3月1日に開催された東京マラソン2026で、初マラソンの早稲田大・工藤慎作は2時間07分34秒で日本人5位、全体では20位だった。この結果、2028年ロサンゼルス五輪マラソン日本代表選考会(MGC)の出場権を獲得した。
正月恒例の箱根駅伝で“山上り”5区で強さを発揮し、その名前と眼鏡姿から人気アニメ『名探偵コナン』にちなんで“山の名探偵”と称されている工藤が、長距離で持ち味を発揮した。
序盤から新旧の日本記録保持者で今大会日本人ワンツーを占めた大迫傑(リーニン、全体12位=2時間05分59秒)や鈴木健吾(神奈川・横浜市陸協、全体13位=2時間06分09秒)らとともに、日本人先頭集団を形成。35キロ過ぎに遅れをとったが、その後も大きく崩れずに、レースをまとめた。
ただ、マラソン練習は順調ではなかったという。レース直後に取材に応じた早稲田大の花田勝彦監督は、今回の工藤の長い距離のトレーニングが、40キロ走は昨夏と今年の年明け2回のみで、あとは実戦に近い30キロのみだったと明かした。
さらに2週間前までは調子が上がらず、発熱による練習休みもあり、一時は欠場も検討していた。ところが1週間前から状態が上がり、仕上げのトレーニングでは今季一番までコンディションが上昇。2時間6分30秒から8分を想定してレースに臨んだ。
レース中にも高いマラソン適性を見せつけた。大迫や鈴木に付いていけなかった35キロ過ぎには右のふくらはぎをつりかけた。焦ってペースを維持しようとすれば、大失速もあり得た場面も冷静に対処。最低限の落ち込みでカバーした。
そんな工藤がマラソン向きかと尋ねると、花田監督は「コツコツと黙々と、1人で練習できるので。すごくメンタル的にも強い選手です」「もっといけるはずです。将来的には3分台ではいけると思っています。だから本人も(対象大会で2時間03分59秒以内で日本人最速ならパリ五輪代表に内定する)ファストパスを考えたなかでやっています」と高い目標を掲げていると伝えた。
箱根駅伝に加え、昨年7月のワールドユニバーシティゲームズのハーフマラソン優勝や、同11月の全日本大学駅伝の最長8区(19.7キロ)で日本人歴代最高記録の56分54秒をマークした“山の名探偵”は今後、どのような成長曲線を描くのだろうか。
取材・文●野口一郎(THE DIGEST編集部)
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