%)でオールスターブレイクを迎えていた。
今季のロスターにはマイルズ・ターナーやカイル・クーズマ、ライアン・ロリンズ、ケビン・ポーターJr.らが所属し、今月8日にはスコアラーのキャム・トーマスを補強。だがヤニスはふくらはぎの負傷によって1月下旬から離脱している。
プロ入りからバックス一筋のエースは、移籍に関して様々な噂が挙がっていたが、デッドラインの現地時間2月5日(日本時間6日、日付は以下同)までに、トレードが実現することはなかった。
また、ヤニス自身は今年1月に『The Athletic』へ「俺が『トレードしてくれ』と公に発言する瞬間なんて絶対にない」と語っており、オールスターウィークエンド期間に公開された『ESPN』とのインタビューでもこう話していた。
「今日をもって、俺はミルウォーキー・バックスへコミットする。一緒に働く人たちやチームメイトたち、コーチングスタッフ、そしてコーチのドック(リバースHC)とフロントオフィスのジョン(ホーストGM)へコミットする。
今年初めからずっと言ってきたけど、自分の口から、そして俺の振る舞いから見ても、ミルウォーキー・バックスにいたくないと言うことは決してない」
ヤニスの現行契約は残り2年で、2027-28シーズンがプレーヤーオプション。『ESPN』を筆頭に、複数のメディアがトレードに関してリポートしているとはいえ、本人はバックスへコミットする姿勢を見せている。
それでも、今季のバックスは2015-16シーズン以来となるシーズン負け越しの可能性もある。プレーオフへの道が途絶えたわけではないが、現実的にはプレーイン・トーナメントを勝ち上がらなければ、ポストシーズン進出は難しいかもしれない。
となると、今夏には再びトレードの噂が浮上してもおかしくない。『ESPN』とのインタビューで、ヤニスは過去2年の王者オクラホマシティ・サンダーとボストン・セルティックスで、自分がどのようにフィットするかを考えたことがあると明かしていた。
そんな中、17日に元選手のダニー・グリーン(元サンアントニオ・スパーズほか)が『ESPN』の番組『NBA Today』へ出演。移籍先候補に挙げられるロサンゼルス・レイカーズで、ルカ・ドンチッチがタッグを組んだことを想定し、否定的な意見を発していた。「ヤニスとルカの組み合わせは良いと思うけど、うまくいくかどうかはわからないね。レブロンとルカの組み合わせでさえ懐疑的だったんだから。レブロンはIQが高い選手で、どちらかと言えばパサーなんだ。
一方のヤニスはボールを必要とし、トランジション重視。ルカはハーフコートでスローダウンするタイプだけど、ボールも必要だ。最初に聞いた時は興奮したけど、実際にうまくいくのか?(この先)どうなるかも、本当に理に適っているのかもわからない」
スロベニアの神童ドンチッチと、“ギリシャの怪物”ヤニス。NBAを代表するスーパースターがタッグを組めば、大きな話題となることは間違いない。
ただし、グリーンが指摘したように、ハーフコートで真価を発揮するドンチッチと、どちらかと言うとオープンコートに強いヤニスがうまく噛み合う保証はない。
ヤニス率いるバックスが2021年にリーグ制覇できたのは、彼の周囲にクリス・ミドルトン(現ダラス・マーベリックス)、ドリュー・ホリデー(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)を配置し、ボールをシェアできていたことが要因のひとつだった。
現役時代に3チームで優勝を経験したグリーンの眼には、ボールを長く持つことを好むドンチッチとヤニスのコンビが機能するか、疑問に映ったのだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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