最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
カブスの背番号「27」とは違う、侍ジャパンの背番号「51」――契約最終年に初のWBCに臨む鈴木誠也の決意<SLUGGER>

カブスの背番号「27」とは違う、侍ジャパンの背番号「51」――契約最終年に初のWBCに臨む鈴木誠也の決意<SLUGGER>

カブスの鈴木誠也は現地2月20日金曜日の午後、この日から始まるオープン戦のためにキャンプ地の本球場スローン・パークのフィールドに姿を表した。メジャーリーグ(MLB)では、ウォーミングアップ中に両チームの選手たちが外野の芝の上で談笑するのは見慣れた光景だ。鈴木もまた、ホワイトソックスの新戦力・村上宗隆と談笑する......はずだった。

 ところが、アップが終わっても待ち人が来ない。村上はキャンプ施設からの移動中、事故渋滞に巻き込まれ、球場へ駆け足でやって来たのは試合開始15分前だった。鈴木はその姿を、ベンチからただ、見守るしかなかった。

 試合後の会見。鈴木は「初日からあれはいかんすね」と笑いながらも、何らかの事情があったのだろう、と慮ったような言い方で、後輩について話した。

「彼っぽいのかはどうかは分かんないですけど、それ(遅刻)でも自分のスウィングしていたんで、凄いなとは思いますけど。(村上に)自分から言うことなんて、何もないっすよ。(日本で)三冠王なんですから。彼が彼のことをしっかりやれば、結果はついてくるんじゃないかな」

 WBC日本代表=侍ジャパンでチームメイトになる2人の奇妙な再会。試合では、「3番・センター」で出場した鈴木が第1打席でいきなり左中間の芝生席へソロ本塁打を叩き込むなど、2打数1安打1打点。「4番・一塁」で出場した村上も、4打数2安打2打点と準備不足を感じさせない活躍を見せた。

 2人に接点があったとすれば4回、村上が1死満塁から放った中越え2点タイムリー二塁打で、背走する鈴木が逆光で打球を見失ったことだろう。
 「出だしは見えたんで、(センター)オーバーの打球だなと思って走ってたんですけど、振り向いた瞬間にボールが太陽に入っていたので、どうにもできない。ああいう時は目を切らないほうがいいのかとか、コーチと話したり、練習すると思うので、確認できればいいい。あとでムネにメールして、あそこに打つのはないよねって伝えます」

 鈴木は昨季、主に「指名打者」として起用されながらも、他の選手の怪我や不調のため、本来のポジョションであるライトはもちろん、レフトやセンターでも出場している。侍ジャパンでもセンターを守るのではないかと予想されているため、その日のオープン戦は絶好の練習になっただろう。

「(打球の)見え方も悪くないですし、今日の感じは悪くない。動き出しと、その前の予備動作っていうのはすごく意識して守っている。そこは今日は良かった」

 少し詰まりながらも柵越えした初回の本塁打は、アリゾナの乾燥した空気という気候的な条件を加味しても、随分と飛んだ気がした。

「ある程度、ゾーンも確認できたし、スウィング自体も悪くないので、たまたまバットに当たって、結果良かったですけど、しっかり振れているのが今日は良かった。」

 鈴木は2月上旬にキャンプ地に入り、少し強めに身体を動かしながら打撃の調子を着実に上げてきた。先にキャンプインした投手組に合わせて、2月14日にライブBPの打席に立つと、僚友・今永昇太投手の甘い変化球を叩いて左越え本塁打。違う投手からは外角の速球に振り遅れたかと思いきや、打球が右中間フェンスを越えていった。練習後、彼はこう言っている。
 「あの本塁打もたまたまと言うか、とりあえず振ったら当たった、みたいな感じなので、自分の中でしっかり、打てると思って打ってるわけじゃない。その辺の摺り合わせもしっかりやっていきたい。打席数が限られているんで、できる限り集中して、できる限りシーズンに近づいてる感じでやれたら良いかなと思う」

 洋の東西を問わず、WBCに参加するすべての選手に共通することがある。それは、今の彼らには、WBCの後に控えるレギュラーシーズンのことを考えている余裕があまりないということだ。

「とりあえず、守備と長い時間グラウンドに立つってことが大事だと思う。いきなり9イニングとかさすがにしんどいと思うんで、残り3試合しかないんでどうなるかなと思うし、あとは気合で行きます」

 そこでふと思う。今回の「侍ジャパン」参加。鈴木には特別な思いもあるのではないか、と。

「前回、怪我をして、すごく迷惑かけたところもあるので、体調面っていうのはすごく気をつけながらやってはいます。しっかりチームの貢献できるように、怪我なく、いいパフォーマンス出せるようにやっていきたい」

 前回=2023年の第5回大会、鈴木は大谷翔平(当時エンジェルス)や、吉田正尚(レッドソックス)、村上らと強力打線を組むはずだった。ところが、オープン戦初戦で左脇腹を痛めて出場辞退を余儀なくされたのだ。当時の彼のコメントを読み返すと、気丈に前向きになっている部分と、自分に対する怒りのような感情が交錯しているのがよく分かる。

「いろんなことをやってきた中でこうなってしまったので、もう少し考えてやらなきゃいけなかったのかなとは思うけど、実際にトレーニングして、こうやってなったからって後悔はないです。自分なりに課題を見つけてやってきたので、状態的にはすごく良かったですし。ただ、もう少し何か出来たんじゃないかっていうのはある。なんでこうなったんだろうと、考えてしまうので、やっぱり寝付きは良くない。アイマスク付けて、(雑念を)シャットダウンして寝るようにしている」。 大会中、侍ジャパンのベンチには、鈴木が着るはずだった背番号「51」の日本代表ユニフォームが飾られた。大谷がマイク・トラウトを空振り三振に仕留めて09年以来14年ぶり3度目の優勝を果たすと、そのユニホームはチームメイトによって、マイアミのローンデポ・パークのグラウンドに持ち込まれた。

 あれから3年が過ぎようとしている。

 鈴木は3年連続21本塁打以上を記録し、昨季は日本出身の右打者として歴代最多の32本塁打、103打点を記録した。メジャー4年間での通算87本塁打は、歴代最多280本の大谷、175本塁打の松井秀喜、同3位117本塁打のイチローに次ぐ4位で、それも日本出身の右打者最多だった城島健司(48本)を上回った。4年間の通算本塁打率22.93は大谷の13.32に次ぐ2位で、同3位の松井秀の25.38を上回っている。

 もちろん、昨季はOPS(出塁率+長打率)や打率が前年から落ち込むなどネガティブな側面もあったが、彼が「メジャー屈指」の強打者になったのは紛れもない事実だ。

 そして今季は、カブスとの4年契約の最終年を迎える。3年前の悪夢を考えると、WBC参加に迷いはなかったのかという疑問も浮かぶ。

「出ないで後悔するよりは、何となく後悔が残りそうだなと思ったんで、他のチームも皆、出ますし、日本の選手もたくさん集まってたんで、そういったところでやれるのはすごく貴重なことなので、早い段階で出るつもりで、ずっと準備してました」
  言うまでもないことだが、どんな大会でも1度の優勝より連覇の方が難しい。昨季のサイ・ヤング賞投手が2人揃って参加することで「史上最強」と呼ばれるアメリカ代表や、優勝経験もあるドミニカ共和国代表の戦力を見れば、彼らが侍ジャパンの連覇を阻止するべく、今まで以上に本気で挑んでくるのは明らかだ。

 06年の第1回大会で優勝し、09年に連覇を狙った時も、激戦に次ぐ激戦の果ての栄冠だった。

 第1ラウンドA組の1位決定戦では、韓国に0対1で敗れて2位通過。第2ラウンド2回戦でも1対4で連敗したものの、決勝戦ではスランプに喘いでいたイチローが、勝ち越し2点タイムリーを放っての大会史上唯一の連覇である。

 決して忘れてはならないのは、それが松坂大輔や岩隈久志、城島、岩村明憲、青木宣親ら「侍ジャパン」全体が一丸となって戦い抜いた末の偉業だったいう事実だ。「侍」の語源は、「主君(国)に仕える」という意味の、「さぶらう(候ふ・侍ふ)」。無理にこじつけるつもりはないが、チームスポーツではしばしば個を捨てることが勝敗を分ける。

 それはきっと、今回も変わらない。
  大谷にばかり注目が集まる昨今であっても、吉田や岡本和真(ブルージェイズ)、村上や近藤健介(ソフトバンク)らが打線を支え、山本由伸(ドジャース)や菊池雄星(エンジェルス)ら実力者が揃う投手陣が己を捨てて戦うのが「侍ジャパン」なのだ。WBCが圧倒的な個の集まり=メジャーリーガーがお互いに競い合う場所なのだとしたら、その精神が武器になる。

 だから、イチローの背番号「51」を引き継いだ鈴木誠也も一人じゃない。

 2月22日、ジャイアンツ戦とのオープン戦を終え、日本へ旅立つ前に彼はこう言っている。

「なかなかこういう機会はないので、しっかり噛み締めながら、一日一日、しっかりやっていきたい。皆と一つになって、やるべきことをやっていければいい」

 鈴木は27日にチームに合流し、3月2日の強化試合(大阪ドームでのオリックス戦)から試合に出場できる。

 カブスの背番号「27」とは違う、侍ジャパンの背番号「51」。今はただ、その健闘を祈るのみである――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

【画像】野球の祭典を力強く彩る! WBCに出場する各国のスタープレーヤーを一挙紹介!

【画像】WBC連覇に挑む侍ジャパン、登録メンバー全30人が決定!

【画像】長身カップルがカッコよすぎる! 大谷翔平&真美子夫人が披露した“艶やかコーデ”の全身ショット版をチェック!
配信元: THE DIGEST

あなたにおすすめ