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上田綺世に焦りはなかった。指揮官の言葉に「前向きな気持ちになれた」。堂々2発。「復調宣言はまだ?」の質問には何と答えたか【現地発】

上田綺世に焦りはなかった。指揮官の言葉に「前向きな気持ちになれた」。堂々2発。「復調宣言はまだ?」の質問には何と答えたか【現地発】


 フェイエノールトのエースストライカー、上田綺世は3月8日のNAC戦(3-3)で2ゴールを挙げ、今季通算ゴール数を「20」とした。

 NAC戦の19分、FWアニス・ハジ・ムサのCKから地面スレスレの低空ダイビングヘッドで先制ゴールを決めた上田は、何かを吠えながらガッツポーズ。その後、いつものお祈りポーズをする背番号9に、仲間たちが集まった。

 昨年12月6日、ズウォーレ戦で4ゴールの固め取りをして以来、久しぶりのゴールに「ホッとしたのでは?」と試合後、尋ねると「そうですね。ホッとしたのが正しい表現かもしれないです」と笑みがこぼれた。

 52分、2-3の劣勢から決めた2点目は、ポストプレーでチャンスの起点を作った上田が、左からのクロスをヘッドでゴールネットを突き刺したもの。左SBジョーダン・ボスのクロスを待ち受けた上田にとっては難しい体勢だったが、強靭な身体を活かして空中で自身の間合いを作りきった。

「今日の試合前も、試合中もずっと『クロスを上げてくれ』ということをチームメイトに伝えてました。そこは監督も同じ意見を持っていて、ウイングの選手に接してくれていた。それで多少、今日は(クロスが増えた)。でも、もっと欲しいですけれど。

 クロスが上がってくれば、駆け引きしながらマークを外して、ヘディングできる感覚を持っている。それが一つ結果に出たので、これでまた信頼を得て、クロスを上げてもらえたらと思います」
 
「信頼」という言葉は、まさに試合2日前の記者会見で、ロビン・ファン・ペルシ監督が語ったこと。シーズン前半戦の勢いが嘘のようにピタリと止まった上田について、指揮官は「綺世には私の経験を伝えた。皆さんの記憶の中では、マンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグを制した時の私の活躍が残っているだろうが、実際には10試合、ゴールから遠かったばかりでなく、アシストすら記録できなかった時期があった。

 それでもファーガソン監督は私のことを信頼し、ずっと起用し続けてくれた。彼は私のゴールがないのは、他の選手のせいだとも言っていた(笑)。日曜日(のNAC戦)、綺世が先発する」と言っていた。

 かいつまんでファン・ペルシ監督の言葉を上田に伝え、「監督からの信頼を感じているのでは?」と尋ねた。

「前のホームの試合後(2月22日、テルスター戦/2-1)、記者の方から『この3、4か月、10試合くらいゴールがない』と聞いた。僕はそういう感覚があまりないので、その時に『ああ、そのぐらい取ってないんだ』と認識しました。“それだけチームに貢献できてないという感覚”と“早くきっかけを掴んで軌道に乗せないと、積み重なっていかないという感覚”を持って、この2週間、取り組んできました。

監督とは、現役時代の話とかしました。優勝したシーズン、10試合以上、点を取れてない時期もあったそうです。監督としてではなく、フォワードとして、同じストライカーとして接してくれて、話をしてもらった。それでちょっとフワッと自分の荷が軽くなった気がしました。

 別に焦りとかはなかったんですが、監督から『仮に点が取れなくても信頼している』ということを言ってもらって、気持ちが軽くなってプレーしやすくなりました。それ(監督からの信頼)に応えたいという気持ちになりました。僕もめちゃくちゃリスペクトしている人なので、その人にそう言われたら、結果を残さないといけないと、前向きな気持ちになれたというのは事実としてあります」
 
 上田の言う積み重ね。それは物事を好調・不調といった瞬間で捉えるのではなく、取り組んできた一つひとつが積み重なって、結果につながるという考えだ。特に2点目は、アルネ・スロット監督時代に要求され、試行錯誤の上、上田の武器の一つとなったポストプレー。そして(おそらく)ファン・ペルシ監督就任後、ブラッシュアップされた小刻みなステップワークを交えたポジション取り。かねてからストロングポイントだったヘディング、といった積み重ねの成果が出たゴールだったと思う。

 1月18日のスパルタ戦、2月8日のユトレヒト戦の出場を見合わせるなど、コンディションが万全でなかった上田だが、激しいデュエルを繰り返したNAC戦では、86分間出場と、コンディション面でもかなり上がってきた様子だ。
 
「そうですね。ゴールもあったし、少しずつまた復調してきたら良いなと思います」

 会心のゴール2発を決めた後も「少しずつ復調していきたい」と言う上田に「復調宣言はまだですか?」と訊いた。

「それは僕が宣言することではない。(周りが)そう思えばそれで良いと思う。仮に調子が良くなっても、さらにもっと良くなっていくことを目ざしている。だから今は、その良くなっている段階だと思います」

取材・文●中田 徹

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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