先日行なわれたNBAオールスターで、4年連続5回目の出場となったボストン・セルティックスのジェイレン・ブラウン。USAストライプスの一員としてUSAスターズと対戦した第2試合では、若手軍団相手に血が騒いだか、チーム最多の11得点に3リバウンド、1ブロックと奮闘。42-40の勝利に貢献した。
そのブラウンがオールスター期間中に提供したもうひとつの話題が、「プロバスケットボールのキャリアを終えたあと、格闘技への参戦に興味がある」とメディアセッションで明かしたことだ。
「実際に考えたことがあるし、関係者とも話した。キャリアを終えたあとには、UFCとかボクシングに参戦してみたいと思っているんだ。ダナ・ホワイトとも話をしているよ」
UFC は、アメリカを拠点とする総合格闘技(MMA)の最大規模のプロ団体 。ダナ・ホワイトは、そのUFCのCEOだ。
ブラウンはもともと、格闘技やマーシャルアーツ(東洋の武術や格闘技全般)を普段のトレーニングに取り入れていることで知られる。
以前『ニューヨーク・タイムズ』が掲載した記事によれば、2023年のプレーオフで、7戦に及ぶ激闘の末にカンファレンス決勝でマイアミ・ヒートに敗れたあと、自身の力不足だと責任を感じたブラウンは、ボストン市内にあるマーシャル・アーツ施設を訪れ「これまでにやってこなかった新しいものに挑戦したい」とトレーナーにアドバイスを求めたという。
そして提案されたのがムエイタイだ。両拳、両肘、両膝、両すねと、身体の8つの部位を武器として駆使することから『八肢の芸術』とも呼ばれるムエイタイでは、スピード、パワー、反射神経を鍛える徹底的なトレーニングが求められる。トレーナーは、こうしたトレーニングがバスケットボールにも役立つと考えた。
またトレーナーは、性格が優しいブラウン自身、攻撃的な側面を持つ格闘技をやることで、アグレッシブさを自分の中から引き出したかったのだろうとも話している。
直接的な効果かどうかはさておき、ブラウンは翌シーズン、セルティックを16年ぶりのチャンピオンに導き、ファイナルMVPにも選出された。
今シーズンが始まる前には、フィリピンの英雄である元ボクシング世界王者、マニー・パッキャオのもとを訪問している。
パッキャオのチームが公開した短い動画の中でブラウンは、「他の競技をやることで、バスケットボールのプラスになると自分は信じています。例えばボクシングのフットワークなどです」と、一時は同国で政治家にもなったチャンピオンに熱く語っている。
それを聞いて、おなじみのフットワークを披露したパッキャオは、アジアのバスケ大国フィリピン出身らしく、大のバスケファン。ほぼ余興とはいえ、母国のプロリーグの試合に出場した経験もある。
198cm・101kgのブラウンは、体重でいうとヘビー級クラスだが、上腕二頭筋が盛り上がった筋骨隆々の肉体は、全盛期のマイク・タイソン級とは言えないまでも、かなり立派だ。
高校時代にはチェスもやっていたという頭脳派のブラウンにとっては、すべてがバスケットボールを極める上で血となり肉となる。オールスターが終わり、シーズンもいよいよ佳境に突入する。セルティックの頼れるリーダーは、より一層闘志を燃やしていることだろう。
文●小川由紀子
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