各団体で女子レスラーが次々とデビューする中、ZERO1からも女子選手が誕生した。
ZERO1は2001年に橋本真也が中心となって旗揚げ。それから何度も運営体制を変えながら活動を続け、昨年は“2代目”ハヤブサのデビューも話題を呼んだ。
2020年からは元全日本女子プロレス、FMWの工藤めぐみがGMに。これまでも女子の試合が組まれており、3月にはZERO1の女子部門団体として「Rose」がプレ旗揚げする。
そんなZERO1の新人が堀このみだ。2月7日の板橋大会でデビューした堀はグラビアタレント出身。「ミス東スポ2025」にも選出された。なかなか結果の出ない芸能生活を変えるためにプロレス入りを目指し、東京スポーツ認定プロレス大賞の授賞式にミス東スポとして参加したことで思いが強まったようだ。
とはいえレスラーへの道のりは平坦ではなかった。プロテストは2度目でようやく仮合格。さらにデビュー戦の相手は工藤GMと同じ全女出身の大ベテラン・堀田祐美子に決まった。
当然、試合は完敗。エルボーやドロップキックを必死で繰り出していった堀だが、堀田を追い込むことはできず。最後は逆片エビ固めでギブアップとなった。
ただ、プロレスの新人は技よりも試合運びよりも気持ち、つまり必死さが重視される。この日の堀田の試合ぶりも、堀の必死さを確かめるようなものだった。
堀田にも叶ミクという新人の弟子がいる。工藤や堀田といった、1990年代の女子プロレス団体対抗戦で活躍した選手たちが、指導する立場になっているのだ。この試合の前日には、堀、叶と神取忍率いるLLPW-Xの若手たちが合同練習を行い、Sareeeが視察している。
次世代育成を強く意識する堀田は、以前から堀の練習を見てきたという。そこからこのデビュー戦のカードも決まった。
堀の性格を「調子に乗るタイプ」だと堀田。「いつもチャラチャラして工藤さんに怒られて」とも。それでも「何ヶ月か経った時に見たら“練習してるな”と」。
1年経ったらいい選手になるという言葉で堀田は堀を称えた。「前に出る気持ちがある。言ったことを素直に聞ける」という長所も語った。
一方、試合後の堀は「正直ずっと怖かった」と心境を吐露。「工藤さんが教えてくれたことも堀田さんが教えてくれたことも出せなかった」と反省していたが「エルボー合戦で気持ちは出せたんじゃないかと思います」。その手応えが、今後への希望だろう。
「縦社会を経験してなくて、社会常識が欠落していて。挨拶からすべて(工藤に)教えていただきました。工藤さんの40年のプロレス人生で一番不出来だと」
まさに人生そのものをプロレスで変えようとしているわけだ。今はグラビアよりもプロレスに集中。筋肉がついてきてグラビア向けの体ではなくなっている自覚もあるが「そのほうがプロレスラーとしてはかっこいいので」と言う。
芸能からのプロレス挑戦には偏見がつきもの。今の堀には、まだその偏見を跳ね返せるだけの実力もない。ただ彼女は工藤めぐみや堀田祐美子の教えを受けた、女子プロレスの正統的な流れを受け継ぐ選手のひとりではある。
堀田の言うように1年後、どんな試合をするようになっているのか。天才も超人もいるし、凡人もいるプロレスの世界で、堀このみは人生の勝負に打って出た。
取材・文●橋本宗洋
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