2月5日のトレード・デッドラインにブルックリン・ネッツを解雇されたキャム・トーマスが、新天地のミルウォーキー・バックスで躍動している。
加入2試合目となった11日のオーランド・マジック戦では、ベンチからゲームハイの34得点、20日のニューオリンズ・ペリカンズ戦でも途中出場で27得点の好パフォーマンスを披露した。
トーマスは2021年のドラフト1巡目27位でネッツに指名されてNBAデビュー。ルーキーイヤーはGリーグでプレーすることもあったが、2年目には3試合連続で40得点超えを記録するなど、スコアラーに違わぬ活躍を見せる。
スターターに昇格した3年目からは、2023-24シーズン(22.5点)、2024-25シーズン(24.0点)と、2年連続でチームのトップスコアラーに君臨していた。
しかし5年目の今季は、左足のハムストリングのケガで11月上旬から約1か月半離脱。その間にルーキーのイゴール・デミンにポジションを奪われ、復帰後もベンチ要員に降格となり、2月に解雇に至っていた。
ただ、昨夏に1年のクオリファイング・オファーを受け入れて制限付きフリーエージェントとなっていたトーマスは、オフの間にも他球団への移籍を模索していた。
結果的にネッツから解雇されたことで、自分が行きたいチームを選べる状況が作られたが、その過程について本人は「詳しくは話したくない」と言葉を濁している。
それでも以前から興味を示してくれていたバックスと契約に至ったことは、彼にとっては理想的な顛末だった。
「フロントは、ここ数年の間ずっと自分に興味を示して、球団に迎えたいと思っていたと言ってくれた。次のクラブを決めるにあたって、それはものすごく重要な部分だった。球団の人たちが自分を必要だと思ってくれていると感じられるのは、自分にとってとても重要なこと。
ドック(リバース・ヘッドコーチ)とも非常に良い話し合いができた。実際にチームのみんなに会って、助けになりたい、貢献したい気持ちが湧いてきた。みんなに溶け込んで、このチームの一員になりたいと強く感じたんだ。ここに来られてとてもハッピーさ」
バックス初練習後のメディアセッションで、トーマスはそう心境を語った。一方で、デビューから4年半を過ごした古巣のネッツでは「必要とされている実感」がなかったことを、『ニューヨーク・ポスト』とのインタビューで吐露している。
「彼らは誰のことも信頼していない。もう自分は別のチームに所属しているから、あまりそのことについては話したくないけど、あそこはそういう感じなんだ。いつも感じていた。よくわからないけど、彼らはいつも、何かほかにもっと良いものがあると思っていた感じだった。常に別のものを追い求めていたんだ」“そんな気がしていた”とぼかしてはいるが、2年連続チーム得点王と結果も残した選手にとって、「いや、これじゃない」「もっと良い選択肢があるはず」といった空気をフロントから感じたというのは、モチベーションを保つ上でも難しいだろう。
主砲ヤニス・アテトクンボはケガがちで、プレーイン圏内も危うくなってきた現在のバックスにとって、平均2桁得点が計算できるトーマスへの期待は大きい。
リバースHCはトーマスを「生まれながらのシューター」と評し、かつてロサンゼルス・クリッパーズで共闘した名シックスマンのジャマール・クロフォードとルー・ウィリアムズになぞりつつ、今後に期待を寄せている。
「それぞれ個性はあるが、彼らには共通点がある。キャムはきちんとしたプレー、良いプレーをしたいと思っている。それが伝わってくる。だから我々は彼にあらゆる機会を与えるつもりだ。見ての通り、彼は天性のスコアラーだ」
ケビン・ポーターJr.とのコンビプレーも見られるが、ポーターJr.に、より”クリエイター”としての意識を持たせたいと考えているリバースHCにとって、トーマスの加入はその面においても好材料となっている。
当面は、ハムストリングの状態を考慮して、プレータイムを慎重にコントロールする必要があるとのことだが、トーマス自身は「まったく問題ない。健康体そのものだ」とその懸念を払拭。自分を重要な戦力として迎えてくれた新天地で大暴れする気満々だ。
そんなトーマスの出生地は神奈川県横須賀市。学生時代にバスケットボールをプレーしていた母のレスリーは卒業後に軍隊に入団、寄港していた横須賀の地で生まれた。
日本の地で生を受けた24歳のトーマスは、成長期の真っ只中。彼のキャリア第2章は、ここから始まる。
文●小川由紀子
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