近年、日本のMMA(総合格闘技)でとりわけ成長しているのが女子部門だ。
RIZINでは女子スーパーアトム級チャンピオンの伊澤星花が絶対王者として君臨。昨年大晦日のRENA戦は名勝負となった。
RIZIN女子王者は初代が浜崎朱加、続いて韓国のハム・ソヒ、そして現在の伊澤と、3人全員がDEEP JEWELSのベルトを巻くことで出世している。DEEPは2001年にスタートした総合格闘技イベントで、DEEP JEWELSはその女子部門。女子だけの大会を定期的に、かつ長く開催してきた。RIZIN女子の盛り上がりを支える大会の一つと言っていい。
今年の開幕戦は2月23日に開催。セミではRIZINにも参戦しているストロー級王者の万智がキム・ダンビにギロチンチョークで秒殺勝利。今回は打撃を試したいという狙いがあったそうだが、気持ちが前のめりになってしまい、逆に被弾。そこから切り替えて一気に勝負を決めた。
「もっと落ち着いて、大人の試合ができるようになりたいです。“清楚系”みたいな」と試合後の万智。その独特なワードセンスも含めてインパクトを残した。
メインのバンタム級王座決定戦は百湖が樹季をグラウンドのパンチ、ヒジ連打で下している。百湖は大怪我での長期欠場から復活の戴冠だ。欠場中の不安や鬱憤を晴らす勝利。柔道のベースがあり、DEEPの佐伯繁代表も「チャンピオンになるのはデビューの時から分かっていた」というほどのポテンシャルの持ち主だけに、これからの活躍に期待したくなる試合だった。本人も「ベルトを取って、ここからがスタート」と語っている。
全体にフィニッシュ(KO・一本)が多く充実した内容だった今大会、アマチュアマッチも4試合組まれていた。
特に注目されたのがあきぴ。元RIZINガールで4人の子を育てる母親でもある。柔術を学び、2024年からMMAに。ここまでの戦績は2勝3敗だった。男子に比べればまだ選手の数は少ないが、女子もアマチュアでしっかり結果を残さないとプロになれない厳しい世界になっているのは間違いない。
黒星先行ということもあり、必勝を期してケージに入ったあきぴは、ちゃんりなと対戦。序盤から組みつき、グラウンドに持ち込むとパウンドを打ち込んでいく。
2ラウンドにはバックを取られるピンチもあったが、脱出すると再びトップへ。判定3-0であきぴが勝敗を五分にもっていった。決して完勝ではなかったが、苦しい展開を乗り越えての勝利だからこそ経験値も多く得られたのではないか。
試合後にはその場で柔術の紫帯を授与されて涙を見せたあきぴ。所属ジムのABLAZE八王子ではレディース柔術クラスを担当することにもなった。
自分も運動音痴だったというあきぴは、指導にあたって「できないことを怒らない」、「せかさない」、「一番できない人に合わせる」、「お子様連れ可能」といった指針をSNSで示している。目指すのは「女性が自分の時間を、心から楽しめるクラス」だ。
あきぴの指導方針は、格闘技の普及にとって重要なポイント。プロ昇格も具体的になってきたが、女性にとっての格闘技を考える上で担う役割もさらに大きなものになりそうだ。
取材・文●橋本宗洋
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