ベスト8が出揃った女子テニスツアー「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」(2月15日~21日/UAE・ドバイ/ハードコート/WTA1000)で、大会運営側も頭を悩ませる“異常事態”が起きている。ここまでで計24人もの選手が欠場または途中棄権するという、深刻な状況に陥っているのだ。
今大会にノーシードで参戦した元世界2位のパウラ・バドサ(現70位)もその1人。現地17日に行なわれたエリーナ・スビトリーナ(ウクライナ/現9位)との2回戦で、第1セットを4-6で落とした直後に右太ももの負傷によるリタイアを表明し、無念の敗退となった。
これでツアー大会におけるバドサの途中棄権は過去12カ月で5度目。スペインのテニス専門サイト『Punto de Break』によれば、キャリア通算では実に37度目にも上る。
リタイア続きの現状を受け、ネット上では「競技への敬意を欠く行為だ」とバドサに対する批判が噴出。しかし彼女はこうした心無い声に対し、スビトリーナ戦後のメディア対応で次のように反論した。
「慢性的なケガを抱えながらもプレーを続けること、毎朝自分の身体がどういう状態なのかわからないまま目を覚まし、解決策を模索しながら愛する者のために全てを捧げて戦うということがどういうことなのか、見ているだけの人々にはわからないと思う」
周知の通り28歳のバドサは近年、慢性的な背中のケガをはじめフィジカル面で苦しんでおり、かつて自己最高の2位を記録したランキングも現在は70位。過去には早期の引退を考えたこともあったほどだった。今季もここまで6試合を戦って2勝4敗と黒星が先行しており、先週は股関節の違和感を理由に「カタール・トタルエナジーズ・オープン」(カタール・ドーハ/ハード/WTA1000)を欠場していた。
そんな苦しい状況の中でも「引退は考えていない」と気持ちは前向きだ。「私が痛みに苦しみながら苦難を乗り越えるための道を探す中で、終わりのない悪夢を見続けていることをわかってほしい」としつつも、自身の「人生観」を力強くこう示す。
「テニスコートに立てば全てが報われると思っている。だから私は挑戦し続けるし、これからもそのスタンスを変えるつもりはない。私は情熱のため、自分自身のためにプレーしている。たとえ続けられる可能性が1%でもあるなら、私はそれを選ぶ」
アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/現1位)とイガ・シフィオンテク(ポーランド/同2位)のドバイ欠場にトーナメントディレクターのサラー・タフラク氏は強い不満を示していたが、過密日程がもたらす身体的負担の問題は軽視できない。今大会の“異例事態”は、改めて過酷なツアーの在り方に一石を投じるものとなりそうだ。
文●中村光佑
【動画】「ドバイ選手権」スビトリーナとの2回戦でバドサが棄権するまでの第1セット・ハイライト
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