映画「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」の公開を3月13日に控え、極寒の地・網走が異様な熱気に包まれている。作品のクライマックスを象徴する博物館「網走監獄」をひと目見ようと、映画ファンが殺到。もともと網走を代表する観光スポットだったが、今やすっかり同作の聖地となっている。
だが、かつて「最果ての地」と呼ばれた網走の聖地巡礼の裏側では、地元住民が頭を抱える深刻な事態が進行していた。
「作中のシーンを再現したいのか、立ち入り禁止の柵を越えて雪原に踏み入る人を見かけます。夜間に監獄博物館の敷地付近に無断侵入しようとして、警備員とトラブルになったケースもあるそうです」
そう嘆くのは、地元の観光業関係者だ。
さらに追い打ちをかけるのが、雪のシーズンに大挙して北海道に押し寄せる、レンタカーに乗るアジア系観光客だ。アイスバーンの危険性を知らない訪日外国人が大型SUVで凍結路面を暴走し、スリップ事故や路上放置を連発。道東ののどかな風景は一変して「無法地帯」の様相を呈している。
道内のツーリズム問題に詳しいジャーナリストは、この狂騒を冷ややかな目で見つめていた。
「地元にとっては観光客を集める格好の機会ですし、それは成功しているといえます。でも今のブームは、監獄を単なる『映えスポット』としてしか消費していないのも事実。網走監獄は本来、北海道開拓の過酷な歴史であるとともに、多くの囚人が命を落とした鎮魂の場所でもあります。そこを映画のコスプレ会場のように扱い、バカ騒ぎする光景に、快く思っていない住民は少なくありません」
かつての脱獄王も驚くであろう、現代の監獄狂騒曲。ブームという名の鉄格子に囚われ、網走が本来の輝きを失わないことを祈るばかりで…。
(トシタカマサ)

