今年のNBAオールスターは、史上初めて「USAチーム対WORLDチーム」が対戦する形式に注目が集まった。
普段NBAで活躍する外国籍の選手たちに関しては、どの国を背負っているのか、その出身国も注目を集めるイベントだったのだが、そんななか、運営側が大失態をやらかした。
選手たちの紹介ではMCのアナウンスに合わせて、電光スクリーンに出身国の地図と名前が華やかに映し出される演出だったが、ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)の紹介時にスクリーンに青く映し出されたフランスは、とんでもない形をしていた。
この時描かれていたフランスは、斜めに引き伸ばされようになっていて、北東方面は、お隣ベルギーやルクセンブルク、オランダの方まで、そして反対側の南西方面は、スペインの北まで含んでいるような形になっている。逆に本来フランスの一部であるアルザス地方など東部が欠けてしまっていた。
もともと演出用に作られた、デザイン重視のデフォルメされた地図であるとはいえ、隣国まで含んでいるのは、外交上でも問題だ。
そこで即座に反応したのが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領だ。
『近隣諸国の皆さまには安心していただきたい。我々が地図を提供したわけではありません。ですが、ウェンビーはまぎれもなく我れらがフランスの誇りです』
自身のX上に投稿されたコメントでは、近隣諸国への配慮を示しつつ、ウェンバンヤマがフランスの象徴であることもしっかり強調している。
一方、ネット上では、皮肉やジョークの入り混じったコメントが飛び交った。
「彼ら(アメリカ人)は自国以外のことは知らないんだよ」
「ドナルド(トランプ大統領)が次に狙っている地域がフランスから削られたのか!?」
「ブルゴーニュを除いたシャルルマーニュ時代のフランスに似てないか? 歴史の先生がいたら、確認してくれる? だとしたら、NBAの技術者たち、ブラボー!」
「これはトニー・パーカーのせいだな。彼のお母さんはオランダ人で、本人はベルギー生まれ。NBA はこの2つの地域をフランスだと思っちゃったんだろう」
「1900年代の地図を参考にしたのかも。この時代、アルザス地方はドイツに奪われていたからね」
なお、試合結果は、WORLDチームがUSA軍の2チームに惜敗。しかしウェンバンヤマは2戦合計33得点をあげるなどMVP級の活躍を見せ、世界選抜の意地を見せた。 今年の祭典は、2002年以来24年ぶりに『NBC』で放映されたが、同局によれば、近年では最高の視聴者数(TNT)909万人を記録した2011年以降で最高となる880万人を記録したとのことだ。
ちなみに2011年は、イーストのスターターがデリック・ローズ(シカゴ・ブルズ)、ドゥエイン・ウェイド(マイアミ・ヒート)、レブロン・ジェームズ(ヒート)、アマレ・スタッダマイアー(ニューヨーク・ニックス)、ドワイト・ハワード(オーランド・マジック)。
ウエストのスターターがクリス・ポール(ニューオリンズ・ホーネッツ)、コビー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)、ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)、カーメロ・アンソニー(デンバー・ナゲッツ)、ティム・ダンカン(スパーズ)の5人だった。
錚々たるメンバーが熱戦を繰り広げた試合は、148-143で西軍が勝利し、37得点、14リバウンドを記録したコビーがMVPに輝いた。
48分制で、まだ真剣勝負の色が残っていたこの頃のオールスターに比べると、近年はショー的要素がより濃くなっているのは否めない。そんななかでも、試行錯誤の末に試した今回の米国代表vs世界選抜の形式は、例年以上に競技らしかったという声も多い。
そしてその“真剣勝負感”を生み出したのがウェンビーだったと、ファンのみならず今大会のMVPに輝いたアンソニー・エドワーズ(USAスターズ/ミネソタ・ティンバーウルブズ)も発言している。
そんなこれからのNBAを担う1人であるウェンビーの紹介で失態、というのはなんとも残念だったが、これを機に、NBA側も彼の母国フランスの地図をしっかり学習することだろう。
文●小川由紀子
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