
前半は相手に圧倒されるも...苦境のなかで光った武田将平の戦術眼とキャプテンシー「入りが難しくなるのは分かっていた」【湘南】
[J2・J3百年構想リーグEAST-A第3節]湘南 1-0 八戸/2月21日/レモンガススタジアム平塚
「勝った後でしたけど、選手には厳しい声をかけました」
湘南ベルマーレがヴァンラーレ八戸に1-0で勝利した試合後、長澤徹監督は神妙な面持ちで語った。70分の山田寛人のゴールを見事に守り切り、ホームのサポーターに笑顔をもたらしたが、決して満足できる内容ではなかったからだ。
湘南は試合開始直後から八戸に圧倒された。ロングボールで押し込まれると、ハイプレスを受けてボールを失い、何度かショートカウンターを受けてピンチを招いた。相手の圧が想定を上回っていたのか、特に最終ラインの選手にミスが連発していた印象もある。
八戸戦で見えた課題を、指揮官はこう振り返った。
「前半は開幕戦(ブラウブリッツ秋田戦/1-2)のデジャヴ感があった。八戸さんがものすごい勢いで来たなかで、ファーストプレーから滑ったりコントロールのミスだったりが3つ、4つあったなかで、相手に主導権を渡してしまった。細かいディテールのところですし、ミスをするなとは言いませんが、プロなので。ちょっとしたところで流れは変わってしまうので、単発は良いですが、チームとして連発させないようにしなければいけません」
長澤監督の言葉通り、立ち上がりで敵の圧を受けてしまう課題は開幕戦の秋田戦でも見られた。秋田も八戸と同様に、強度の高いハイプレスを得意とするチームだ。
RB大宮アルディージャやいわきFCをはじめ、J2には似た特長を持つクラブが多い。今後の百年構想リーグと26年夏から始まるリーグ戦を考えれば、修正は必須と言えるだろう。
改善策について、監督は「相手がロングボールから入ってきて、こちらがセカンドボールを回収した後に、判断に迷いが生じる場面が多い。相手に選択肢を消されているような状況です。奪った瞬間にどこが空いているか、もっと事前に共有すればよかったかなと思う反面、個々の判断の速度と精度も高めていきたい」と分析。今季から始動した“長澤体制”はまだ2か月弱。着実に向上させていくつもりなのだろう。
一方で、内容面での成長を感じた点もあった。立ち上がりこそ相手のプレスに悩まされたものの、20分ごろから徐々に落ち着いたパスワークで前進。後半は、ほとんど敵陣でプレーするなど、試合中に苦しい状況を覆せた。
キーマンは武田将平だ。3-4-2-1のボランチの一角を担った主将は、頻繁に味方に声をかけつつ、巧みなポジショニングでボールを引き出し、敵のプレスを搔い潜るために後方の選手をサポートした。
鋭い戦術眼で空いたスペースを見つけて立ち位置を変え、苦境を脱するために味方に声をかけ続けた武田を、長澤監督は「チームとして視点が定まっていなかった時間帯で、20分過ぎから武田があるスペースを指定してボールを流し始めたところから状況が変わった」と高く評価した。
また、武田は試合を次のように振り返る。
「(2節のSC)相模原戦(4-0)は前半で相手に退場者が出て、大差で勝利しました。そんなゲームの次なので、経験上、入りが難しくなるのは分かっていた。僕のなかでは想定内でした。どうやって流れを引き戻すか、相手を押し下げるかというのは意識しながら戦いましたし、少しずつですが、みんなで目を合わせてプレーできるようになったからこそ、押し返せたのかなと」
試合前からいくつかのパターンを想定し、ピッチ中央で俯瞰して物事を見つつ、的確な判断でチームの状況を好転させる。また、キャプテンとして、安定感のあるプレーと味方を助ける声でチームを牽引する。
武田が大黒柱として君臨する限り、湘南は大崩れしないだろう。八戸戦での6番のプレーは、そんな期待感を抱かせる、ハイレベルなものだった。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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