
【北中米W杯出場国紹介|第19回:スイス】ベスト8が現実的な目標か。大黒柱は33歳のジャカ、20歳のマンザンビはインパクトを与えるか
北中米W杯の欧州予選はグループBに組み込まれたスイス。タレント軍団のスウェーデンをはじめ、堅守が伝統のスロベニア、成長著しいコソボと難敵が揃っていた。
初戦でコソボに4-0と大勝すると、スロベニアに3-0、スウェーデンには2-0で勝利。順調に勝点を積み重ね、最終的には6戦無敗で首位突破し、6大会連続の出場を決めた。本大会での上位進出も十分に狙える有力国と言える。
ムラト・ヤキン監督のもと、目を見張るのは攻守のバランスの良さとチームワークだ。守備では、ヤン・ゾマーから正守護神を引き継いだ大型GKグレゴル・コーベル(ドルトムント)、統率力に優れて対人も強いセンターバックのマヌエル・アカンジ(インテル・ミラノ)が、堅実なディフェンスを支える。左サイドバックでチームをオーガナイズするリカルド・ロドリゲス(ベティス)も健在だ。
チームの象徴は、キャプテンで10番を背負う司令塔のグラニト・ジャカ(サンダーランド)。左足のキックで違いを生み出すだけでなく、周りの選手たちが生き生きとパフォーマンスできるよう、長短のパスを使い分けてリズムを取る。
中盤の強度と秩序を維持するために守備でも奮闘するなど、まさしく大黒柱だ。A代表デビューから15年。33歳で迎える4回目のW杯は集大成となる可能性がある。
ジャカと中盤を構成するミシェル・エービシャー(ピサ)は派手さはないが、隙のないトランジションとデュエルの強さ、正確なパスが光る。さらに攻撃のアクセント役を担う左利きのファビアン・リーダー(アウクスブルク)、ボール奪取のパワーを加えられるサイモン・ソーム(フィオレンティーナ)やジブリル・ソウ(セビージャ)もいて、まさしく“スイスの心臓”と呼べるセクションだ。
前線は個性的な面々が目立つ。エースのブレール・エムボロ(レンヌ)は爆発的なフィニッシュを武器に、予選でも4得点を記録した。簡単なシュートを外してしまうこともあるが、波に乗ったら列強のディフェンスでも、なかなか止められないだろう。チェイシングの意識も高く、予選のスウェーデン戦では相手のバックパスに飛び出し、GKのファウルを誘ってPKを獲得した。
ダン・エンドイェ(ノッティンガム・F)は良質なチャンスメーカーだ。スウェーデン戦では右サイドから単騎で仕掛けて、鋭いグラウンダーのクロスでエムボロのゴールをアシスト。ボールを持って前を向ければ、サイドから相手に脅威を与えることができる。
左サイドのルベン・バルガス(セビージャ)は幅広く動いて多様な局面に絡む。インサイドに流れれば、ジャカらとのコンビネーションから危険なスルーパスに繋げる。最終戦のコソボ戦ではソウのアシストからゴールを決めるなど、非凡な得点力も備える。
高水準なスイスの攻撃に大きなインパクトを与えうるのが、20歳のジョアン・マンザンビ(フライブルク)だ。予選では途中出場から2得点を決めるなど、現在はジョーカー的な立ち位置だが、今後のスイス代表を引っ張っていく存在になりうるタレントだ。
FIFAランキングで18位のスイスは、準々決勝でイングランドにPK戦で敗れた2024年のEUROと同じく、ベスト8が現実的な目標か。ただし、持ち前の組織力にマンザンビのような若いタレントのブレイクが加われば、その先も視界に入ってくる。
グループステージは開催国カナダと同じB組に入った。欧州プレーオフのパスAでイタリアが勝ち上がってくればハードルは上がるが、まずは初戦でカタールに勝利して、流れを掴みたい。1位か2位で突破すれば、ラウンド32で他組の1位と当たらないメリットもあるだけに、最低でも2位以内を確保できるかは、決勝トーナメントの戦いにも大きく影響しそうだ。
文●河治良幸
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