欧州クラブサッカー最高峰のカップ戦であるチャンピオンズリーグ(CL)。まもなくノックアウトステージが幕を開けるが、プレミアリーグのビッグクラブにとってこの大会は単なる名誉の舞台ではなく、クラブ経営を左右する巨大な収入源となっている。
スポーツ専門チャンネル『ESPN』はこの点に注目し、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーといった名門クラブが、来季のCL出場権確保に向けて強い危機感を抱く理由を詳しく報じている。
同メディアは、世界的なブランド力を持つこれらのクラブであっても、「CLから1年遠ざかるだけで、エリートクラブとして競争を続けるコストの高さから深刻な財政的混乱を招く可能性がある」と指摘する。
その背景にはCLが誇る巨額の収益があり、「昨季の優勝チームであるパリ・サンジェルマンは賞金として1億2506万ポンド(約265億円)を獲得し、準優勝のインテルのそれも1億1830万ポンド(約250億8000万円)に達している」と紹介。ベスト8入りした中では、アストン・ビラの7250万ポンド(約153億7000万円)が最も少額だったが、「それでもクラブにとって巨大な財政的追い風だった」と、このコンペティションの経済的価値の大きさを強調している。
カップ戦の出場権を逃した影響が甚大であると実例として示したのがマンUだ。今季、CLの舞台に立てなかった同クラブは、「UEFA(欧州サッカー連盟)からの賞金だけでなく、本拠地オールド・トラフォードでの試合開催による収入も失った。1試合あたり約500万ポンド(約10億6000万円)の収益が見込まれたため、もし『赤い悪魔』が準々決勝まで進出していれば、6試合のホームゲームで約3000万ポンド(約63億6000万円)を得られた」という。
さらにスポンサー契約にも影響が及び、「CLに出場しない場合、アディダスとの年間9000万ポンド(約190億8000万円)のユニホーム契約では1000万ポンド(約21億2000万円)の減額が発生する」。 また記事によれば、選手やスタッフの給与はCL不出場の場合、25%削減される仕組みになっているが、最新決算での年間給与総額は3億1300万ポンド(約663億6000万円)に達しており、削減額7825万ポンド(約165億9000万円)でもCL不出場による収入減を完全には補えていない。さらにクラブは移籍金の未払いが4億2200万ポンド(約894億6000万円)あり、そのうち2億3800万ポンド(約504億6000万円)を来季終了までに支払う必要があるため、CL復帰は極めて重要な課題となっている。
チェルシーもまた、CL収入への依存度が高く、「2024-25シーズンに3億5500万ポンド(約752億6000万円)の損失を計上し、これは次に大きかったリヨンの赤字の2倍以上だった」と同メディアは伝える。昨季はカンファレンスリーグで優勝したが、ここで得られた収入は「1906万ポンド(約40億4000万円)に過ぎず」、CLとの収益差は歴然としている。ただし同クラブの場合、昨夏のクラブワールドカップ優勝による8400万ポンド(約178億800万円)の収入が財政面で大きな助けになったようだ。
一方で、昨季プレミアリーグ王者のリバプールでさえ、来季のCL出場を逃せば、財政的な課題に直面する可能性がある。「リーグ優勝による1億7490万ポンド(約370億8000万円)の賞金とCL16強入りによる4600万ポンド(約97億5000万円)の収入があったにもかかわらず、最新決算での税引き前利益は1520万ポンド(約32億2000万円)に止まった)」とのこと。さらに同クラブの年間給与総額は、4億2800万ポンド(約907億4000万円)に達し、リーグ最大となっている。
こうした状況について、同メディアはリバプールの財務責任者ジェニー・ビーチャム氏の「クラブは管理費、人件費、運営費の増加など、重大なコストの課題に直面しており、男女の両チームが最高レベルで競争する必要がある」とのコメントを紹介し、トップレベルのカップ戦に出場し続けることの重要性を強調した。
アルネ・スロット監督もまた、CL出場の重要性を認めており、「チームとしてCLに出場することは非常に重要で、このクラブにとって財政面でもどれほど重要かが分かる」と語り、2023-24シーズンの欧州カップ戦をヨーロッパリーグで戦った影響についても「私が来たシーズンにフェデリコ・キエーザしか補強しなかった理由のひとつは、それが原因だ」と説明した。
同メディアは、「CLはもはや、国内での成功の上に与えられる名誉あるボーナスではない。今やクラブ経営を支える不可欠な収入源となっている」と、改めてこのカップ戦に出場する意義がかつてとは大きく変化していることを指摘しつつ、「しかしプレミアリーグでは毎シーズン、必ず幾つかのトップクラブが出場を逃す。そして、その失敗の代償は年々大きくなっている」と綴って記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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