
『転生したらスライムだった件』1st season 第1巻 DVD(バンダイナムコアーツ) (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 (C)柴・伏瀬・講談社/転スラ日記製作委員会
【画像】「着替え中に…」「え、丸出し!?」 こちらが『転スラ』“一度死んだ”美女です(3枚)
異世界モノの「お約束」は日本人になじみ深い?
ここ数年、アニメ業界では『転生したらスライムだった件』『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』『ソードアート・オンライン』などの「異世界モノ」と呼ばれる作品が急増し、大きな存在感を放っています。一方で「異世界モノだから見ない」と距離を置く、いわゆる「異世界アレルギー」の視聴者が一定数いるのも事実です。なぜ異世界モノは、ここまで敬遠されがちなのでしょうか?
まず誤解のないように言っておくと、異世界モノは決して不人気なジャンルではありません。現在放送中の冬アニメを見渡しても、実に20作品近くの異世界モノが名を連ねており、5年前の冬クールと比べてみると、その数は2倍以上に増えています。
また、先日「ABEMA」が発表した1月12日週のアニメ週間ランキングでは、『魔術師クノンは見えている』や『貴族転生 ~恵まれた生まれから最強の力を得る~』といった異世界系作品が、数々の話題作と並んでトップ5にランクインしました。作品数の多さだけでなく、視聴者からの関心もしっかり集めていることがうかがえます。
ただ、こうした流行の裏では、「飽きた」「同じような作品ばかり」という声も少なくありません。実際、異世界系作品の多くには、ジャンル全体で共有されてきた暗黙の「お約束」が存在しており、人によっては「オリジナリティが感じられない」と受け取られてしまうのも無理はないでしょう。
例えば、元社畜の主人公や、転生した先にほぼ必ず登場する「冒険者ギルド」、さらには追放やハズレスキル、悪役令嬢への転生、中世ヨーロッパ風の世界観、ヘイト役の「ざまぁwww」展開などは、多くの異世界モノで見られる光景です。こうした設定が繰り返し用いられることで、舞台や人物関係だけでなく、物語の展開そのものにも既視感を覚えやすくなっている点は否定できません。
その結果、「異世界モノ」という言葉を聞いただけで、1話も視聴せずにシャットアウトしてしまう人がいるのも理解できます。そもそも異世界系アニメの原作となることが多い、いわゆる「なろう系」というジャンル自体が、長年にわたってさまざまな偏見とともに語られてきました。
しかし一方で、異世界モノを好む層からは「テンプレだからこそ良い」という声も根強く聞かれます。あらかじめ共有された設定があるからこそ、物語の導入を深く考えずに受け入れやすく、気負わずに楽しめるという意見です。序盤から独自用語や複雑な世界観を詰め込む作品もあるなかで、異世界モノはその対極に位置するジャンルだといえるでしょう。
分かりやすい例として挙げられるのが「落語」です。噺のなかにも「熊さん」や「八っつぁん」、「与太郎」といった登場人物が、さまざまな演目に登場します。彼らには共通した性格や役割があるため、観客は細かな説明がなくとも、人物像を即座に理解することができるのです。
さらに「東海道中膝栗毛」もまた、お約束の構造を繰り返し楽しむ作品として長年親しまれてきました。こうした点を踏まえると、日本人にはもともと異世界モノのようなテンプレ構造を楽しむための素地があったとも考えられそうです。
つまり「分かりやすさ」を重視した異世界モノは、これまで敬遠してきた人にとっても意外な当たり作になる可能性があります。1クールあたりの作品数が多いジャンルだからこそ、試しに触れてみることで自分の好みに合った1本に出会えるかもしれません。まずは現在放送中の冬アニメのなかから、気になる作品をチェックしてみてはいかがでしょうか?
