
柄本佑が主演を務め、渡辺謙が共演する映画「木挽町のあだ討ち」が2月27日(金)に全国で公開される。2月20日の「歌舞伎の日」にあわせて、作中劇「仮名手本忠臣蔵」の本編シーンが解禁された。
■“美談”として語り継がれた仇討ちに隠された秘密を巡るミステリー
本作は、第169回直木賞、第36回山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の時代小説「木挽町のあだ討ち」を映画化。「このミステリーがすごい!2024年版」「ミステリが読みたい!2024年版」などに選出、2025年には歌舞伎上演もされ大きな話題を呼んだ。
ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで美しい若衆・菊之助(長尾謙杜)による仇討ちが見事に成し遂げられた。その事件は多くの人々の目撃により美談として語られることとなる。1年半後、菊之助の縁者と名乗る侍・総一郎(柄本)が「仇討ちの顛末を知りたい」と芝居小屋を訪れる。
菊之助に関わった人々から事件の経緯を聞く中で徐々に明らかになっていく事実。仇討ちの裏に隠された秘密。そこには、想像を超える展開が待ち受けていた。

■芝居小屋を完全再現した本編シーンが公開
2月20日は「歌舞伎の日」。1607年のこの日、出雲阿国が徳川家康の前で初めて「かぶき踊り」を披露したことに由来する。この歌舞伎の始まりの日にあわせ、本作の見どころの一つである江戸歌舞伎の名場面「仮名手本忠臣蔵」の本編シーンが公開された。
事情により急きょ、尾上百助に代わり、矢間重太郎役として舞台に立つ篠田金治(渡辺)。面頬で顔の下半分を隠した姿に、大星由良助役の七代目市川團十郎も、その正体が金治だと気付いていない。揚げ幕が上がると同時に四十七士が花道を進み、満員の客席からは歓声が上がる。討ち入った四十七士と師直の家臣たちが激しく切り結ぶ中、金治は鬼気迫る立ち回りで観客を圧倒させる。
本作の見どころの一つは、江戸歌舞伎を芝居小屋ごと再現しているリアリティー。300人が座って観劇できる規模の劇場を、東映児湯斗撮影所のスタジオ内に設置し、舞台と客席の境目のない、江戸歌舞伎ならではの臨場感を表現している。
歌舞伎考証を手掛けた石橋健一郎氏は、江戸歌舞伎について「庶民にはほとんど休日のなかった時代、芝居見物は年に一度か二度のぜいたくでした。何日も前からどの着物を着ようか考え、心躍らせて小屋へ向かう。その高揚感は今とは全く違ったはずです。舞台と客席の距離も近く、大入りの時には舞台の袖にも客を座らせたことがあったそうです。文字通り、一体感のある空間でした」と話す。
さらに、渡辺もセットについて「江戸の歌舞伎はこうだったのだと実感できる劇場でした。袖や楽屋、小道具部屋まできちんと作られていた」と語る。客席を埋めた客も当時の紛争で挑んでいたことにも触れ、「あの空間に立つと、自然と入り込めた」と没入感の高さを明かした。


