今季のイースタン・カンファレンスは、昨年のファイナリストのインディアナ・ペイサーズが司令塔のタイリース・ハリバートンをアキレス腱断裂で欠き、15勝40敗(勝率27.3%)の14位と低迷。一昨季の王者ボストン・セルティックスはジェイソン・テイタムが不在ながら2位の35勝19敗(勝率64.8%)と大きく勝ち越しているが、その好調チームに5.5ゲーム差をつけて、デトロイト・ピストンズが40勝13敗(勝率75.5%)で首位に立っている。
ライバルチームの苦戦があったとはいえ、ピストンズがカンファレンス首位のみならず、リーグトップに立つと予想した人は少なかったはず。昨季はイースト6位の44勝38敗(勝率53.7%)を記録したが、一昨季の同時期にはリーグワーストの8勝46敗に沈んでいたことを考えれば、驚異的な躍進を見せていると言っていい。
就任2年目のJB・ビッカースタッフHC(ヘッドコーチ)の下、今季のピストンズはケイド・カニングハムの平均25.3点を筆頭に計6選手が2桁のアベレージを記録中。
そのうちカニングハムとジェイレン・デューレン、アサー・トンプソン、アイザイア・スチュワートの4人は、ピストンズからドラフト指名またはこのチームでNBAキャリアをスタートさせた選手たちで、彼らヤングコアを軸に現在の地位へ上り詰めた。
今年のオールスターにはカニングハムとデューレンを送り込んだが、ピストンズから複数のオールスター選手が選ばれたのは、2007-08シーズンの3人(チャンシー・ビラップス、リチャード・ハミルトン、ラシード・ウォーレス)以来初だ。
現地時間2月17日に『NBA.com』へ公開された記事の中で、カニングハムは「自分たちのレースを全力で突き進んでいくだけ。今の自分たちの状況を気に入っているし、シーズンをいい形で終えられるよう、引き続き努力していく」と、自信を覗かせていた。
ピストンズは2月3日の3チーム間トレードで、若手有望ガードのジェイデン・アイビーを手放し、ランニングシューターのケビン・ハーター、クロアチア人ビッグマンのダリオ・シャリッチを獲得。その後シャリッチをウェイブ(保有権放棄)し、2WAY契約のデニス・ジェンキンスと本契約を結び、ウェイブしていたアイザック・ジョーンズを2WAY契約で呼び戻した。
ヤングコアの周囲をトバイアス・ハリスやダンカン・ロビンソン、キャリス・ルバート、ジャボンテ・グリーンといったベテラン陣が支える布陣は強力。今季喫した連敗は2連敗が2回あるだけで、直近7戦を6勝1敗と大きく勝ち越してオールスターブレイクに突入した。 一方、2月9日のシャーロット・ホーネッツ戦で起きた乱闘事件によって、デューレンが19日のニューヨーク・ニックス戦まで、スチュワートが3月1日のオーランド・マジック戦まで出場停止処分を受けたため、球宴明け序盤は戦力ダウンを余儀なくされる。
得点とリバウンドで平均ダブルダブルをマークするデューレン、効果的なカバーやリムプロテクトで存在感を発揮するスチュワートを欠くのは痛いが、シーズンを通じてリーグ2位のディフェンシブ・レーティング(108.3)を誇る堅守がある限り、チームが大崩れする可能性は低い。
苦しい時期も逃げずに立ち向かい、リーグトップレベルのチームへ昇華したピストンズ。その過程で牽引役を務めてきたカニングハムはこう話す。
「大変だった。ここまで長い道のりだったけど、日々の練習を通じてチームメイトたちと絆を深め、この街とできる限りつながって、勝利をもたらす方法を見つけようと努力してきた。
この街がリスペクトし、愛するのは毎日コートに立って競い合う人たちなんだ。僕らのプレーが気に入らない時もあっただろう。でも、自分たちは解決策を見つけて、いま何かが動き始めて、何かが築かれている。あとはもう、このまま前へと突き進んでいくだけだ」
今季のイーストはピストンズのほか、テイタム復帰の可能性を残すセルティックス、ジェイレン・ブランソンとカール・アンソニー・タウンズを擁するニックス、ジェームズ・ハーデンを加えたクリーブランド・キャバリアーズなど、後半戦はより激しい上位争いが見込まれる。
そのタフな環境で、ピストンズは首位をキープできるか。そしてプレーオフを勝ち上がることができるのか必見だ。
文●秋山裕之(フリーライター)
【画像】NBAの頂点に立った男たち!王者を決める最終決戦「NBA FINAL」でMVPに輝いた選手を一挙紹介

