これは病院廃業ドミノの始まりか――。「北の鉄都」北海道室蘭市が、厚労省から経営改善を求められてきた市立室蘭総合病院を、2027年度をめどに閉院すると、2月24日付の北海道新聞デジタルが報じた。
室蘭市には今も日本製鐵と日本製鋼所があるが、1970年には16万人(うち50%が鉄鋼業に従事)だった人口は現在、7万3000人まで激減した。両社の経営合理化とオートメーション化で、街のシンボルだった高炉は休止、製鉄業従事者は関連会社も含めてピーク時の約1/10以下まで減った。
その結果、かつて製鉄業に従事していた高齢者は室蘭に残され、65歳以上の高齢化率は全国平均29%に対し、室蘭市は39%。炭鉱の街である夕張市に続いて「財政再生団体」に転落する恐れがあり、単年度で11億円もの純損失を出している市立病院の閉院を決めた。
室蘭市には旧新日鉄と日本製鋼がそれぞれ経営譲渡した製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院があり、医療難民が出るおそれはない。
市立病院の廃院は、7年前からの既定路線だった。厚労省は2019年9月に「公立・公的病院のリスト(いわゆる424病院リスト)を公表した。いわば地方財政を悪化させている「公立病院、公的病院のブラックリスト」であり、2028年までに統廃合や経営健全化がない場合、厚労省からは助成金停止、総務省からは地方債発行停止、自治体は夕張市に続く「財政再生団体」指定を受けることになる。
424病院リストのうち、すでに統廃合されたのは室蘭市のほか、北海道三笠市、福井県敦賀市、山口県光市の4市立病院のみ。来年度以降、新潟県と宮城県で統廃合が進む見通しだ。
このリストには千葉県銚子市など首都圏の市町も含まれており、あと2年で全国から400超の赤字公立病院が一気に消えることになる。自分や家族が通っている病院が対象であるか心配な人は、厚労省のサイトで検索してほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)

