最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
「過去10年で誰も到達できなかった領域」“驚異的な”マドリーのイングランド代表DFに番記者が驚嘆「ピッチを支配し始めた」【現地発】

「過去10年で誰も到達できなかった領域」“驚異的な”マドリーのイングランド代表DFに番記者が驚嘆「ピッチを支配し始めた」【現地発】


 ラ・リーガ第24節、レアル・マドリー対レアル・ソシエダ(4-0)。開始わずか4分に届けられたトレント・アレクサンダー=アーノルドのアシストを振り返り、ゴンサロ・ガルシアは思わず笑みをこぼした。

「あんな『極上のキャンディ(お膳立て)』をもらったら、外す方が難しいよ」

 イングランドからやってきた右サイドバックは、何の変哲もない場面を一瞬で決定機へと変えてみせた。右のタッチライン際、バルベルデと談笑するかのようにパスを交換したその刹那、隙を見せた相手の背後へ吸い込まれるようなクロスを供給したのだ。トレントのパスは唯一無二である。それは最後尾からの脱出を助け、最短距離でゴールへと直結させる。

 マドリーの監督、アルバロ・アルベロアは目を細める。「彼の特別さは一目瞭然だ。精度の高さはもちろん、パスに込められた『強度』のつけ方が群を抜いている」

その「強度の調整力」の正体を解き明かすのが、マドリード工科大学でサッカーのバイオメカニクスを専門とするアルチット・ナバンダール教授の分析だ。

「彼の股関節の可動域は驚異的です。振り抜いた足が、極めて高い位置で動作を終える。我々の研究では、この可動域の広さがボールスピードの最大化に直結することが証明されています。いわば、ゴルフのスイングと同じ原理です。最後まで完全に振り抜き、いわゆる『フォロースルー』を完結させることで、ボールに爆発的なエネルギーを伝えているのです」
 
 ナバンダール教授は、マドリーのOBであり、キックの名手だったデビッド・ベッカムとの比較も交える。

「ベッカムも同様に広大な股関節の可動域を持っていましたが、トレントは左腕を彼ほど高く上げません。また、軸足をボールの回転軸より少し前に置くことで、スイングの開始から終わりまでの可動域をさらに広げているのです。脚の長さもそれに一役買っており、何もないところから『鞭のようなしなり』を生み出すことを可能にしています。そして何より重要なのは、インパクトの質そのものの高さなのです」

 この卓越した技術は、幼少期からの鋭い観察眼によって養われたものだ。2004年、彼が6歳でリバプールのアカデミーに足を踏み入れたその夏、レアル・ソシエダからシャビ・アロンソがやってきた。トレント少年は、それから5シーズンにわたり、稀代の司令塔が放つ放物線を間近で見守る特等席を得たのである。そして20余年の時を経て、二人はマドリードの地で、監督と選手として再会を果たした。

「初めて言葉を交わしたとき、彼に伝えたんだ。子供の頃、あなたや(スティーブン・)ジェラードを見ていて、パスとは芸術なのだと気づいたんだ、と」

 トレントは『Amazon Prime』のインタビューで、自身の原点とも言える前指揮官とのエピソードをそう回想している。

 その「芸術」の真髄を、彼は視覚ではなく、聴覚で捉えていた。

「彼らがボールを蹴る時、そこからは他とは違う『音』が響いていた。良いパスかどうかは、耳で分かるんだ。目で見ること以上に、インパクトの音が重要なんだよ。クリーンに、そして純粋にボールを捉えた時の音は、他のそれとは全く別物なのだから」
 
 その「純粋なインパクト」は、驚異的な数字となって現れている。データ分析サイト『Hudlstatsbomb』によれば、パスによる得点期待値(OBV)において、トレントは欧州5大リーグで8位にランクインしている。彼が叩き出している90分平均「0.29」という数値は、チームの得点確率を29%上昇させていることを意味し、これは3試合にほぼ1ゴールをパスだけで生み出している計算だ。過去10年のマドリーにおいて誰も到達できなかった領域であり、名手トニ・クロースの自己最高値(0.23)をも上回っている。

 トレントがもたらす成果は、その驚くほど幅広い「パスのカタログ」によって支えられている。一方では、欧州で11番目に多いロングパス数(1試合平均9.5本)を誇る。

 このリストの上位50人のうち38人(76%)はGKが占めており、フィールドプレーヤーで彼を上回るのはヴィティーニャ(パリ・サンジェルマン)とニコラ・モロ(ボローニャ)の2名しかいない。その一方で、ゴールに直結する「スルーパス」の数でも欧州3位(1試合平均0.70本)に位置している。
 
「彼は60メートル、70メートルのロングパスを放つのに、多くの時間もスペースも必要としない。しかもそのパスは、常にアタッカーにとって有利な形で届く」とアルベロアは強調し、さらにこう続ける。

「我々は、ヴィニシウスとエムバペの二人をいかに走らせるかという点を極めて重視している。その点において、彼の存在は不可欠だ。内側でも外側でもプレーでき、前線へのクロスも、中央を切り裂くパスも供給できる。彼は我々が必要とするすべてを兼ね備えた選手なんだ」

 加入以来、度重なる怪我に泣かされ、復帰した時にはシャビ・アロンソはもうそこにはいなかった。だが、トレントはアルベロア新体制下でも、自慢の右足で即座に存在を証明してみせた。

 ソシエダ戦で見せた「極上のキャンディ」は、これからの本格化を期す彼にとって、ほんの序の口に過ぎない。このイングランドからやって来たアーティストは、今まさに自らのスイングで、マドリーのピッチを支配し始めたばかりだ。

文●ダビド・アルバレス(エル・パイス紙レアル・マドリー番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

【動画】マドリーのイングランドDFが超絶アシスト

【記事】「態度が非常に不愉快」「ひどい」欧州名門の日本代表MFに元プレミア戦士が苦言「ずっと不機嫌に見える」
 
【画像】ガッキー、有村架純、今田美桜らを抑えて1位に輝いたのは?「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」最新版TOP20を一挙紹介
配信元: SOCCER DIGEST Web

あなたにおすすめ