
恐怖心や焦り「俺だけが持てばいい」。でも須藤監督はビビらないから結果、誰も怖がらない。横浜FCは勇気あるプレーを貫けるか
敵地での栃木SC戦。3月に入って最初のゲームで、横浜FCは0-4で敗れた。須藤大輔監督は「もう完敗と言わざるを得ない結果」と悔しがる。オフ明けの練習前のミーティングで伝えた。「やっぱり負けちゃいけないし、J3、J2とか関係なく、プロサッカー選手としてやっている以上、勝ちにこだわってやらなきゃいけないよって」。
試合の序盤はペースを握っていた。ボールを保持し、自分たちのリズムでパスをつなぎ、いくつかのチャンスを作った。だが、得点には至らず、少しずつ流れが悪くなり、42分に一瞬の隙を突かれて先制点を献上。後半はミス絡みの失点を重ね、最後の4失点目は完全に崩されて被弾した。
「ちょっとしたズレですね。判断のズレだったり、ボールを止める、渡すの一瞬のテクニカルなズレだったり、あとは立ち位置のズレとか、パスを出す方向のズレ、長短のズレ、タッチ数のズレっていうのが、徐々に徐々に自分たちの勇気を削いでいった」
前半の途中からのパフォーマンスを、須藤監督はそう指摘する。
「相手のプレッシャーは、そこまで前半の最初と変わらないのに、あたかもプレッシャーにやられて、自分たちが追い込まれて、景色が見えなくなる、呼吸できなくなるっていうふうに窒息させられていってしまったのか。それが前半最後の失点にもつながったのかな」
良い試合の入りができていたはずが、少しずつ歯車が狂っていく。指揮官はメンタル面にも言及する。
「(パスを)差し込めなかったり、相手が嫌がる位置に立てなかったり。怖いんですよ、やっぱり受けるのが怖い、出すのが怖い、失うのが怖い。失ったらどうしようかってところがまずプライオリティを持って頭に来ちゃうので、パスの精度が乱れたり、パススピードが遅くなって、自分たちのリズムからかけ離れたサッカーをしてしまった」
怖がらなくていい。もっと自信を持っていい。ピッチ上で選手たちは堂々とプレーすればいいと須藤監督は考えている。それを求めている。「いろんな恐怖心とか、焦りとか、自信のなさは、俺だけが持てばいい。お前らは絶対に持つな」と訴える。
ただ実際は「俺は、それを持たないよって言ってます」という。「自信がなくなったりもしないし、諦めたりもしないし、恐怖感なんか一切抱かない」。その結果、どうなるか。「恐怖心とか、俺は抱かないから大丈夫。じゃあ誰も抱かないじゃんっていうふうにね。そういうチームにならなきゃいけない」のだ。
もっとも、選手たちがどんな状況でもビビらずに、勇気を持ってプレーするのは簡単ではないはず。どう促していくのか。
「おそらくミスとか、失点とか、負けるとか、人に何かを言われるのが一番の恐怖だと思う。でも、たとえばミスしても絶対に補完できるような仕組みを作る。ヨーロッパのサッカーでも、本当にありえないミスをするけど、結局は最後、仲間が助け合って、そのミスを補ってくれているから、勇気を持ってプレーできるようになる。
やっぱり1人では戦えない。ミスをしても、誰かが助けてくれるよってなると、恐怖心もなくなるのかなと僕は思います。
僕らスタッフもそうですよね。誰かがちょっとミスしても、僕らが補完し合う。それが選手にも伝わっていければいいのかなと思う。そのためにはやっぱりコミュニケーションを取らなきゃいけないし、もっと声を出さなきゃいけない。声でリフトアップしていくって、すごく大事なこと。そこをもっとできるように、こっちも問いかけていきたい」
大丈夫、俺らがいるから大丈夫だよ。ミスしてもカバーする、だから勇気を持ってプレーしようぜ――「そういうのはちょっとずつ出てきてはいる」と須藤監督は見ている。文字通り“チーム一丸”となって、横浜FCはブレずに、アグレッシブに戦い続ける。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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