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福山雅治、長崎での熱い瞬間を映画に「ライブの記録ではなく、美しき記憶として見ていただけたら」<月光>

福山雅治、長崎での熱い瞬間を映画に「ライブの記録ではなく、美しき記憶として見ていただけたら」<月光>

福山雅治にインタビュー
福山雅治にインタビュー / 板橋淳一

福山雅治が自身の誕生日である2月6日に映画「FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM@NAGASAKI 月光 ずっとこの光につながっていたんだ」を全国公開。この映像は、2024年10月13日に長崎スタジアムシティのこけら落としとして開催したフリーライブを単なるライブの追体験ではなく、“ライブを超えたライブ体験”が味わえる作品に編集したもの。本作にかける思いや地元長崎の魅力などたっぷり語ってもらった。

■映画館で体験してもらうライブフィルムが完成

――まずは2024年10月13日に長崎スタジアムシティのこけら落としとして開催したフリーライブ「FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM@NAGASAKI 月光 ずっとこの光につながっていたんだ」が映画化することになったいきさつを教えてください。

故郷である長崎を舞台とした作品を制作できてうれしいです。振り返れば1980年代になるのですが、僕が15歳の時、長崎の街に「ザ・ベストテン」(TBS系)というテレビ番組の生中継があったんです。思春期だった自分は、普段はつまらない街に感じていたのですが、その時の街の景色が、いつも知っている景色と全然違っていて。エンターテインメントの力で街の熱量が一気に高まるのを目の当たりにして、衝撃を受けました。

――それは衝撃的な体験でしたね。

当時、中学生だった自分が見た景色が出発点でした。街全体をエンターテインメントの力で盛り上げたいという思いがあったんです。それで、長崎スタジアムシティができる際にこけら落としライブのお話を頂いたので、「可能であればフリーライブにしたい」と提案しました。ハードルは高かったのですが、ジャパネットグループの高田旭人社長をはじめ、皆さんが賛同してくださって、フリーライブが実現しました。長崎での熱い瞬間を映像として届けることができました。

――熱い瞬間を切り取る形で映像化する際、DVD化ではなく映画化という考えは、最初から構想としてありましたか?

そうですね。日本武道館でのライブ「言霊の幸わう夏」をライブフィルムとして制作したので、今回が2作目です。最初のライブフィルムの時は、正直見たい人がいるのかなとあまり乗り気ではなかったんですよ。でも、武道館の興奮をそのままパッケージするのではなく、自分の頭の中にある理想のサウンドで届けたり、こういう見え方をしたい、こういう演出がオーディエンスに届くといいなという理想を映像化・音源化できるのがライブフィルムの良さなんだと分かって、今回もライブフィルムにしました。

――ライブの記録ではなく、長崎の風景が差し込まれるなど、映画作品として完成していますね。

ライブで現場で撮れたものはあくまで素材です。それを基に映画という作品へ昇華し、映画館で体験してもらうライブフィルムになりました。

■長崎の魅力は坂本龍馬を演じて深く学んだ

――フリーライブのタイトルに「Great Freedom」に込められた思いは?

「Great Freedom」、大いなる自由というタイトルを掲げました。では、何が自由なんだと思いますよね。僕自身、13歳の頃にギターと出会って、非常に自由な感覚になれたんです。学校も家庭も悪くはないですが、当時は思春期特有の閉塞感やいら立ちがありました。でも、ロックミュージックやギターと出会ったことで、その閉塞感やイライラも含めて解放された。音楽の世界に没入することで、さまざまな感情を解き放つことができたんです。

モヤモヤしたもの、イライラしたもの、甘酸っぱい恋愛感情、どこか遠い街へ出て行ってみたいという冒険心…そういったものを音楽の中で解放することができました。それは僕にとって自由を感じた体験でした。音楽やギターによって精神の自由を得た感覚が、まさに「Great Freedom」だった。皆さんにもそんな体験をしてほしいという思いを込めたタイトルです。

――今作はライブ体験と同時に、長崎の魅力も感じられる作品になっています。

僕自身、長崎にいた当時は正直、その魅力を分かっていませんでした。改めて深く学んだのは、大河ドラマ「龍馬伝」(2010年、NHK総合ほか)で坂本龍馬さんを演じた時です。長崎の歴史を坂本龍馬さんを軸に遡ることで、江戸から明治へと続く、日本の近代化に影響を与えた外国との歴史を知ることができました。自由という概念が西欧から日本に入ってきた場所が長崎だった。長崎が自由へと向かっていった歴史と、自分自身がロックやギターと出会い精神的に自由になっていった体験を重ね合わせられたらいいなと思ったんです。

――福山さんにとって長崎はご自身と深くつながっている場所なんですね。

はい。日本が近代化していく歴史を象徴する場所であり、多くの情報や人が入ってきて、時代の変化を体現してきた街。それが長崎の魅力だと思います。その変化の中で生まれた人や建造物など、さまざまな歴史が刻まれている。それは大きな魅力ですよね。

■幸福は「食べたいものが食べられて、行きたいところに行ける」

――先日、今作の完成披露試写会イベントがありましたが、トークコーナーでファンの方に質問に回答される場面もありました。改めて、ファンの方との交流はいかがでしたか?

現在はライブ中ですが、ライブはもちろん、ラジオ番組でもファンの方と交流させていただいています。試写会ではさまざまな質問を頂き、皆さんの高い熱量を感じてうれしかったですね。また、ファンクラブ限定で5回実施した「12分にわたる全曲ダイジェストムービー」のオンライン試写会もありました。

その時は皆さんが実況しながら、その後感想をXにポストしてくださって。非常に没入してくださった様子でした。「これを映画館で見たらどうなるんだろう」と。感動した、涙したという声もあり、ライブとは違う、ライブフィルムでしか感じられない体験が伝わったことがうれしかったです。

――イベントでのトークでは健康論についてお話されていましたが、福山さんの幸福論についてお伺いしたいです。

やっぱり食べたいものが食べられて、飲みたいものが飲めて、行きたいところに行ける。それは幸福ですよね。それは健康な体があってこそ。僕も視力が落ちてきたり、五感が衰えてきたりしていますが(笑)。健康イコール幸せだと思います。ただ、ずっと健康でいられるわけではない。でも、健康でなくても、支えてくれる人や寄り添ってくれる人がいることが幸せなんじゃないでしょうか。

――本当にそうですね。

もちろん人とつながれていることは幸せです。ただ、誰とでも完全にリラックスできるわけではなく、気を使う部分もありますよね。でも、気を使いながらも人とつながっていることは大切だと思います。僕にとっては毎週のラジオが、人とのつながりを実感できる大切な場所なんです。

――そして、長崎の人々とのつながりも大切にされていますね。

年を重ねるほど、やはり自分の根っこはここにあると感じます。18歳までに経験したことは、自分にとってとても大きい。作詞作曲や芝居の表現など、7割くらいは長崎にいた自分が根っこにあると思います。変わりたいと思っていたけれど、案外変わっていないのかもしれませんね。

――最後に、この映画を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

見たことも聞いたこともない作品になったらいいなと思っています。ライブというドキュメンタリーを記録しているのですが、それはあくまで記録。記憶というものは、時に美化されることもありますよね。長崎の景色を曲間に差し込んだり、現場では起きていないこともライブフィルムというエンターテインメント作品として味付けや編集を施しています。

ある種、美しく美化された記憶だと感じていただいて構いません。それこそがライブフィルムの意味だと思っています。僕の脳内にある理想の映像と理想の音を表現する。理想はなかなかたどり着けないものですが、だからこそ映画にする意味がある。僕が理想にたどり着こうとする、その過程こそが物語なんです。ライブの記録ではなく、美しき記憶として見ていただけたらうれしいです。

◆取材・文=福田恵子

※高田旭人の高は正しくは「はしご高」

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