侍ジャパンがWBC1次ラウンドを全勝で1位通過を決めたが、勝因は日本人メジャーリーガーの活躍だ。得点チャンスで打席が回ってきた時の破壊力とスケールがやはり違う。その中でも4番で出場してきた吉田正尚の、アメリカ国内での評価が高まっているという。
「レッドソックスの外野手層は厚く、DHでのレギュラーも保証されていませんでした。左打者が多い中で、WBCでの打撃好調ぶりが評価され、いくつかのチームがトレードでの吉田獲得を検討しています」(現地記者)
1次ラウンドでの吉田は4試合で打率5割、2本塁打、6打点。まさに大爆発である。
現地メジャーリーグメディア「FANSIDED」などで「吉田獲得に動く可能性が高い」と報じられている球団はメッツ、アストロズ、マリナーズ。強打の外野手が不足しているチーム事情がその理由として挙げられているが、なぜか「移籍交渉は成立しにくい」との見方が強まっている。
「なにしろ吉田の年俸が高すぎます。レッドソックスとの契約があと2年残っていますが、その間の年俸は3720万ドル(約59億円)ですから」(前出・現地記者)
「高額年俸がネックになる」との指摘は以前からあった。吉田に興味を持ったとされる3球団は補強資金が豊富で、マリナーズを例に挙げれば、昨年ア・リーグMVPの最終候補に残ったカル・ローリーと6年総額1億500万ドル(約157億5000万円)で契約を結び直している。守備位置、左打者など吉田と重複する選手の多いレッドソックスに、トレードを拒む理由はないだろう。
レッドソックスのクレオグ・ブレスローGMは2月9日、オンラインでのメディア会見で「DHの吉田を外野手でWBCに出場させてもかまわない」旨のコメントを出している。
「他球団のGMなら、DHで出場させてきた選手を守備に就けていいなんて言いません。ケガのリスクが増えるだけ」(前出・現地記者)
このGM発言を指して「吉田がWBCで活躍できる機会を増やし、他球団に売り込もうとしたのではないか」と勘繰る声がないわけではない。
吉田にとって試合出場の機会が増え、WBC後のトレード交渉が進むのであれば、前向きに捉えるべきだろう。
選手名鑑を見ると、吉田の古巣オリックスの年俸トップは、森友哉と西川龍馬の推定4億円。チーム総年俸は36億円ほどと計算されているので、吉田の今年度受け取り金額と大差はない。メジャーリーグの経営規模でも、スケールが違うようだ。
(飯山満/スポーツライター)

