2025年、アンソニー・ケイ、アンドレ・ジャクソン、トレバー・バウアーの外国人トリオが消化したイニング数は438回1/3。その3人がごっそりと抜け、ローテーションの再編成が必須となっているDeNAの今シーズンは、どのようなプランニングを抱いているのか――。ソフトバンク、オリックスで辣腕を振るった名伯楽・入来祐作コーチの胸の内を探った。
☆経験豊富な名伯楽も危機感
昨シーズンは投手コーディネーターの肩書が外れ、ファームでの育成にあたることがメインになる入来コーチ。しかし一軍チーフピッチングコーチから投手コーディネーターに転身した大原慎司と、一軍チーフピッチングコーチを含めたトロイカ体制で投手運営の決断をしていくこととなる。
約440イニングの穴をどう埋めていくか。この難題はリーグ優勝を狙うチームにとって、最重要課題となる。
「僕はオリックスで山本由伸と山﨑福也の2人が抜けて、300イニングをなんとかしないと、ということはありました。それでもなんとかしました。けれども今回はさらに140イニングですよ。ヤバいですよ」
経験豊富な入来コーチをもってしても、相当の危機感を感じている。
昨年オフにバウアーとは交渉せず、ケイはMLBへ復帰が濃厚で、ジャクソンも不透明な段階で、フロントも当然外国人投手補強に着手。阪神から昨年15試合登板で6勝、防御率1.39の成績を残したジョン・デュプランティエと、メジャー通算38試合登板のオースティン・コックスを獲得した。
「この2人で300イニング行ってくれるか。けれども1人150イニングというのは結構フルですからね」
先発の補強はその2人だけとも言える状況。しかも新外国人は未知数で、デュプランティエも昨年はシーズン途中離脱しているだけに、現有戦力の底上げがないことには話にならない。
そこでまず名前が挙がったのが3年目の石田裕太郎と2年目の竹田祐。石田裕太郎は昨年、先発中継ぎ問わず“便利屋”としての役目を担ったが、今年は先発1本としての起用が決まっている。「裕太郎は去年90イニングくらいなので、50ぐらいは上積みしてほしいですね」
竹田祐は昨年8月中旬にデビューし6試合で4勝を挙げるなど、シーズン途中ながらドラフト1位のポテンシャルがあることは立証した。「竹田が去年40イニング弱なので、100イニングは投げられると思います」。
☆藤浪晋太郎の復活がキー
この皮算用が上手くハマれば昨シーズンの穴は埋まる。しかしそう簡単に行かないことも名伯楽は知っている。外国人の中4日プランにも「それをするならみんな中4日で回さないと。日程的にもそういう日程ではないので、必ず歪みがきます。調整が難しくなってしまったという去年の教訓がありますので、結局は中6日、5日でやっていくのがいいと思います」と懐疑的なスタンスを取る。
そうなるともう一枚、確固たる駒が必要になる。そこで白羽の矢が立ったのがDeNAに移籍して2年目の藤浪晋太郎。昨シーズン途中に加入した右腕は、8月中旬に先発初登板で5回1失点、31日には初白星をマークした。しかしその後は思うような活躍はできず、消化不良のまま2025年シーズンの幕は閉じた。
あの頃の輝きを取り戻すため、昨年オフは球団施設の“DOCK”で動作解析を入念に行なった。「世界でも指折りではと思うほど、しっかりとした物があります。活用していきたい」とDeNA自慢の最新機器を武器にし、復活に手応えを感じていた。
入来コーチも「本当にオフからバイメカの人たちと一生懸命やってました。このチームの強みを藤浪はフルに活用していますよ」とその努力を目の当たりにしていた。
「身体の右側に溜めよう溜めようとし過ぎて、結局体重移動が上手く行かなくなってというところがありました。今はどちらかと言うと左足に体重を乗せることを中心に考えてやっていると思います」と取り組みを明かす。
その成果はコーチの目からしても明らか。「僕らピッチャーの感覚で言うスーッっというボールにならないんです。横変化のすごく大きなストレートであれはバッターからするとすごく嫌ですよ。それがゾーン内にしっかりと収まっていて、しかも操れていないボールもあんまりないんです。だから僕は本当に期待していますよ」
大器・藤浪にかかる大きな期待。「藤浪が100イニングいければ。それなら外国人2人が200でも、竹田祐と裕太郎ら、みんなでやりくりしていける」
あらゆるデータを駆使し、復活を目論む大型右腕がローテーションに定着したとき、ローテーション問題に光が射す。それは同時にチームが悲願へと近づくポイントにもなる。
取材・文●萩原孝弘
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